あなたの会社は、仕入先から商品や原材料を仕入れる時や、外注先へ仕事を発注しようとする時、価格交渉を行うのではないでしょうか。しかし銀行から融資を受けようとする時、価格交渉、つまり金利交渉を行わない会社は多くあります。
融資の金利は、一部の制度融資を除き企業と銀行との交渉により決まります。「自分は銀行と金利交渉をしたことがないよ。」という方は、今までずっと銀行の言うままに高い金利を設定されて融資を受けてしまっているかもしれません。
企業側が意識して金利交渉に臨めば、低い金利を実現でき、支払利息を減らせます。多くの会社では経費削減に力を入れているものですが、低い金利で融資を受けることも経費削減策の一つです。
銀行内部では基準金利が決められているがそれにとらわれず金利交渉できる
銀行の内部では、企業の信用格付別、返済期間別、保全率別(保全率とは、融資先企業ごとに、融資が担保や信用保証協会の保証によって保全されている金額をその企業への融資総額で割ったもの)で基準金利を決めています。しかし、必ず基準金利以上の金利としなければならないものではありません。
融資審査を行う時、銀行内で稟議書を作成・回覧しますが、金利は稟議書に書くことの一つです。企業から融資を申し込まれた時、担当の銀行員は企業と話し合って金利を決め、稟議書に書きます。稟議書が回覧され審査が通った後、企業からの希望で稟議書に書いた金利より低い金利とするには再度、稟議書を回覧しなければなりません。銀行としては手間なのでやりたくないでしょう。企業が銀行へ金利交渉を行うタイミングは融資申し込み時です。
ここで企業が金利のことを言ってこないのであれば、銀行員は自分の考えるままに金利を決め、稟議書を作成し回覧します。あまりにも高い金利であれば企業から後で文句を言われるので限界はありますが、この金利であれば後で文句を言われないだろうという金利を設定して稟議書に書きます。
なお銀行員は、その会社で行った前回融資の金利を新たな融資の金利でも適用しようと考えることが多いものです。企業から金利の話をされなければ、前回の金利より高い金利にしようと考えることもあります。金利を引き上げられば、その銀行員は銀行内で評価されるからです。
新たな融資を低い金利とするため企業が行える銀行との交渉方法とは
低い金利で融資を受けられるようにする第一歩は、融資の申し込み時に金利の話をすることです。前回の金利から引き上げられるのは論外として、前回の金利から引き下げられないと思い込むのではなく、金利の交渉をしていきたいです。
融資申し込み時に企業側から金利の話をするのは当然のこととして、金利を低くしていくために行いたいことは次のとおりです。
- 金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、という印象を銀行に植え付ける
- 銀行間で競争させる
1.金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、という印象を銀行に植え付ける
はじめから金利が決められている制度融資を除き、新たな融資の申し込みにおいて、必ず金利の交渉をします。銀行員が言ってきた金利には抵抗することを心がけます。
銀行から借りてくれと言われることが多い会社であれば金利交渉は行いやすいでしょう。一方、業績や財務内容が悪いなどで銀行から融資を受けづらい会社の場合、銀行と金利交渉をするのは気が引けるかもしれません。その場合でも融資の申し込み時に金利をどう考えているかを聞き、
「その金利では、うちの経営状態ではとても払えない。」
「経営改善のため経費削減を進めている。銀行にも低い金利で協力してほしい。」
と言って、銀行員が言ってきた金利に抵抗します。
このように金利交渉しても、銀行はその交渉に乗らず金利を低くしてくれないかもしれません。しかし金利にうるさい会社、金利にうるさい経営者、という印象を植え付けることに意味があります。
そのような印象を銀行員に植え付けることで、今後の融資では銀行員に「あの社長は金利にうるさいから、あまり高い金利は提示できないなあ。」という意識が働き、金利が低くなっていくことを期待できます。
2.銀行間で競争させる
世の中には価格競争があり、銀行でも同じです。複数の銀行から融資を受けている会社において銀行員は「自分の銀行から融資を受けてほしい」と考え低い金利を提示することが多くなるものです。
同時期に複数の銀行から融資の提案があれば、低い方の金利の提案を高い方の銀行に伝え、金利を低くできないか交渉できます。このように競争させて、金利を低くしていくことができます。
同時期に複数の銀行からではなく一つの銀行のみから融資の提案があった場合でも、既に受けている他の銀行からの融資で低い金利の例があればそれを伝え、金利を低くしていくことができます。