融資審査のカギを握る第一のキーマンは誰だ?

銀行の融資審査は稟議で行われます。担当者が稟議書を書き、銀行内で稟議書が何人もの人に回覧され、最終決裁者が最後、融資の可・否を決めるというやり方です。

稟議書が書かれると、最終決裁者まで何人もの人に回覧されます。最終決裁者は支店長の場合と本部(融資部・審査部など)の場合とがあります。支店長が最終決裁者の場合。他の銀行員が全て「この融資は実行するべきでない。」と否の意見を書いたとしても、支店長が可と言ったら審査は通ります。逆も同じです。

また支店長ではなく本部が最終決裁者となる場合でも、支店長が可で通してくれなければ、稟議書は本部に上がりません。また支店長が可として本部に通してくれた稟議書は、その後、本部が審査を通すのに慎重になった場合、支店と本部との交渉になります。支店長は本部との交渉の中で、融資を通したいと意見を言ってくれることも多いです。

以上を考えると、融資審査を通すための第一のキーマンは支店長です。

融資審査のカギを握る第二のキーマンは誰だ?

支店長は支店を経営する役職であり、支店の業績を伸ばすため多忙です。支店長は融資審査を行うだけではありません。支店が取引している中で重要な顧客を訪問したり、銀行の本部から部長や役員が支店にやってきたら対応をしたり、顧客とゴルフの付き合いをしたり、地域の会合へ参加したりするなど、支店長は実に多忙です。

そのため支店長は融資審査の稟議書を、時間をかけてじっくりと見ることはなかなかできないものです。融資審査において、稟議書を細かく見て支店長に意見を述べる立場であるのは支店の中の融資係長であり、支店長は融資係長の意見を尊重するものです。そう考えると、融資係長は融資審査を通すための第二のキーマンです。なおここでは、融資係長を支店の融資係のトップという意味で使います。

2人のキーマンと顔見知りでないと融資審査でなぜ不利になるのか

以上のように融資審査のキーマンは、1.支店長、2.融資係長、です。しかし企業からすると、支店長と融資係長は、会う機会が少ない人たちです。

銀行は融資審査を稟議で行っています。稟議書にどのように書かれるかにより、融資審査の結果は左右されます。融資を申し込んで稟議書が書かれて審査のため回覧された場合。融資を申し込んだ企業の経営者と会ったことのない銀行員であれば、稟議書を読んで企業の事業内容や商品・サービス、業績、今後の経営計画などを知るしかありません。経営者が考えていることが、稟議書が回覧されるだけでは銀行、特に支店長や融資係長に十分に伝わらないことがあります。

それを克服するために、支店長や融資係長と顔見知りになっておくとよいです。支店長や融資係長と実際に会った時、自分の会社の事業内容、商品・サービス、業績、経営計画、会社のビジョンなど、経営者の口から語りたいものです。支店長や融資係長の方では、全く会ったことのない経営者より1回でも会ったことのある経営者の方を信用しやすいです。もしあなたが支店長や融資係長と会ったことがなければ、会う機会を作ってください。

融資審査の第一のキーマン・支店長とどのように知り合うか

支店長と会う機会をどのように作るか。決算説明を行う機会を設けるとよいです。決算説明とは、年1回、決算書ができた後、経営者が銀行に訪問し支店長に決算書の説明をすることです。

銀行が高い評価をする会社の多くは決算説明を行っています。銀行の担当者に頼んで支店長とアポイントをとってもらい、決算説明を行いに銀行に訪問してください。決算説明では、決算書内容の説明の他、自社の事業内容、商品やサービス、経営計画や会社のビジョンなどを説明し「時間があったら今度、私の会社に遊びに来てくださいよ。」と伝えてみてください。事務所や店舗・工場など現場を見てもらうことで、支店長があなたの会社のことを理解しやすくなります。

融資審査の第二のキーマン・融資係長とどのように知り合うか

融資係長と会う機会をどのように作るか。3カ月に1回程度、試算表を持って支店に訪問し、融資係長に会いに行ってください。そして自社の事業内容や商品、サービス、業績、経営計画、将来のビジョンなどを話します。そうすると融資係長はあなたの会社のことを理解してくれ、良い印象を持ってくれることでしょう。

銀行の融資審査で、稟議書に否定的な意見を書くのはだいたい融資係です。なぜなら融資係は、貸倒れを出さないことで上から評価されるからです。その融資係にあなたの会社について良い印象を持ってもらい、その結果、融資審査時、稟議書に前向きなことを書いてくれれば、それだけ審査が通る可能性は高くなります。

銀行の中の知り合いをたくさん作る

多くの会社では、担当する得意先係(営業係)の銀行員や、支店の窓口で預金や振込などを受け付けてくれる銀行員ぐらいしか知らないものです。しかし融資審査の2人のキーマンである支店長や融資係長と知り合っておきたいです。2人のキーマンと知り合いになれたら、融資審査は有利になります。もし2人のキーマンと知り合いになっていなければ、行動してみてください。