質問

銀行融資の金利のベースである新長期プライムレートについて質問です。多くの銀行では、新長期プライムレートは、

返済期間3年以内の融資…短期プライムレート+0.3%

返済期間3年超えの融資…短期プライムレート+0.5%

となっています。

0.3%や0.5 %は期間プレミアムに相当するものだと思いますが、この数値に理論的な根拠はあるのでしょうか。それとも単に「決め」でしかないのでしょうか。

回答

この0.3%や0.5%は、期間プレミアムに相当するものです。長期融資(返済期間1年を超える融資)は、短期融資(返済期間1年以内の融資)より返済期間が長いことで、貸倒れリスクが増すため、金利は高くなります。同様に返済期間3年を超える融資は3年以内のものより金利は高くなります。

銀行では、融資を行うことで得られる利息収入の中から、銀行全体である程度発生してしまう、貸倒れによる損失をまかなわなければなりません。貸倒れリスクが高い融資は、それだけ多くの利息をとることでリスクに備えなければならないため、金利は高くなります。

0.3%や0.5%といった数値に具体的な根拠はありません。根拠があるわけではないのですが、銀行は前からこの数値を使っています(銀行ごとに数値は異なります)。

銀行融資の金利ベースの一つ、新長期プライムレートとは

新長期プライムレートとは、銀行が長期融資(返済期間1年を超える融資)を行う際にベースとする金利で、長期融資では、この金利をベースに個別の融資の金利を設定することが多いです。

例えば返済期間5年の融資を行う場合。短期プライムレートが1.500%の銀行であれば、返済期間3年を超える新長期プライムレートは2.000%になります。

新長期プライムレート=短期プライムレート+0.5%=1.500%+0.500%=2.000%

融資審査時に銀行内で作成される稟議書には、次のように書かれます。

新長期プライムレート2.000%-スプレッド0.6250%=今回の金利1.375%

ここでのスプレッドとは、企業の財務状況や業績などから見た貸倒れリスクを考慮しながら、銀行と企業との交渉により決まります。ここでのポイントは、金利は、結局は銀行と企業との交渉により決まる、ということです。その金利の根拠づけのため、返済期間が1年を超える融資では新長期プライムレートが使われることが多いです。

なお新長期プライムレートは、それぞれの銀行で決められている短期プライムレートの変動により、変動していきます。そして新長期プライムレートの変動により、返済期間中でも融資の金利は変動していきます。上記の例で言うと、銀行の短期プライムレートが1.500%から1.625%に変動すれば、新長期プライムレートは2.000%から2.125%に変動します。スプレッド▲0.625%はそのままですので、融資の金利は1.375%から1.500%に上がることになります。