個人信用情報とは、個人の借入れや、個人が連帯保証人となっている借入れに関する情報のことです。個人が新たな借入れを行いたい時、金融会社が審査で個人信用情報を参考にするだけでなく、個人が代表者となっている企業が借入れを行おうとする時も、審査で参考にされます。

個人信用情報で、破産・債務整理・既存の借入れの延滞などのブラック情報があると、新たな借入れの審査は著しく不利になります。またブラック状態でなくても、高金利の金融会社から借入れしていたり、たくさんの金融会社から借入れがあったりする状況であると、新たな借入れの審査に影響があります。

では個人信用情報が良くないと、どこの金融会社でも新たな借入れの審査に影響が出てしまうのでしょうか。銀行、日本政策金融公庫、ノンバンク、3つを見てみます。

銀行では新たな借入れの審査で個人信用情報をどう見るのか

銀行で新たな借入れを申し込むと言っても、いくつかパターンがあります。それぞれのパターンを見てみます。

1.銀行のプロパー融資(信用保証協会や保証会社の保証がつかない融資)

銀行のプロパー融資では、新たな借入れの審査で、代表者の個人信用情報を見ないことが普通です。正確に言うと、銀行は個人信用情報を見ようとすれば見ることができますが、見ないのです。後に述べるノンバンクと違い、銀行は借入れを行おうとする会社の、決算書など財務情報に審査の重点を置いています。

事業を行うことで得られる利益から発生する現金を原資として借入れの返済を行ってもらう、という考え方を銀行は持っています。そこに代表者の個人信用情報は関係してきません。業績が良く利益がしっかり出ている、もしくは財務内容が良いため倒産の可能性がほとんどない、そんな会社は銀行から借入れしやすいです。

2.銀行の信用保証協会保証付融資

信用保証協会保証付融資とは、銀行の融資に信用保証協会の保証を付ける融資のことです。もし企業が返済できなくなったら、信用保証協会が代わりに返済(代位弁済と言います)を行うため、銀行から借入れしやすくなります。信用保証協会保証付融資では、銀行の審査と、信用保証協会による保証審査が行われます。

まず銀行では、プロパー融資と同様、代表者の個人信用情報を見ないことが普通です。信用保証協会でも同様、個人信用情報を見ないことが普通です。

信用保証協会は各都道府県に1つ以上、全国で51の協会があります。そのうち個人信用情報機関に加盟している協会は6つしかありません。また加盟している信用保証協会でも、保証の審査を行う時に個人信用情報は見ないことが普通です。ただし加盟している信用保証協会では、企業が初めて信用保証協会を使おうとする時、個人信用情報を見ることがあります。

全国銀行個人信用情報センターに加盟している信用保証協会

東京信用保証協会・愛知県信用保証協会

CICに加盟している信用保証協会

なし

日本信用情報機構(JICC)に加盟している信用保証協会

栃木県信用保証協会・神奈川県信用保証協会・山口県信用保証協会・沖縄県信用保証協会

3.銀行のノンバンク保証付融資

ノンバンク保証付融資とは、銀行と提携しているノンバンク(オリックスなど)が保証会社になる融資です。信用保証協会保証付融資と同様、企業が返済できなくなったら代位弁済するため、銀行から借入れしやすくなります。

ノンバンク保証付融資では、保証会社となるノンバンクが保証の審査を行う時、代表者の個人信用情報をチェックします。ただし保証会社となるノンバンクでは、代表者や代表者が経営する会社が高金利の金融会社から借入れしていたり、たくさんの金融会社から借入れがあったりする場合でも、ブラック状態でなければ保証してくれることは多くあります。

日本政策金融公庫では新たな借入れの審査で個人信用情報をどう見るのか

日本政策金融公庫は、新たな借入れの審査にあたり、CICという個人信用情報機関で代表者の個人信用情報をチェックします。ただし高金利の金融会社から借入れしていたり、たくさんの金融会社から借入れがあったりする場合でも、ブラック状態でなければ融資を出してくれるケースは多くあります。なお日本政策金融公庫では、融資審査にあたって現在どこでいくら借入れがあるか聞いてきます。うそをついたところで、日本政策金融公庫が個人信用情報を見ることでバレてしまい、逆に企業や代表者に対する印象が悪くなってしまいます。

ノンバンクでは新たな借入れの審査で個人信用情報をどう見るのか

ノンバンクとは、銀行でない金融会社のことを言います。企業に融資するノンバンク(ビジネクスト・ビジネスパートナーなど)、個人に融資する消費者金融(アコム・アイフル・プロミスなど)、クレジットカードのキャッシング、などがあります。これらは企業が銀行から融資を受ける場合に比べて高金利(年利10~20%)であることが特徴です。また銀行が個人に融資するカードローンのほとんどではノンバンクが保証会社となっていて、また金利が高いことから、ノンバンクと一緒に考えてよいでしょう。

ノンバンクでは、新たな借入れの審査で個人信用情報をとても重視します。ブラック状態であったら新たな借入れはほぼ不可能。ブラック状態でなくても多くの金融会社から借入れがある場合には、その度合いによって新たな借入れが難しくなります。またノンバンクでは、現在の代表者の借入れ状況の他、代表者もしくは企業が最近、別のノンバンクで借入れを申し込んでいるかどうかの情報も見てきます。

個人信用情報では借入れ情報の他、最近6カ月以内に申し込んだ借入れの履歴も見ることができます。別のノンバンクで借入れを最近申し込んで、現時点でそのノンバンクから借入れしていなければ、そのノンバンクの借入れの審査が通らなかった、と推測されてしまいます。このような情報を見られても、新たな借入れが難しくなります。

なお日本信用情報機構(JICC)という個人信用情報機関は、個人だけでなく法人の信用情報も収集していて、加盟している金融会社はその情報も見ることができます。法人の借入れの連帯保証人に代表者がなっていれば、個人信用情報でも法人の借入れの情報を見ることができるため、法人の信用情報が見られることを別に警戒しなければならないわけではないですが、覚えておくとよいでしょう。

銀行は決算書重視、ノンバンクは個人信用情報重視

このように、金融会社それぞれで、新たな借入れの審査で代表者の個人信用情報をどう見るか、違います。銀行・信用保証協会は決算書重視、ノンバンクは個人信用情報重視、そして日本政策金融公庫は決算書重視であるが個人信用情報も気にする、ということです。

個人信用情報機関には3つあります。全国銀行個人信用情報センター、CIC、日本信用情報機構(JICC)です。それぞれの個人信用情報機関で自分の信用情報を容易に取得できるので、気になるところがあれば調べてみてはいかがでしょうか。