ベンチャーキャピタルからから資金調達できるのは100社中1社
ベンチャーキャピタルは、中小企業に出資し、その株式が上場することによる売却益、もしくは企業価値が向上し値上がりした株式を他者に高く売却することによる売却益で利益を得ることを業とします。そのため、成長スピードが早い企業、つまり売上・利益の伸びが大きい企業、もしくは今後伸びることが期待できる企業が、ベンチャーキャピタルの投資対象になります。
ベンチャーキャピタルは投資する企業を厳選します。100社、投資候補企業がベンチャーキャピタルに持ち込まれ、うち10社に対し真剣に投資が検討され、うち1社が、実際に投資される企業です。また、投資を検討する期間は数ヶ月かかります。
資金繰りが回らないからとベンチャーキャピタルからの資金調達を期待して資金繰りを回そうとしても、難しいです。ベンチャーキャピタルから、投資する価値があると思ってもらえる100社中1社とならなければなりませんし、またベンチャーキャピタルと知り合ってから投資実行までの時間もかかります。
銀行や日本政策金融公庫では、融資した資金が将来返済されるかどうかが審査の重要ポイントです。一方、ベンチャーキャピタルでは投資先企業が将来大きく成長する期待が持てるかが審査の重要ポイントです。銀行等から融資を受けるのと同じ感覚でベンチャーキャピタルからの資金調達を考えてはいけません。
ベンチャーキャピタルからの資金調達の特徴は、銀行等から融資を受ける場合と違い、出資であることです。株式を持たれるということは、経営に参加されることを意味します。取引先や提携先など人脈を紹介してもらえる良い面もありますが、一方で経営に細かく口出しされることもあります。またベンチャーキャピタルは出資先企業に急成長を求めるため、売上を早く伸ばそうと無理な経営をしてしまう経営者は多いです。このようなベンチャーキャピタルからのプレッシャーに耐えられるかどうか、ベンチャーキャピタルから資金調達しようとする経営者は考えておかねばなりません。
ベンチャーキャピタルからの資金調達が適しているケースで多いのは、売上や利益が、会社を立ち上げてから数年は上がらず、銀行や日本政策金融公庫からも借りられない、一方で事業を急成長させるために大きく資金調達したい、このようなパターンです。
ベンチャーキャピタルと知り合う方法
ベンチャーキャピタルと知り合おうと考えても、銀行や日本政策金融公庫と違い、どのように近づいたらよいか分からない経営者は多いのではないでしょうか。ベンチャーキャピタルのホームページから接触を試みようとしても、多くのベンチャーキャピタルでは受け付けてもらえません。
ベンチャーキャピタルは、スタートアップ企業(新しいビジネスで急成長している、もしくは急成長することが期待できる企業)向けの交流会に顔を出すことがよくあります。そのような場で名刺交換し、後日アプローチするのが一つの方法です。またベンチャーキャピタルからすでに投資を受けている経営者の知り合いがいれば、その人からベンチャーキャピタルを紹介してもらう方法もあります。
またベンチャーキャピタルは、新聞・雑誌・ネットニュースなどの記事をよく見ているものです。それらを見て、面白そうと思った企業に声を掛けています。そのような媒体に自分の会社が載るようにし、ベンチャーキャピタルに知ってもらうよう仕向ける、という方法もあります。
事業会社や個人投資家から出資してもらうことで資金調達
事業会社も、出資してもらう候補となる一つです。事業会社が出資をするのは、株式上場による利益や株式の他者への売却による利益に加え、その事業会社と出資先企業の事業との相乗効果をねらう場合もあります。コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)と言って、事業会社自らがベンチャーキャピタルを持ち、投資先を探している場合もあります。
また個人の投資家も、出資してもらう候補の一つです。現役経営者や、過去に事業を行って一財産を築いた元経営者などで、個人投資家になるケースが多いです。そのような投資家は、経営経験が豊富であるため、投資してもらうとともに経営アドバイスを受けられることも期待できます。また取引先や提携先などを紹介してもらえるかもしれません。
事業会社や個人投資家から投資してもらう場合も、ベンチャーキャピタルと同様、株主として経営に細かく口出しされることが多いです。これは、事業会社や個人投資家から資金調達しようとする経営者であれば頭に入れておかねばなりません。
投資してもらう事業会社や個人投資家を探すには、次の方法があります。
- 知人に紹介してもらう。
- 経営者が多く集まる交流会で知り合いを増やす。
- 投資家やベンチャーキャピタルに向けてプレゼンテーションを行うコンテストに参加する。
- 投資をしてもらいたい事業会社に直接連絡する。