信用金庫とはどのような金融機関なのか

中小企業が融資を受ける金融機関には、メガバンク、地方銀行とともに、信用金庫、信用組合もあります。この中で信用金庫とは、信用金庫法に準拠している金融機関です。銀行とは成り立ち・存在意義が違います。

信用金庫法第1条では「国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するため、協同組織による信用金庫の制度を確立・・・」とあります。信用金庫は営利目的の会社ではなく、協同組織、となります。

また信用金庫は「会員」の相互扶助を目的に預金・融資を行うものです。その会員資格は

  • 個人事業主でも法人でも、常時使用する従業員の数が300人を超えない。
  • 資本金・出資総額が9億円を超えない。
  • 信用金庫の地区内に事業所を有する。

です。信用金庫は会員からの出資により成り立っており、一部の融資を除き融資は会員に対し行われます。そのため上記の条件に当てはまる会社でないと、信用金庫からは融資を受けられないことになります。

信用金庫の合併が進むことによる中小企業のデメリット

信金中央金庫の統計によれば、2019年5月末において全国の信用金庫の数は259あり、信用金庫業界の貸出金合計は71兆1944億円です。単純に割ると1信用金庫あたり2749億円です。これが信用金庫の貸出金の平均であり、その数字と比較してそれぞれの信用金庫の規模はかることができます。

なおこの20年前、1999年5月末の全国の信用金庫の数は395、信用金庫業界の貸出金合計は70兆1194億円でした。1信用金庫あたり1775億円です。20年前に比べて信用金庫の数は395→259と大きく減少しましたが、一方で信用金庫業界の貸出金は70兆1194→71兆1944億円と逆に増えています。生き残るために信用金庫が合併を繰り返し、貸出金の集約が進んできたことが分かります。

近隣の信用金庫同士が合併することが普通であることを考えると、信用金庫の合併は中小企業にとって、融資を受けられる金融機関の数が減少するという、デメリットになります。合併は現在も進んでいるため、特に近隣の信用金庫の合併には注目していきたいものです。

信用金庫は地方銀行に比べて小さい存在なのか

中には下位の地方銀行を上回る貸出金がある信用金庫も多くあります。例えば2019年7月時点の貸出金で、信用金庫業界トップの京都中央信用金庫(京都府)の貸出金は2兆2885億円、2位の城南信用金庫は2兆383億円あります。一方で地方銀行の中で、2019年4月時点の貸出金で最小は佐賀共栄銀行(佐賀県)の1681億円、2番目に小さいのは長崎銀行の2262億円です。全体で見ると地方銀行の方が信用金庫より規模は大きいというものの、個別で見ると地方銀行の方が信用金庫より規模が大きいとは必ずしも言えません。

信用金庫とつきあうことによる3つのメリット

日頃、メガバンクや地方銀行を中心に銀行取引をしている企業経営者からしたら、銀行に比べて信用金庫はどうしても軽視しがちです。しかし信用金庫と取引すると、下記の面で企業にメリットがあります。

  1. 金額が小さい融資、短期返済の融資でも信用金庫は嫌がらずに行ってくれやすい。
  2. 得意先係がこまめに訪問してきてくれるためその時に融資の相談をしやすい。
  3. 信用金庫も含めると融資を受ける金融機関の選択肢が増える。

メリット1.金額が小さい融資、短期返済の融資でも信用金庫は嫌がらずに行ってくれやすい。

企業から融資の申し込みがあった場合、融資金額が数億円でも、数百万円でも、金融機関の中で審査にかける時間に大きな差があるわけではありません。そのため銀行、その中でもメガバンクや地方銀行の上位行などは、できるだけ金額の大きい融資を行いたく、一方で数百万円程度の融資を申し込まれても面倒くさがる銀行員もいます。銀行は営利を目的とした民間企業の一つであり、また銀行の支店には本部から課される営業目標があるため、それを達成するために効率的に業務を進めたいと銀行員は考えがちです。

一方で信用金庫は、相互扶助を目的とした協同組織であり、数百万円程度の融資は日常茶飯事で行われています。また、例えば建設業などでありがちな、材料代や外注費の支払いが先に来て売掛金入金が後となる間をつなぐ資金のような、短い返済期間の融資でもこまめに対応してくれます。

信用金庫は、このように使い勝手が良いことがメリットの1つです。融資金額が小さいと相対的に審査コストは高くなりますから金利は高めになりますが、そもそも融資金額が小さければ利息の金額は大きな金額にはなりません。金額が小さい融資、もしくは短期間で返済する融資を何回も受けたい会社は、信用金庫の活用を考えたいです。

メリット2.信用金庫は得意先係がこまめに訪問してきてくれるためその時に融資の相談をしやすい。

信用金庫では、得意先係が、外で企業を回り営業活動を行います。中には一日30件~50件を訪問する職員もいます。ひんぱんに顔を出してくれるのが信用金庫の職員です。上司から、とにかくお客さんをこまめに回って融資のネタなど情報を集めてくるように、言われています。

定期積金の集金のための訪問は、地方銀行ではほとんど行われなくなってしまいました。一方で信用金庫の多くでは、企業への訪問の機会を多く作り、企業から情報を多く集めるために、いまだ行っています。毎月数万円の定期積金の契約を行ったら、職員が毎月訪問してくれるようになる信用金庫は多いです。

定期積金の集金のための訪問を行わない方針である信用金庫でも「毎月○日~○日のあたりに来てほしい」というように伝えておけば、訪問してくれることでしょう。このようにこまめに訪問してくれると、融資の相談はしやすいです。

なお、定期積金の訪問に来てくれる職員の中には融資の知識が乏しい職員も多くいます。この場合、融資の相談をすると、信用金庫の支店の中の融資係につないでくれます。しかし融資の相談をされたことを忘れてしまう職員もいるため、きちんと話をつないでくれるよう、しっかり見ておきたいものです。

メリット3.信用金庫も含めると融資を受ける金融機関の選択肢が増える。

信用金庫の貸出金は前述のように1信用金庫あたり2749億円です。しかし業界の中で、貸出金が1兆円を超える大規模の信用金庫もあり、そこまでいかなくても5000億円を超えれば大きな信用金庫と言えます。それぞれの信用金庫の貸出金は、信用金庫のホームページやディスクロージャー誌などで調べることができます。ある程度の規模である信用金庫は、地方銀行と同様に考えて良いことになります。

複数の銀行から融資を受ける場合、メガバンクや地方銀行だけでは選択肢が少なくても、信用金庫も合わせれば選択肢が多くなります。地元にはどのような信用金庫があるかを把握し、信用金庫も含め融資を受ける金融機関の構成を考えていきたいものです。

信用金庫とつきあうことにより3つのメリットまとめ

信用金庫とつきあうことによる3つのメリットを最後にまとめます。

  1. 金額が小さい融資、短期返済の融資でも信用金庫は嫌がらずに行ってくれやすい。
  2. 得意先係がこまめに訪問してきてくれるためその時に融資の相談をしやすい。
  3. 信用金庫も含めると融資を受ける金融機関の選択肢が増える。

これらの信用金庫のメリットを、うまく活用していきたいものです。