多くの会社は、銀行から融資を断られたらその理由を知ろうとしません。融資を断られたら、その理由を知った上で問題を改善できるよう対策しないと、いつまでたっても銀行から融資を受けられる会社にはなりません。
銀行から融資を断られた理由をどう聞き出すか
銀行から融資を断られた時、
「総合的に判断して、融資は見送りとさせていただきます。」
と言われることがよくあります。断られた理由を知ることができなければ、融資を受けられるようになるにはどう改善したらよいのか、分からないままです。
銀行員は、融資を断る際に「総合的に判断して」と企業に伝えるように教育されています。しかし、実際には断る理由があるはずです。よほど融通が利かない銀行員でないかぎり、聞けば理由を教えてくれることが多いので、聞き出したいものです。
断られた理由を知り、問題を改善する。それにより、別の銀行ですぐに融資を受けられる、もしくは断られた銀行で数カ月後に融資を受けられることが期待できます。
銀行に対し、次のように聞いてみてください。
「今回、融資がだめであった理由を教えてください。その理由を聞いても文句は言いませんし、自社のどこがだめなのか、どう改善していくべきか、経営者としてしっかり考えたいのです。」
そう聞けば、気の利く銀行員であれば教えてくれることでしょう。もし教えてくれなくても諦めないでください。その場合、思い当たる理由を一つ一つ質問していくとよいです。
銀行の中の誰の判断で融資を断られたのかも知る
融資を断られたら、企業としては対処法を考えなければなりません。融資を断られたら理由を聞き出すとともに、誰の判断によって融資を断られたのかも聞いてみるとよいです。
「融資を断ったのは(担当者である)あなたの判断ですか、それとも銀行内で審査を行った上での判断ですか。」
「融資はどなたが反対されたのですか。」
と聞いてみてください。
銀行から融資を断られた。その経緯には次のケースがあります。
- 稟議書を作成、回覧して銀行内で審査を正式に行ったが否決となった。
- 融資の申込みを受けた担当者が、上司や支店長に報告するまでもなく融資は困難と考え、その場で断った。
- (信用保証協会保証付融資の場合)信用保証協会の判断で断った。
それぞれのケースを見てみます。
1.稟議書を作成、回覧して銀行内で審査を正式に行ったが否決となった。
融資審査のため担当者で稟議書が作成され、支店長で決裁する融資案件であれば支店長、本部で決裁するのであれば本部まで稟議書が回覧され、否決となった場合。その銀行ではすぐ挽回するのは困難です。融資を断られた具体的な理由を聞き、その銀行では次の決算後にまたチャレンジしたいものです。
なお断られた理由がすぐに解決しそうなものであれば、別の銀行にすぐ融資を申し込んでみるのもよいでしょう。例えば融資を断られた理由が「資金使途が不明確で融資を何に使うか分からない」ということであった場合。別の銀行では資金使途を明確にし、資金繰り表もあらかじめ用意して提出する、というようにです。
また、あなたの会社が銀行の担当者とのコミュニケーションはしっかり取れていたとしても、支店長や支店内の融資係長などとのコミュニケーションが不足しており自社をアピールできていないことが融資を断られた遠因となっていることもあります。
担当者に聞いたところ、支店長が融資をなかなかOKしてくれないと聞き出せた場合。その後、支店長と交流できないか考えたいです。担当者に対し、今回の融資はあきらめるが今後を考え支店長に自社をアピールする機会がほしい、と伝えてください。自社の商品・サービスを説明したり、工場や店舗に招いて見学してもらったりするなど、支店長に自社をアピールします。このような取組で支店長に好印象を持ってもらうことで、次回、融資を申し込んだ時に審査を有利に進めることが可能です。
担当者に聞いたところ、融資係長の反対が強く審査が否決となったと聞き出せた場合。あなたが今まで融資係長と面識がなく一回も話したことがないのであれば、その融資係長は自社のことをよく知らないまま、書類だけの印象で融資に反対したのかもしれません。融資係長と接触する機会を持ち、自社をアピールしたいです。
2.融資の申込みを受けた担当者が、上司や支店長に報告するまでもなく融資は困難と考え、その場で断った。
稟議書が作成されることなく、担当者の考えだけで融資を断ってきた場合。担当者を飛び越え、その上司や支店長に直談判させてもらうことが対処法です。担当者に一言も告げずに直談判をするのは良くないので、担当者に「上司(支店長)に話をさせてほしい。」と伝えてください。上司や支店長は、担当者と違って柔軟に考えてくれていることも多いです。それで融資が前に進むようになればよいです。
3.(信用保証協会保証付融資の場合)信用保証協会の判断で断った。
信用保証協会保証付融資を申し込んで後日、融資を断られた場合。確認しておきたいのが、信用保証協会の判断で断ったのか、銀行の判断で断ったのか、です。
信用保証協会の判断で断った場合。その後、他の銀行から申し込んでも同じように信用保証協会で断られてしまうことでしょう。
一方、銀行の判断で断った場合。信用保証協会にはまだ保証審査を申し込んでいない段階である可能性が高いです。信用保証協会の保証が付くからと銀行は必ず融資を行ってくれるとはかぎりません。信用保証協会にはまだ申し込んでないのか銀行に聞いてみましょう。まだ申し込んでいないのであれば、銀行を変えて再度、保証付融資の申し込みをしてください。
銀行で融資を断られた場合、その後につなげることが大事
今まで、融資を断られたら理由を探ろうともしなかった。もしそうなら、銀行員に聞いて理由を探り、問題を解決することでその後の融資が受けやすくなります。審査をしっかり行った上で断ったのかそうでないのか、誰がもっとも融資に反対したのか、これらを探ることで対策を立てやすくなります。このような取り組みで、あなたの会社が融資を受けることがうまくなっていくのではないでしょうか。