銀行で融資を受けたいが、担保なしで融資を受けるのが難しい場合。もし担保に入っていない不動産を所有しているのであれば、それを担保に融資を受けられないか考えることができます。ただ、不動産を担保にできるとは言っても、銀行で融資の審査が必ず通るとはかぎりません。その場合、ノンバンクで不動産を担保に入れたら融資審査が通ることがあります。銀行とノンバンク、それぞれでの不動産担保融資の違いは何でしょうか。
不動産担保融資 銀行とノンバンクでの違い1.決算書を重視するかどうか
不動産を担保に入れるとしても、銀行では、決算書の内容が悪かったり、既存の融資をリスケジュール(返済減額・返済猶予)していたり、税金や社会保険料を滞納していたりすれば、融資の審査が通るのは難しいです。一方、ノンバンクは、そのようなことより不動産の価値を重視します。担保として評価できる不動産があれば、ノンバンクではそれを担保に融資は受けやすいです。
なぜ融資審査でそのような違いがあるのでしょうか。そこには、不動産を担保とする考え方の違いがあります。銀行では、不動産担保はあくまで、万が一返済できなくなった時に回収する手段の一つにしかすぎないものです。
融資を受けた企業が返済できなくなった時、銀行は担保としている不動産を競売して回収しようとします。ただし競売には手間と費用がかかりますし、競売の落札価格が低ければ融資の一部が回収できず、貸倒れが出てしまうこともあります。銀行は、融資した資金は全額回収となることを第一に考えます。そのため担保価値のある不動産があったとしても、それよりも決算書の内容などを重視するのです。
一方、ノンバンクは、もし返済できなくなったら競売することで全額回収できればよい、と割り切った考え方をするものです。決算書の内容が悪かろうと、銀行の融資がリスケジュールされていようと、税金や社会保険料の滞納があろうと、返済できなくなった時に担保不動産を競売して全額回収できればよい、とノンバンクは考えています。そのためノンバンクは不動産の担保価値をとても重視しますが、それが問題なければ融資は出やすいのです。
またノンバンクはこのような考え方から、第一順位ですでに別の金融機関で抵当権・根抵当権が設定されていて第二順位となるのであっても担保価値がありさえすれば、それを担保に融資を行います。一方、銀行は、第二順位で担保価値があると言っても、決算書の内容が悪ければ融資は行いません。このようなところでも違いが出てきます。
不動産担保融資 銀行とノンバンクでの違い2.担保の掛け目
不動産担保融資の審査にあたり、銀行もノンバンクも、まずは不動産の評価を行います。ただ不動産の時価をそのまま担保価値と見るのではなく、掛け目を掛けて計算した金額を担保価値と見ます。
企業が返済できなくなると、銀行もノンバンクも担保となっている不動産を競売して回収しようとしますが、融資を行った時に評価した時価で必ず落札されるとはかぎりません。また融資を行った時から不動産の相場が下落することもあります。そのため融資審査では、担保に入れる不動産を時価で評価するのではなく、掛け目を掛けて計算した金額を担保価値と見るのです。
担保価値は時価×掛け目=担保価値、で計算されますが、銀行で評価する掛け目より、ノンバンクで評価する掛け目の方が高いです。ただそれぞれの銀行やノンバンクで設定している掛け目が違いますので、ノンバンクが銀行よりも掛け目が高い傾向がある、とだけ覚えてください。
銀行では掛け目を時価の70%あたりとしていますが、ノンバンクでは掛け目を時価の70~90%あたりとしています。例えば時価5000万円の不動産の担保価値は、掛け目70%の銀行では5000万円×70%=3500万円ですが、掛け目90%のノンバンクでは5000万円×90%=4500万円になります。担保価値が高い分、大きい金額の融資を出してくれやすいです。また担保価値が高ければ、第一順位の抵当権・根抵当権が別の金融機関で設定されていて、第二順位であっても担保価値の余力が出やすくなり、融資を受けられることが期待できます。
不動産担保融資 銀行とノンバンクでの違い3.金利
銀行で不動産担保融資を受ける場合、金利は0%台~3%です。一方、ノンバンクで不動産担保融資を受ける場合、金利は3%~10%と銀行に比べて高いです。
不動産を担保に融資を受けようと考えるのなら、まずは金利が低い銀行で相談したいです。それで融資を受けられなければノンバンクを考えます。ただし銀行で既存の融資があり、毎月返済していれば、ノンバンクで不動産担保融資を受けた場合、その資金が銀行融資の毎月の返済に結果的に流れてしまいます。それは本末転倒なので、ノンバンクで不動産担保融資を受けるのであれば、一方で銀行の融資返済をリスケジュール(返済減額・返済猶予)することを検討したいです。既存の銀行融資のリスケジュールを行った上で、会社を立て直すための資金としてノンバンクから不動産担保融資を受ける、と考えたいです。
不動産担保融資 銀行とノンバンクでの違い まとめ
銀行で融資が受けられない場合、ノンバンクで融資を受けられないか考えます。無担保の場合より、不動産を担保に入れて融資を受ける場合の方が、多くの融資を受けられます。会社や経営者が所有している不動産を洗い出し、銀行の担保に入っているかどうか調べてみます。そうすると、担保価値が出てきそうな不動産が見つかることがあります。資金調達の方法の一つとして、このような方法を考えてみてください。
銀行 | ノンバンク | |
融資審査で重視すること | 決算書の内容 | 不動産の担保価値 |
不動産の担保価値の掛け目 | 小さい(70%) | 大きい(70%~90%) |
金利 | 低い(0%台~3%) | 高い(3%~10%) |