質問

私は5年前より、人材派遣業の会社を経営している経営者です。直近1年間は、2年前に比べて売上が8割も落ち込んでしまいました。その中、税金と社会保険料が支払えず、消費税の滞納が70万円、社会保険料の滞納が200万円あります。

今回、銀行に相談し、信用保証協会保証付融資を申し込みましたが、断られました。実は7年前に、私(経営者)と妻が自己破産をしており、それが融資不可の理由でした。なお、自己破産している中で会社を立ち上げられたのは、私に支援してくれる人から出資を受けられたからです。今はその人に追加の出資を頼むのは難しい状況です。なお今回、会社を立ち上げてから初めての融資の申込みです。

このような状況ですが、銀行など、融資を受ける方法はあるでしょうか。

(M様)

回答

人材派遣業は、売上が大きくなるほど売掛金も大きくなり、一方で売上原価である派遣社員への給与は売掛金回収より先払いとなるのが通常です。そのため運転資金の調達の必要性が高い業種です。

今まで5年間、無借金で、はじめの出資金だけで、資金を回してこられたと見受けます。人材派遣業は上記のような特性から、売上が減少したら逆に資金繰りが楽になります。そのような状況で資金不足ということは、赤字で資金が足りなくなっているのでしょう。赤字の会社に対し、銀行は融資審査を厳しくします。自己破産歴があるならなおさらです。

自己破産歴は、あなたが銀行や信用保証協会に伝えなくても、個人信用情報機関で、下記の期間、表示されます。

CIC…5年

JICC(日本信用情報機構)…5年

全国銀行個人信用情報センター…10年

全国銀行個人信用情報センターでは自己破産の情報は10年表示されるのですが、あなたの自己破産は7年前なので、銀行に融資を申込むのが早かったかもしれません。

なお今回は信用保証協会保証付融資を断られたとのことですが、もしあなたが、以前に経営者であった会社で信用保証協会保証付融資を完済できずに貸倒れを出させたのであれば、今の会社でも信用保証協会保証付融資を受けることはほぼ無理です。銀行や日本政策金融公庫でも同様です。以前に経営者であった会社で融資を受け、返済できずに貸倒れを出させ、その後に完済していない状態であれば、貸倒れを出させた金融機関において、今の会社でも新たな融資を受けるのは困難です。この場合、自己破産をしていなくても、です。

このような状況の経営者は、次のように融資を受けているケースをよく見ます。

  • 以前に経営者であった会社で貸倒れを出していない銀行で、プロパー融資(信用保証協会の保証を付けない融資)を受ける。
  • ノンバンク(オリックスやアプラスなど)が保証会社となっている融資を取り扱っている銀行を探し、そこでノンバンク保証の融資を受ける。
  • ビジネクストやビジネスパートナーなど、ノンバンクで融資を受ける。

個人信用情報で経営者の自己破産歴が消えていない中、融資を受けられた経営者はどんなワザを使ったのでしょうか。

  • 銀行のプロパー融資の審査は経営者の個人信用情報を見ないで行うことが多く、それで自己破産歴を見られることなくプロパー融資を受けることができた。
  • ノンバンクは全国銀行個人信用情報センターに加盟していないのが通常であり、ノンバンクに融資を申し込んで、5年以上前の自己破産歴を見られることなく融資を受けられた。

このように、経営者の自己破産歴があっても、また以前に経営者であった会社で金融機関に返済できず貸倒れを出させた経緯があっても、金融機関や個人信用情報の仕組みを理解すれば、融資を受ける道はあります。