「先月に融資を受けたばかりなのに資金がもうなくなった。また融資を申し込みたい。」

という経営者がいます。

前回の融資から時間があまり経っていないのに企業からまた融資を申し込まれると、銀行としてはあきれてしまいます。経営者の計画性のなさに、です。

融資を受ける前には資金繰り表を作り、今後、半年~1年間の資金繰りを確認したいです。どれぐらいの金額、融資を受ければ半年~1年間、資金繰りが持つのか。これを計算し、希望金額を伝えるべきです。まずは資金繰りの計画がないと、今月末に500万円足りないからと500万円融資を受け、翌月にまた足りなくなってしまう。このような、いきあたりばったりの資金繰りを行ってしまいます。

では実際、銀行で融資を受けたら次の融資まで、どれぐらいの間隔を空けるとよいのでしょうか。

次の融資の申込みまでどれぐらい間隔を空けるべきか

同じ銀行の中では、融資を受けたら次の融資の申し込みまで最低、6カ月は空けたいです。なお、ここでは運転資金の融資を前提とします。6カ月空けないで融資を申し込むと、時期尚早として融資審査が通らない可能性が高くなります。もしくは審査もしてもらえず申し込み段階で断られるかもしれません。

一方、次の融資の申し込みが前回の銀行とは別の銀行であればこのかぎりではありません。ただその銀行に、別の銀行で最近、融資を受けたことが分かってしまった場合。なぜこんなにひんぱんに融資が必要なのか問われる可能性があります。

A銀行で融資実行したとして、

 

パターン1.6カ月たっていないうちに同じA銀行へ融資を申し込む

→なぜ、前回の融資から時間が経っていないのに融資が必要かを問われ、時期尚早と審査が通らない可能性が高くなる。

 

パターン2.6カ月たっていないうちに別のB銀行へ融資を申し込む

→別の銀行での融資申し込みであればパターン1のようなことはなくなる。ただA銀行で最近、融資を受けたことがB銀行に知られれば、なぜ、すぐにまた融資が必要になったかを問われることがある。

信用保証協会保証付融資(保証付融資)の場合どれぐらい間隔を空けるべきか

別の銀行であれば前の融資から6カ月経っていないうちに融資を申し込んでもよいと述べましたが、保証付融資の場合は別です。例えばA銀行で保証付融資を受け、6カ月経たないうちに別のB銀行で保証付融資を申し込む場合。信用保証協会は共通ですので、信用保証協会から見れば前回融資から6カ月経たないうちの申し込みということになり、信用保証協会において時期尚早と判断されやすいです。

ただし、企業によっては複数の信用保証協会を使えることがあります。次の2つのケースです。

  • 信用保証協会は都道府県ごとに一つあるが、次の3つの県は複数の信用保証協会があり、企業の所在地によっては複数の信用保証協会を使える。

神奈川県(神奈川県信用保証協会・横浜市信用保証協会・川崎市信用保証協会)

愛知県(愛知県信用保証協会・名古屋市信用保証協会)

岐阜県(岐阜県信用保証協会・岐阜市信用保証協会)

例えば名古屋市にある企業であれば愛知県信用保証協会と名古屋市信用保証協会を使うことができます。

  • 別の都道府県に事業所があれば、企業の本社にある信用保証協会とは別に、事業所のある都道府県の信用保証協会を使える。なおその際は、商業登記に事業所の支店登記があることが必要です。

このように複数の信用保証協会を使えるのであれば、6カ月経たないうちに別の信用保証協会にて保証付融資を申し込む場合、時期尚早と判断されにくいです。

日本政策金融公庫では次の融資の申し込みまでどれぐらい間隔を空けるべきか

日本政策金融公庫の場合、次の融資の申し込みまで6カ月空けたとしても、時期尚早と見られやすいです。日本政策金融公庫では1年は間隔を空けたいです。

6カ月たたない間隔で融資を申し込んでも銀行から時期尚早と見られない例外

以上のように、前回の融資を受けた銀行や信用保証協会に、6カ月経たないうちに融資を申し込めば時期尚早と見られると述べました。

しかし例外があります。次のケースでは、6カ月経たないうちの融資申し込みでも時期尚早とは見られないです。

1.設備資金で融資を申し込む場合

運転資金の融資では、6カ月経たないうちの融資は時期尚早と見られるものですが、設備資金は別です。例えば5月に運転資金の融資を受け、そこから設備投資の計画を立て同じ年の7月に設備資金の融資の申し込みを行っても時期尚早とは見られません。

設備資金は、日常の資金繰りを回すための運転資金とは別の資金の流れで必要となるものです。融資においても運転資金と設備資金とは別の性質の資金となり、銀行は分けて考えます。

2.建設業での工事つなぎ資金などの場合

例えば建設業で見られる、一つの工事にて材料代や外注費の支払いが先行し売掛金回収が後になりその間をつなぐ、数ヶ月で返済するつなぎ資金。このように一つの案件ごとに短期の融資を繰り返す融資は、その性質上、ひんぱんに融資を実行するものす。この場合は短い間隔で融資を申し込んでも問題ありません。

3.売上が急激に増加している場合

売上が急成長している会社であれば、仕入代金や外注費、諸経費の増加などで想定より多くの運転資金が必要となります。この場合、売上が急激に増加していることを試算表などで銀行に説明。また運転資金を多く確保しなければならない理由を銀行に説明することで、6カ月の間隔を空けないでも融資をスムーズに受けられることがあります。

少額の融資を回数多く行う、という考え方を銀行はしない

例外の場合を除き、銀行は、少額の融資を回数多く行う、という考え方をしません。まずは資金繰り表を作ることにより、将来半年~1年程度の資金繰りの予測を行ってください。半年~1年程度は資金繰りが十分に回るようにするには、今回、融資をどれだけ受けたらよいかを計算し、十分な金額を希望金額として銀行に伝えてください。そうすれば行きあたりばったりの資金繰りとならず、銀行から時期尚早という理由で融資を断られることは少なくなります。