日本銀行の統計によれば、国内銀行の新規貸出平均金利は2010年6月1.229%→2015年6月0.929%→2020年6月0.622%と下がり続けています。あなたの会社の融資はどうでしょうか。業績や財務内容が悪化し銀行が金利を下げてくれないなどの事情があればまだしも、そうでなければ金利は年々、低くしていきたいものです。

なぜあなたの会社は今まで金利を引き下げることができなかったのか

あなたの会社の融資の金利が下がっていない場合、次のような理由が考えられます。

  • 融資を受けている銀行が1つしかなく、その銀行が提示する金利をそのまま受け入れてきた。
  • 複数の銀行から融資を受けているものの、金利は銀行が提示するものをそのまま受け入れてきた。
  • 新規の銀行が営業に来ても断り、銀行を入れ替えすることなくずっと同じ銀行から融資を受けてきて、金利は銀行が提示するものをそのまま受け入れてきた。

このような理由に当てはまれば、銀行としたら良いお客さんです。銀行が設定した金利をそのまま受け入れてくれて、その金利が世間水準に比べて高くても文句を言われなかったのですから。

しかし金利に無頓着であると、企業は大きなコストを払い続けることになります。もし融資残高がずっと1億円で、世間水準より1.0%高い金利で計算される利息を支払い続ければ1年間で100万円、5年間で500万円の経費が余分に出てしまうことになります。

多くの会社では経費削減の努力をしています。しかし融資では銀行から言われるまま高い金利の利息を支払い続ければ、経費削減は中途半端に終わってしまいます。企業は銀行と交渉し、融資の金利を低くしていきたいものです。

銀行にとって既存融資の金利を引き下げることは全く得にならない

新たな融資の金利は、融資の申し込み時に交渉できます。一方で、既にある融資の金利も、金利が変更できない一部の制度融資を除き、交渉で引き下げることは可能です。

ただし既存融資の金利の引き下げは銀行の担当者の一存でできるものではありません。担当者が稟議書を作成、回覧し、支店長や本部などによる最終決裁が必要です。金利の引き下げは銀行にとって全く得にならないことです。金利を引き下げようとただ「既存の融資の金利が高いから引き下げてほしい。」と言っても銀行はなかなか動いてくれないでしょう。それであれば、金利引き下げに動いてもらうような状況を作れないか考えてみます。

既存融資の金利の引き下げるには2つの方法がある

銀行の一番の収益源は、融資を行い、融資残高があることで得られる利息です。融資残高がなくなれば利息収入がなくなり、銀行は収益源がなくなります。業績や財務内容の悪化などで銀行が今後の返済を懸念し回収したいと思っている会社であればともかく、そうでなければ、融資を一括返済されることは銀行にとって嫌なことです。

融資が一括返済される場面を考えてみます。次の場面があります。

  1. 企業から繰上げ返済される
  2. 既存の融資を他の銀行に借り換えされてしまう

この2つの場面いずれかを銀行に想像させることで、既存の融資の金利を引き下げられる可能性があります。それぞれ見てみます。

1.企業から繰り上げ返済される

繰り上げ返済しても資金繰りに全く問題ない会社であれば、繰り上げ返済を銀行に匂わせて銀行の反応を探ってみます。銀行が融資を積極的に行いたいと思っている会社であれば、銀行から、繰り上げ返済を待ってくれと止めてくるものです。

銀行が繰り上げ返済を止めてくるのであれば、利息の負担が大きかったから繰り上げ返済を考えたとして、金利を引き下げることはできないのか銀行に交渉してみます。

2.既存の融資を他の銀行に借り換えされてしまう

金利を引き下げたい銀行とは別の銀行から、低い金利の新たな融資の提案があったら、その提案を交渉材料に使います。金利も含まれた提案書をその銀行に出してもらうとよいでしょう。その提案書を金利を引き下げたい銀行に見せ

「別の銀行から低い金利の融資の提案が来ている。この融資を受けられたら、貴行の(高い金利の)融資の一括返済を考えている。」

と言って、銀行の反応を探ります。

銀行から借り換えしてほしくないと言ってきたら、金利の引き下げを交渉します。

なお、この方法でも銀行は動かず金利を引き下げてくれないかもしれません。その場合、実際に借り換えを行うのはやめた方がよいでしょう。借り換えされた方の銀行と、あなたの会社との関係が悪化してしまいます。一方、低い金利の新たな融資を提案してきた銀行からその提案通りの融資を、借り換えの形ではなくそのまま受けるのは問題ありません。

例えばA銀行の既存融資3000万円の金利が2.0%と高く、一方でB銀行から低い金利の新たな融資を5000万円、金利1.2%で提案してきたとします。B銀行でその提案書を作ってもらい、A銀行に見せて借り換えを考えていると伝えます。A銀行は借り換えを阻止しようと、B銀行と同じ1.2%もしくはそれに近い金利まで引き下げてくれたら成功です。

もしA銀行がこの交渉に乗ってこない場合。A銀行との関係を悪化させたくなければ実際に借り換えは行わない方がよいです。一方でB銀行からは提案通り、5000万円の融資を受けることは問題ありません(信用保証協会保証付融資で、新規の保証付融資で既存の保証付融資を返済する借り換え条件を付けられた場合は除きます)。