中小企業の経営者が資金調達する方法は、大きく分けて2つあります。融資と出資です。その違いは何でしょうか。融資と出資の違いを、下の表にまとめました。融資の出し手として代表的なのは銀行ですので、融資では銀行を想定して記載しました。
融資 | 出資 | |
返済の義務 | あり | なし |
資金の出し手による経営への関与 | なし
(ただし自分の会社への融資総額が大きい銀行から、もしくは融資がリスケジュール(返済減額・返済猶予)中であれば、債権者として銀行から経営に口出しされることも)。 |
持株比率が50%を超えれば経営権を握られる。超えなくても株主として経営に影響を及ぼしてくる |
資金調達のしやすさ | 財務内容や業績に問題がなければ通常は融資を受けられる。 | 出資者を探すのが難しい。 |
資金調達の継続しやすさ | 銀行で返済実績を作れば継続的に融資を受けていくことは可能。 | 出資金額を増やすには既存の出資者に増資してもらうか新たな出資者を探さなければならない。 |
資金の出し手による審査のポイント | 返済能力を見られる。それは過去の決算書や試算表などで判断される。 | 会社の将来性を見られる。売上・利益が将来大きく伸びることが期待できるかどうか。 |
融資と出資の最大の違いは何か
融資と出資の最大の違いは、資金の出し手による経営への関与です。融資では銀行等から経営に口出しされることはあっても、経営事項の最終決定は社長が行うことができます。一方、出資では株式を持たれるため、出資者が経営事項の決定に影響を及ぼしてくることがあり、最悪の場合は社長を下ろされることもあります。
また、業績が順調に推移し、利益が大きくなって純資産が増加するなど企業価値が高くなった場合。その場合、出資者から株式を買い戻す必要が出てきた時には高い金額を支払わなければなりません。出資者に経営に積極的に関わってほしい、と考えて出資を受け入れるのならよいですが、そうでなければ、出資は資金調達の選択肢としてはとりづらいです。
なお出資は、返済しなくてもよいことは、融資と違いメリットです。ただし融資の場合でも、返済が進み残高が減っていけば再び融資は受けられることが多く、また万が一融資が受けられなくかつ返済が厳しければリスケジュール(返済減額・返済猶予)を交渉できます。そう考えると、返済しなくてよいことをメリットに感じて出資での資金調達を目指すことは、勧められません。