融資交渉で「次の決算まで様子を見たい」と言う銀行員の本音

「次の決算まで様子を見させてください。」

銀行に融資を申し込んでからすぐ、もしくは何日かたった後、このように言われることがあります。あなただったら、この言葉をどう感じますか?

「次の決算まで様子を見させてください。」と言われた場合、銀行の本音は、次の2つ、どちらかでしょうか。

  1. この言葉は本当で、次の決算が出たら融資を受けられる可能性がある。
  2. この言葉は本当ではなく、次の決算が出てからも融資を受けられる可能性は、ほぼない。

1を本音として、銀行から言われるのであればよいのですが、2が銀行の本音あれば、言われた方としては、勘違いしてしまいます。次の決算後も融資を受けられる可能性がほとんどないのに、この言葉をかけられてしまったばっかりに、経営者が期待を持ってしまうからです。そして期待を持ってしまった経営者は、他の資金繰りの手を打つのを遅らせてしまいます。

次の決算まで待てば融資が出る、という経営者の勘違い

融資を受けられる可能性がないのであれば、資金繰りの次の手をすぐに打つ必要があります。他の金融機関にあたったり、それでも融資を受けられる可能性がなければリスケジュール交渉、つまり毎月の返済を減額・猶予する交渉を行ったりするなどです。また事業が赤字であれば早急に経営改善を行い黒字化する必要があります。

しかし「もう少し待って、融資が受けられればなんとかなる。」と経営者が考えてしまい、次の決算まで何も手を打たずに過ぎてしまう。そして決算後も結局、融資は受けられないとなると、企業はより厳しい状態に陥ります。

なぜ銀行はこのように、経営者に気を持たせることを言ってしまうのでしょうか。銀行員はそう言うことによって、その場を取りつくろいたいからです。私も銀行員時代、融資を断る時にこの言葉をよく使っていました。

融資が今後も難しいのであれば、銀行にはっきりと「貴社への融資は無理です。今後何年かも無理でしょう。」と言ってほしいものです。ただ、それを言われた経営者の中には、怒り出したり、落胆の表情をしてしまったりする人もいます。それがイヤであるため、銀行員は「次の決算まで様子を見させてください。」「次の決算が出てからまた考えさせてください。」と言って、ぼかすのです。

「次の決算まで様子を見たい」と言う銀行員の本音を探る

「次の決算まで様子を見させてください。」と言われたら、次の決算後に本当に融資の可能性があるのか、それともほぼゼロなのか、聞いてみてください。それでもぼかそうとされたら「はっきりと言ってください。」と迫ってください。

次の決算しだいで融資を受けられる可能性がある場合でも、実際に融資審査が通るかどうかは分かりません。次の決算後に融資が出る可能性は半々と考えてください。そして、すぐに別の金融機関をあたったり、事業が赤字であれば経営改善を行って黒字化を図ったりするなど、手を打ってください。そして次の決算後に再びその銀行で融資を申し込んでください。

「次の決算まで様子を見させてください。」という言葉の真意を読み取り、次に打つべき手を考え、手を打っていってください。