質問
弊社の現在の役員構成は、取締役3名、監査役1名です。
先日、監査役(私の祖父)が亡くなりました。この事態を受けて、今後、効率的かつ実態規模に則した会社経営を行っていきたく、取締役を1名にするなど、役員構成のいろいろなパターンを検討しています。
そこで質問です。監査役を設置しているかどうか、また取締役会が設置されているかどうかで、融資審査時など、銀行の企業に対する評価は変わるものでしょうか。
業績は、今年に入って特に悪化しており、今回の決算では大幅に赤字となり、累積赤字が大きくなっています。債務超過寸前です。
現在の銀行からの融資状況について。当座貸越の枠(500万円)を設定しており、その範囲で資金のやりくりをしている状況です。しかしここ数カ月で、その枠は残り100万円を切るところまできてしまっています。
その他に融資はありませんので当面、銀行への返済に悩むことはありません。しかし売上が低迷する中、運転資金は常に不足気味になってきています。資金が不足気味でやりたいことがなかなかできない中、経営改善が思うようにできない状況です。
このような状況で、銀行へ新たな融資を依頼する、当座貸越の枠の上限を上げる依頼をするなど、具体的な融資の話を銀行とまだ行っていません。しかし銀行に少しでも良い印象を持っておいてもらう必要はあると思います。そこで会社の役員構成を変えることが、今後の銀行の融資審査などでどのような影響を与えるか、気になっています。
(A様)
回答
監査役が設置されているかどうか、また取締役会が設置されているかどうかで、銀行からの評価の差はほとんどありません。
監査役は株主総会で選任されます。監査役の職務には、業務監査と会計監査とがあります。業務監査とは、取締役の職務執行が法令・定款を遵守して行われているかどうかを監査することです。会計監査とは、作成された決算書類が適正かどうかを監査することです。監査役が機能している場合には、法令・定款が遵守された経営が行われ、また適正な決算書類が作成されていることが期待されます。しかし実際の中小企業では、監査役は経営者の親族や知人の場合が多く、監査役の職務がきちんと行われていることが少ないです。銀行は中小企業の監査役は名ばかりの監査役がほとんどであると考えており、監査役が設置されていなくても銀行の融資審査への影響はほとんどないです。
また取締役会は、株主総会で任命された3名以上の取締役からなる、会社の業務執行の意思決定機関です。公開会社(株式を譲渡する場合に会社の承認を要するという条項を定款に設けていない株式会社)でなければ、取締役会は設置しなくてよいです。中小企業で取締役会を設置している会社はほとんどありません。銀行の融資審査において、取締役会が設置されているかどうかの影響はほとんどないです。