質問

中小企業等経営強化法による経営革新計画の承認を受けるよう、コンサルタントから勧められます。私の会社は現在、銀行からなかなか融資を受けられないのですが、そんな会社でも経営革新計画の承認を受けることはできるのですか。

また経営革新計画の承認を受けると、銀行から融資を受けられるようになるとも言われたのですが、本当ですか。

(M様)

回答

中小企業等経営強化法による経営革新計画の承認を受けるための審査において、企業の財務内容や、銀行の融資状況は、審査内容に含まれません。

経営革新計画の承認を受けるにあたっての審査のポイントは、次のとおりです。

(1)経営革新計画には以下のいずれかの事業を含んでいること。

・新商品の開発または生産

・新役務の開発または提供

・商品の新たな生産または販売の方式の導入

・役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動

(2)経営革新計画の数値目標として、以下であること。

「付加価値額」または「従業員一人当たりの付加価値額」

・3年計画で9%以上の伸び率

・4年計画で12%以上の伸び率

・5年計画で15%以上の伸び率

「経常利益」

・3年計画で3%以上の伸び率

・4年計画で4%以上の伸び率

・5年計画で5%以上の伸び率

ここには、企業の財務内容や、銀行の融資状況がどうかという審査項目はありません。そのため、財務内容が悪い企業や、銀行からなかなか融資を受けられていない企業でも、経営革新計画の承認を受けることはできます。

次に、経営革新計画の承認を受けることのメリットについて。メリットは、経営革新計画で承認された事業に対し、信用保証協会で別枠の保証枠ができる、日本政策金融公庫で低金利の融資が受けられる、補助金、販路開拓支援、その他の支援を受けられるようになる、です。ここで重要なのは、経営革新計画の承認を受けることにより、これらのメリットを必ず受けられるわけではなく、あくまでこれらのメリットを受ける資格ができるだけ、ということです。

経営者の中には、経営革新計画の承認を受ければ、今まで受けられなかった融資を受けられるようになると勘違いする人もいます。しかし融資は、あくまで、銀行や信用保証協会、日本政策金融公庫による審査しだいです。経営革新計画の承認を受けているからといって、融資が出やすくなるわけではありません。

しかし、経営革新計画の承認を受けた企業が、承認を受けた事実を銀行にアピールすることにより、経営革新計画で承認された事業のための運転資金や設備資金の融資を銀行や信用保証協会が出してくれるようになった事例もあります。

ただ、経営革新計画で承認された事業のための融資が出た後、金融機関から後に、経営革新計画通りに事業が行われているかチェックされます。経営革新計画で承認された事業で銀行から融資を受けたがその後、その事業を進めていかないのは、後で、金融機関で問題になりやすいです。