銀行の支店の中は預金係・融資係・営業係(得意先係)に分かれる

銀行の支店の中では、いくつかの係に分かれて業務が行われています。主に3つの係に分かれます。預金係・融資係・営業係(得意先係)です。銀行で融資を受けやすくするため、あなたがまず考えた方がよいことは、銀行の中のどの係の銀行員に申込みをするか、です。預金係は融資業務を行わないので、融資係と営業係(得意先係)が、申込みの相手として考えられます。

銀行の支店の中は、次のような組織図となります。

預金係は、銀行に来店した顧客の対応を行ったり、預金・振込・出納の事務を行ったりします。融資係は、融資の目的で銀行に来店した顧客の対応を行ったり、融資事務を行ったりします。営業係(得意先係)は、外に出て顧客回りを行ったり、新規顧客の開拓を行ったりします。

銀行で、融資係と営業係(得意先係)とでは考え方が正反対

融資は、支店内でも申込む相手により、審査の通りやすさが違ってきます。まず知っておくべきことは、次のことです。

融資係・・・審査を通したがらない人たち。銀行内での守り役。

営業係(得意先係)・・・審査を通したい人たち。銀行内での攻め役。

融資係と営業係(得意先係)とで、考え方は全く異なります。融資係は、自分が審査して実行された融資が後に貸倒れとなると、銀行内で上からの評価が下がることがあります。後に貸倒れとなることを審査で見抜けなかったからです。そのため、融資係は貸倒れを出さないことを、審査で第一に考えます。

一方、営業係(得意先係)は、銀行内で上から営業成績を上げることを常に求められています。融資金額を増やせなければ、営業成績は下がります。また、案件があっても審査を通すことができなければ融資は実行されず、営業成績につながりません。そのため、自分が持ってきた案件は、なるべく審査を通したい、と考えます。

このように、同じ銀行内でも融資係と営業係(得意先係)とでは、考えていることが反対です。このようなことから、審査を通しやすくするには営業係(得意先係)に融資を申し込んだ方がよいことが分かります。

銀行内で融資の稟議書は誰に書いてもらうと良いのか

審査は稟議、つまり審査のための稟議書が作成され、それが銀行内で回覧され最終決裁者が、最終的に融資を行うかどうか決裁するやり方で行われます。稟議書は基本的に、申込みを受けた銀行員が作成します。融資係が稟議書を作成すると、貸倒れを出さないことを第一に考えるので、厳し目に書いた、審査が通りにくい稟議書となりがちです。一方で営業係(得意先係)が稟議書を作成すれば、審査を通そうと、良いことをいろいろ書いてくれやすく、審査が通りやすい稟議書になることが期待できます。

目の前の銀行員が融資係か営業係(得意先係)かは、名刺を見て分かることが多いです。もし分からなければ、何の係か直接聞いてみてください。あなたの会社によく訪問してくる銀行員がいて、その銀行員が時々、融資を勧めてくるのであれば、その銀行員は営業係(得意先係)であることが多いです。そうであることを確認した上で、その銀行員に申込みをしてください。

もしあなたの会社に銀行員が全く訪問してこない場合。あなたの会社を担当する銀行員がいないのかもしれません。その場合、担当の銀行員をつけてもらい、時々訪問してくれるよう銀行に頼んでみてもよいです。

融資を受けたい新規銀行がある場合の、アプローチ方法

まだ取引していないがこれから取引をしたい銀行がある場合。その銀行の支店の窓口でまずは預金口座の開設を申し込んでください。しかし、企業であればその場で預金口座を開設してくれることはなかなかないです。銀行員がその後、企業を訪問し、事業実態のある企業であることを確認した上で預金口座開設となるのが多いパターンです。その時に訪問して来る銀行員は営業係(得意先係)であることが多いです。あなたの会社の事業内容などいろいろなことを聞かれ、問題なければ預金口座の開設の手続きが行われます。そして、ついでに融資を勧めてくることも多いです。

このように、取引のない銀行とは、はじめに支店の窓口で預金口座の開設を申し込んで、後日、営業係(得意先係)に来社してもらう。そこから融資の話になる。それが、新しい銀行と融資取引を始めるきっかけを作る、良い方法です。