融資を断られた経緯は3つに分かれ、対処法が異なる

銀行に融資を申し込んで断られたら企業は困ってしまいます。融資で資金を調達できなかったら、別の方法で資金繰りをつけなければなりません。しかし、断られた経緯を見極めて対処することにより、一度は断られた融資が通ることもあります。

銀行から断られた。その判断に至った経緯には次のパターンがあります。

  1. 稟議書を作成・回覧して銀行内で正式に審査したが否決となった。
  2. 融資の申込みを受けた担当者が上司や支店長に報告したところ、すぐに断るよう指示を受けた。
  3. 融資の申込みを受けた担当者が、上司や支店長に報告するまでもなく、その企業へ融資を行うことは困難と考え、その場で断られた。

稟議とは、融資の申込みを受けた担当者が審査事項を書いた稟議書を作成し銀行内で回覧して意見をそれぞれ書き、最終決裁者が決裁する仕組みです。1のパターンでは稟議書が作成・回覧され、正式な審査がなされて否決になったので、断られたのは銀行としての正式な回答です。

一方2のパターンでは、稟議書が回覧されず上司や支店長の指示を受け断ったということです。ここでさらに2つのパターンに分かれます。上司や支店長自身が融資を行うべきでないと考えたのが1つ目のパターン。そして2つ目のパターンは、その企業に対しての融資は断るようにと、上司が支店長からの指示を、もしくは支店長が本部からの指示を、それぞれあらかじめ受けていたパターンです。

3のパターンでも2と同様です。担当者自身が融資を行うべきでないと考えたのか、担当者があらかじめ、その企業に対しての融資を断るようにと上司や支店長から指示を受けていたのか。パターンが分かれます。

融資を断られたら対処法を考えるため、まずは経緯を聞く

断られたら、企業は対処法を考えなければなりません。断られたその場で担当者に対し、どのような経緯で融資を断る判断に至ったのかを聞いてみます。「審査を銀行内で行ってくれたのですか。」「融資に誰が反対しているのですか。」と聞いてみてください。同時に、融資審査の最終決裁者は誰かも聞いてみてください。企業に対しての融資総額や、企業の債務者区分などにより、支店長で決裁できる案件、本部(審査部・融資部などの名称の部署)で決裁される案件、と分かれます。

本部まで稟議書が回覧されて否決となった場合。もしくは本部からあらかじめ、その企業に対しての融資は断るようにと指示を受けていた場合。すぐの挽回はまず無理です。断られた具体的な理由を聞き、次の決算後にまたチャレンジしてください。

支店長で融資審査が決裁される場合。支店内で稟議書が回覧されて否決となったのであればすぐの挽回は難しいです。ただ本部と違って支店長は、企業が直接接触できる位置にいます。断られた具体的な理由を担当者から聞き出し、またその後は支店長とも積極的に交流を持っていくことが対処法です。経営計画、企業の商品やサービスの説明、工場や店舗見学など、支店長に自社をアピールしていくようにします。このようにして支店長に好印象を持ってもらうことにより、今後の審査を有利に進めることが可能です。

また稟議書での正式な審査を行うまでもなく、支店長や上司の指示により担当者が融資を断ってきた場合。誰が融資に反対しているのかを担当者より聞き出してください。そしてその人に会わせてもらうよう担当者に依頼してください。それが対処法です。その人に、自社のことをどう見ているのか、なぜ消極的なのか、直接聞いてみてください。自社のことを誤解しているところがあるかもしれませんし、もしくは日ごろから自社をアピールできていないかもしれません。改善すべき点をアドバイスしてくれるかもしれません。それらを話し合うことで、その後は融資を積極的に考えるようになってくれることも多いです。またこの場合、稟議書の作成・回覧がまだ行われていない状態です。そのため、融資に積極的になってくれた上であらためて審査を前向きに行ってくれることも期待できます。

最後に、稟議書は回覧されず、担当者の考えだけで断ってきた場合。担当者を飛び越え、その上司や支店長に直談判させてもらうことが対処法です。それが有効策となることが多いです。担当者に一言も告げずに直談判をするのは良くないので、担当者に「上司(支店長)に話をさせてほしい。」と伝えた上で直談判してください。上司や支店長は、担当者と違って柔軟に考えてくれていることも多いです。それで融資が前に進むようになればよいです。

融資を断られたとしても対処法があるためあきらめない

以上のように、断られたとしても、稟議書による正式な審査が行われたのか否か、また断る判断をしている大元は誰なのかを把握することによって、対処法を考え、実行することにより挽回できることがあります。あきらめず、融資の道を探ってください。