企業が銀行に融資を申し込み、後日、審査が通ったとの連絡を受けたが、必要なくなったと企業が断る場合。もしくは、企業が同時に複数の銀行に融資を申し込み、複数で審査が通ったが、1行からの融資で足りるため他は断った場合。

このように、審査して通った融資を、企業が断るのを銀行はどう考えるでしょうか。

銀行の融資審査は多大な労力を必要とするため断るのは良くない

審査にあたり、まず稟議書を作成します。稟議とは、稟議書が作成された後、銀行内で何人かに回覧され、最後は最終決裁者で、融資を実行するかしないか決裁される仕組みです。1つの稟議書を書くのに、短くて30分、長くて2時間かかります。また稟議書は何人かに回覧されるので、その人たちが稟議書を読み、意見を書く時間がかかります。最終決裁者は支店長か、本部(審査部・融資部などの名称の部署)ですが、その人たちが稟議書を読み、融資を行うかどうか判断する時間もかかります。

このように、審査は多くの人の時間を必要とします。また融資が実行されることにより支店や担当者の営業成績が上がります。このような中、審査が通った融資を実行することなく断ることは、良い印象とならないのは当然です。

銀行員があなたの会社に不快な感情を抱いてしまえば、今後、悪い影響が出るかもしれません。また断った履歴は、銀行内で保存されます。無駄な仕事になった稟議書も残ります。後の担当者も、過去にその企業が、審査が通ったのに断ったという経緯があることを知ることになります。

このように考えると、審査が通った融資を後に断ることは、極力、避けるべきことが分かります。今回断って、後にまた申し込んだ場合、同じように審査が通るかも分かりません。借りられるうちに借りた方がよいとも言えます。審査が通ったら、よほどの事情がない限り、借りておいた方がよいでしょう。

複数の銀行で融資を申し込み審査が通った場合、断ることはどうか

同時に複数の銀行に融資を申し込み、複数で審査が通った場合、どう考えたらよいでしょうか。この場合も、全ての銀行で融資を受けておいた方がよいです。

1つの銀行から融資を受け、他は断った場合。断られた銀行からは、無駄な審査の手間をとらされただけでなく、自分のところではなく他のところにその企業はなびいたということで、良い印象は持たれないです。複数の銀行で審査が通り全てで融資を受けるのがいやであれば、同時に複数の銀行に申し込むのをやめた方がよいです。

ただ、資金が必要な日がせまっており、審査が通らないリスクを少なくするべく、やむをえず複数の銀行に同時に申し込まなければならないこともあります。その場合は仕方ありませんが、複数の銀行で審査が通ったら全てで融資を受けたいです。

なお1つの銀行で融資の申込みをする場合、いつまでに回答がほしい、と伝えておくべきです。期限を伝えておかないと、だらだら審査されて、なかなか回答をくれないこともあります。回答期限を決め、断られたら別の銀行で申込みをするなど、資金調達の策をいくつか用意しておきたいです。