債務超過であれば銀行からの新規融資が難しくなる

あなたの会社の決算書を見てください。決算書の中に貸借対照表がありますが、貸借対照表の右下に「純資産の部合計」と表示されています。純資産がマイナスであれば、あなたの会社は債務超過ということになり、銀行の融資審査で不利になります。貸借対照表において、純資産は総資産から総負債を引いた金額です。純資産がマイナスということは、資産を全て負債の返済にあてても負債が残ることを意味し、銀行からは融資した資金の回収が困難な状態と見られます。

銀行から融資を受けている会社は、銀行から「債務者区分」を付けられています。債務者区分とは、銀行が融資した資金が最後まで返済できる可能性がどれだけあるかを表すものです。返済能力が高い順に「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」と区分が付けられます。要注意先になると、銀行から融資が受けにくくなります。破綻懸念先であれば銀行からの新規融資は原則不可となります。

債務超過になると銀行から要注意先以下と判定されて融資が困難に

銀行が、融資を受けている企業を「正常先」と判定するか、「要注意先」以下と判定するかは、融資取引の状況(延滞していないかなど)と、企業の財務状況によります。正常先を保つには、次の2つの要件をクリアしたいです。

  1. 営業利益・経常利益・当期利益いずれも黒字。
  2. 債務超過でない。

1について、直近の決算が赤字であっても、一時的赤字であることや、次期決算は黒字が確実である見通しであることを、銀行に説明し納得させることができれば銀行は正常先にしてくれることが多いです。一方、2について、債務超過の企業は多くの場合、要注意先以下と銀行から判定されてしまいます。

債務超過でなくても実質債務超過であれば銀行の融資審査は不利に

なお、貸借対照表上において、回収困難な売掛金・不渡りとなった受取手形・返ってくる見込みのない貸付金や仮払金など、回収見込みのないものを銀行は不良資産と判断します。純資産がプラスでも、不良資産を引くとマイナスとなる場合、銀行はその企業を「実質債務超過」と見ます。実質債務超過であっても、前に述べた債務超過と同じ状態と銀行は見てきます。そして新規融資が難しくなります。

あなたの会社が今後の融資審査を有利にするには、債務超過にならないようにしたいです。またすでに債務超過であったら、資本の増強、役員借入金など債務の免除、今後の利益の積み重ねにより、債務超過の状態を脱していきたいです。

「金融検査マニュアル」より抜粋

正常先

正常先とは、業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。

要注意先

要注意先とは、金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないしは不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者をいう。