経営者が経費の無駄使いをしすぎて会社が倒産寸前の状態になってしまっているケースをよく見ます。利益が大きく出ている会社であれば、多少の無駄使いはまだよいです。しかし利益が出ず赤字であったり、少しの利益しか出ていなかったりすれば、経費の無駄使いをなくし、会社の現金をためていくことに経営者は力を入れるべきです。

筆者は、資金繰りが厳しいにも関わらず無駄使いが激しい経営者をたくさん見てきました。ここでは実際に無駄使いをしている事例を紹介します。

高級店・高級クラブでの取引先の接待

経営者が経費を使う時に考えるべきことは、経費を使うことが、後に事業に役に立つものなのかどうか、ということです。

高級店や高級クラブに取引先をよく連れて行く経営者がいます。月に10回ぐらい、いろいろな取引先を高級店に連れて行きます。取引先を連れて行って接待することで売上が上がるのなら良いです。ただしそのような効果がないのであれば、なぜ高級店に取引先を連れていこうとするのか、一度立ち止まって考えたいです。

またある経営者は月に150万円もの交際費を使っていました。その中には高級クラブの女性に会いに行くという、交際費とは言えないものも混じっていました。しかもその会社、経営者の交際費の使い過ぎで赤字でした。

従業員への度重なるごちそう

従業員に対し、ことあるごとにごちそうする経営者がいます。従業員に対しごちそうすることが、今の売上の維持につながっているのかどうか、冷静に考えてみてください。もし今のような度重なるごちそうをやめれば、売上は一気に下がってしまうのか、それとも変わらないのか。変わらないのであれば、従業員へのごちそうを全くなしにするのは反発を受けるかもしれないので、徐々に減らしていきたいです。

経営者の方では、従業員へごちそうするとやる気が出てもっと働いてくれるものだと考えていたとしても、従業員の方ではごちそうされたことをすぐ忘れてしまうかもしれません。ごちそうされるのが当たり前と思ってしまう従業員も、もしかしたら出てくるかもしれません。そのような従業員は、経費削減でごちそうされないようになると、逆に不満を持つかもしれません。従業員へのごちそうがどこまで効果あるのか、考えてみたいところです。

分不相応に立派なオフィス

分不相応に内装にお金をかけ、立派なオフィスにしていた経営者がいました。起業して3年、年商3億円の会社ですが、内装費に1800万円かけていました。儲かっている会社であればまだ良かったのですが、その会社は起業して3年、ずっと赤字を出し続けていました。しかし粉飾決算を行って銀行からたくさん借り、このような無駄使いをしていました。

起業してまだ数年しか経っていないベンチャー企業に、分不相応に立派なオフィスを作りたがる経営者をよく見ます。来社したお客さんに、自社は大きい会社である、業績が好調であるように見せたいから立派なオフィスを作ります。しかし見る人が見れば、創業して間もない会社が無理をしているように感じますし、この会社は無駄なところにお金をかけていて大丈夫か、とも感じてしまうものです。

無駄な高級車

ある年商5億円の会社は、赤字、債務超過(貸借対照表の純資産がマイナスである状態)でした。しかし1500万円のベンツをローンで買って乗り回していました。赤字に加えてベンツのローンがあったものですから、会社は火の車でした。

資金繰りが厳しい会社、赤字の会社でも、会社の社用車を高級車にし、乗り回している経営者をよく見ます。はたから見たらその経営者は儲かっているように見えます。しかし会社の社用車を買うということで銀行や信販会社のローンを組めたなど、実は儲かっていない経営者も多いものです。顧客や取引先への移動なら高級車でなくても良いはずです。高級車を乗り回しながら資金繰りが厳しいのであれば、目も当てられません。

リゾート会員権

ある経営者、起業して3年目、年商3億円の会社でしたが、リゾート会員権を2000万円で買ってしまいました。もちろんローンです。なぜ買ってしまったのか聞くと、今の自社のビジネスは将来、絶対にうまくいくから、利益を先取りして今買ったとのこと。そのようなむちゃな考え方をする経営者でしたから、その会社は1年後に倒れてしまいました。

経営者が無駄使いすると会社の資金繰りが厳しくなる

当たり前のことですが、経営者が無駄使いすると、それだけ資金がなくなり、資金繰りが厳しくなります。事業で儲けて得た資金から無駄使いをするならまだしも、利益も出ていないのに無駄使いをしたら会社の首が絞まるのは当たり前です。また銀行が運転資金に使ってくださいと融資した資金を、会社の運転資金に使わず、無駄使いに使ってしまう経営者も多くいます。

このような経費の無駄使い、後には何も残りません。後になって経営者は、何でこんなことにお金を使ってしまったのだろうと後悔します。一方、無駄使いしなければ現金が残ります。経営者の無駄使いは、会社の資金繰りを厳しくします。