高金利で資金調達できる金融会社にはどのようなところがあるか

中小企業が融資を受けたい時、まず思い浮かべるのは、銀行や日本政策金融公庫でしょう。これらの金融機関では、金利は年1、2%台、うまくいけば1%を切る金利で融資を受けることができます。

しかし決算書の内容が芳しくないなどの理由で、銀行での融資審査が通らない時。一方で仕入や外注費、給与などの支払日がせまっていれば、経営者は困ってしまいます。その場合、多くの経営者は、高金利の金融会社で資金調達できないか、考えます。なお高金利とは、年利10%~20%の金利です。銀行で融資を受けるよりとても高い金利ですが、支払日がせまっている中で背に腹は代えられないと経営者は考えます。

高金利で資金調達できる金融会社には、次のようなものがあります。

  • 企業向けノンバンク(ビジネクスト・ビジネスパートナーなど)
  • 個人向け消費者金融(アコム・プロミス・アイフル・レイクなど)
  • 個人向け銀行カードローン
  • クレジットカードのキャッシング

高金利の資金調達手段の中には、個人向けの銀行カードローンのように、銀行からの融資でも金利が高いものもあります。銀行は、貸倒れリスクに応じた高金利の融資商品を作り、収益の機会を広げています。

高金利と言うものの昔より金利は下がり金融会社から資金調達しやすくなった

高金利と言っても上限があります。上限金利は、出資法と利息制限法で決められています。利息制限法で決められている現在の上限金利は、融資金額10万円未満で年20%、10万円以上100万円未満で年18%、100万円以上で年15%です。出資法では、年20%を超える利息をとれば金融会社は刑事罰の対象となり、また利息制限法で定められた上限金利を超える利息をとれば金融会社は貸金業法の行政処分の対象となります。

高金利とは言うものの、昔に比べたら法律で決められる上限金利は下がってきました。利息制限法での上限金利は1954年以降現在まで変わらないのですが、出資法の上限金利は1983年まで年109.5%、1983年から1986年まで年73%、1986年から1991年まで年54.75%、1991年から2000年まで年40.004%、2000年から2010年まで年29.2%、そして2010年以降年20%となりました。

この利息制限法と出資法の間の金利は「グレーゾーン金利」と言います。利息制限法の上限金利を超えても出資法の上限金利内であれば金融会社に刑事罰は科せられず、金融会社は実質、出資法の金利を上限金利として高金利をとってきました。それが2006年に貸金業法が改正され、グレーゾーン金利が廃止されました。

高金利で金融会社から資金調達することはやってはいけないことなのか

金融会社は昔、出資法の金利を実質の上限金利としていたので、年利29%とか年利40%の時代がつい最近まで続いたのですが、2006年以降は上限金利15~20%となり、昔に比べて低い金利で金融会社から融資を受けられるようになりました。

また昔は金融会社が、融資を受ける会社に関係のない保証人(第三者保証人)を融資にあたって要求することが多く、そして返済できなくなった時の第三者保証人への取立てが厳しく、1999年前後に社会問題となりました。その問題を機に多くの金融会社は第三者保証人をとらなくなり、金融会社から融資を受ける際の問題とはならなくなりました。

このようなことから、昔に比べて金融会社から高金利で融資を受けることへのハードルは低くなっています。また金融会社から無担保で融資を受ける場合でも、金額は少ないものです。金融会社1社からせいぜい100万円~200万円ぐらいです。金利は15%であっても、200万円の融資であれば年間の利息は200万円×15%=30万円、月にすると2万5千円です。銀行から2,000万円を年利1.5%で借りるのと同じです。

このように、高金利の金融会社から融資を受けることは、金利は高いものの利息の絶対額は大きくはなりません。また貸金業法の規制が厳しくなり、返済できない時の取立ても昔に比べて穏やかになっています。このようなことから、高金利の金融会社から資金調達することは昔に比べて、やってはいけないと言われることが少なくなっています。銀行から低い金利の融資を受けられない場合、銀行から受けている既存の融資のリスケジュール(返済減額・返済猶予)を行った上で、会社を立て直すための資金として高金利の金融会社から融資を受けること。これは、資金繰りが緊急事態に陥ってしまった時にとることのできる方法の一つです。

なお、なぜ高金利の金融会社から融資を受ける時に、合わせて銀行の既存の融資をリスケジュールすべきか。銀行から融資が受けられない状況で高金利の金融会社から資金調達したら、銀行からの低金利融資の返済をリスケジュールせずそのままにしておくと、高金利で調達した資金が低金利融資の返済に結果的にまわってしまい、本末転倒だからです。

高金利の金融会社から資金調達する時は特に経営改善を進めなければならない

銀行から低い金利の融資を受けられずこのままでは資金繰りが回らないため、高金利の金融会社から資金調達をせざるをえない時。それは、会社にとって緊急事態と言えます。既存の銀行融資をリスケジュールするとともに、経営改善を早急に進めなければなりません。高金利の金融会社から資金調達せざるをえないことは、正常ではなく異常な事態なのです。経営者はそれを当たり前と考えてはいけません。高金利の金融会社から資金調達するのであれば、経営改善を一気に進め、早く返済できるようにしてください。