資金繰りが厳しく、月の中で資金不足となる日が出るなど、月次の資金繰り管理では不十分な会社の場合。一日ごとの資金繰りを見ていった方が良いです。この場合、月次資金繰り表とともに日次資金繰り表(日繰り表)を作って資金繰りを管理します。下記が日次資金繰り表(日繰り表)です。

日次資金繰り表(日繰り表)

日次資金繰り表(日繰り表)の作り方

資金繰り表では資金の残高を見ていきます。資金繰り表での資金とは、現金・預金(普通預金・当座預金)のことです。なお定期預金・定期積金は自由に引き出しできない預金なので、資金繰り表では資金と考えません。

日次資金繰り表(日繰り表)の作り方は下記のとおりです。上に掲載した日次資金繰り表(日繰り表)に沿い説明します。

  • 「前月繰越」には前月から繰り越した現金預金残高を入力する。
  • 「相手」「適要」は入金もしくは支払いの相手先と、その内容を入力する。
  • 「支払い」は支払いの場合の金額を入力する。
  • 「入金」は入金の場合の金額を入力する。
  • 「残高」は支払いもしくは入金後の現金預金残高を入力する。
  • 「支払内訳」「入金内訳」「残高内訳」は、現金もしくは預金口座別の支払い、入金、残高を入力する。なお現金もしくは預金口座別の管理が不要であれば、ここは省略してもよい。

日次資金繰り表(日繰り表)では、入金のある取引もしくは支払いのある取引を1件ずつ入力します。そして入金もしくは支払い後の現金預金残高を入力します。日次資金繰り表(資金繰り表)は、将来2~3カ月分を作ると良いです。入出金が確定しているもの、もしくは入出金が予想されるものを書いていきます。そうすると、日ごとに現金預金残高がどう推移していくと予想されるのか、分かります。そして資金不足となる日も予想できます。

日次資金繰り表(日繰り表)で将来、資金不足になることが分かった場合

将来、資金不足が予想される日があれば、銀行から借入れして資金不足を防ぐことをまず考えます。資金不足となる日の2~3カ月前から借入れの相談をしたいものです。借入れできない場合や間に合わない場合、別の手段を考え早めに対策します。銀行への既存融資の返済を止めてもらう、売掛先にお願いして入金を早めてもらう、買掛先や経費支払先にお願いして支払いを延ばしてもらうなどが考えられます。

例えば5月15日に現金預金残高が△350,000円と不足する場合。このままでは資金不足となります。銀行から借入れすることをまず考えます。銀行の審査期間がありますので、早めに将来の資金不足に気づき、銀行に相談するようにします。銀行に相談する時期の理想は、資金不足となる日の2~3カ月前です。もし銀行から借入れできなかったら、別の手段をとらねばなりません。次のような手段が考えられます。

  • 資金不足となる前の5月10日に銀行への既存融資の返済が1,000,000円あれば、銀行に交渉し返済を止めてもらう。
  • 5月31日に売掛金入金予定が800,000円あり、その売掛先の社長とは気心の知れた関係であれば、お願いして5月15日に早めて入金してもらう。
  • 5月15日に買掛金支払い予定が500,000円あり、その買掛先は支払いを待ってもらいやすい先であれば、お願いして5月25日の支払いとしてもらう。

このような手段を考えたら、日次資金繰り表(日繰り表)を使い、入金や出金の予定を動かしてシミュレーションしてみます。将来資金不足となる日がなくなるよう、シミュレーションして考えます。

日次資金繰り表(日繰り表)を作るなら月次資金繰り表も合わせて作る

日次資金繰り表(日繰り表)の形を見ると、銀行の預金通帳の形に似ています。預金通帳と同じようなものと考えると、日次資金繰り表(日繰り表)がどんなものなのか分かりやすいのではないでしょうか。

なお日次資金繰り表(日繰り表)を作ったとしても、合わせて月次資金繰り表も作るべきです。日次資金繰り表(日繰り表)は、将来2~3カ月の一日ごとの資金繰りを管理する資料としては有効ですが、将来6カ月~1年の資金繰りを管理できません。そのため月次資金繰り表も合わせて作るべきです。なお銀行が融資審査において要求してくる資金繰り表は、日次資金繰り表(日繰り表)ではなく月次資金繰り表です。月次資金繰り表の作り方は下記記事をごらんください。

月次資金繰り表の作り方・予定表編

月次資金繰り表を応用して短い間隔での資金繰りを管理する

世の中には、5日ごとや10日ごとに入金や支払いがまとまってある会社もあります。例えば、10日に入金ある売掛先・20日に入金ある売掛先・月末日に入金ある売掛先があり、一方15日に支払う買掛先、25日に支払う買掛先、月末日に支払う買掛先がある、というように、です。

このような会社は、一日ごとに資金繰り管理を行わなくても5日ごとや10日ごとに資金繰り管理を行えば良いです。その場合、月次資金繰り表と同じ様式を用います。月次資金繰り表が月ごとの入出金を書くものであるところ、5日ごとや10日ごとの入出金を書くようにします。その際の資金繰り表の作り方は、月次資金繰り表を作る場合と同じです。