質問

保険代理店を経営しています。昨年末の新規店舗のオープンにあたり、昨年12月、信用保証協会の保証を付けて、信用金庫から400万円の借入をしました。6カ月据置きで、本年6月より返済がスタートします。その後、今年2月にその信用金庫から、プロパー融資(信用保証協会保証付でない融資)で200万円、借入をしました。

(現在は4月ですが)来月の資金繰りが回らず、追加で借入したいと考えていますが、短期間に何回も金融機関から借入はできるものでしょうか。

回答

同じ金融機関で借入をするには、前回の融資から6カ月は期間を空けたいです。次に申し込む金融機関が異なれば関係ないですが、信用保証協会保証付融資であれば異なる金融機関から申し込んでも信用保証協会は共通ですので、前回の信用保証協会保証付融資を受けてから6カ月は空けたいです。ちなみに日本政策金融公庫であれば1年、期間を空けたいです。

期間を空けないと、金融機関から、前回の借入から時間がたっていないため融資は難しい、と断られてしまいます。なお信用保証協会の場合、売上が月単位で増加している企業がそれで必要となる運転資金であれば、6カ月空けないでも保証してくれるケースがあります。

あなたの会社の場合、金融機関からの今までの借入の実行時期は次のとおりです。今の時期(4月)に融資を申し込んだら予想される反応を次に述べていきます。

金融機関と借入金額 借入時期
A信用金庫(信用保証協会保証付)400万円 昨年12月
A信用金庫(プロパー)200万円 今年2月
現在4月

1.今の時期にA信用金庫でプロパー融資を申し込んだ場合

A信用金庫でプロパー融資は2カ月前に受けたばかりですので、時期が早いと言われる可能性が高いです。

2.今の時期にA信用金庫もしくは別の金融機関で信用保証協会保証付融資を申し込んだ場合

信用保証協会保証付融資は4カ月前に借入したばかりですので、信用保証協会から、時期が早いと言われる可能性が高いです。加えて、昨年12月の信用保証協会保証付融資は据置期間6カ月でまだ返済が始まっていません。このような状況ではさらに、前回融資の返済も始まっていないのに新規の信用保証協会保証付融資は難しいと言われる可能性が高いです。信用保証協会保証付融資を次に申し込むとしたら、据置期間が過ぎて返済が始まって少したった、8月あたりがよいでしょう。

ただし売上が月単位で増加していて、売掛金の回収が遅い業種であるなど売上が増加するごとに運転資金を必要とする業種であれば、早い時期でも信用保証協会保証付融資を受けられる可能性はあります。その場合は試算表で売上が増加していることを見せる必要があります。

3.A信用金庫とは別の金融機関でプロパー融資を申し込んだ場合

この場合、前回の融資の実行時期は関係なくなります。ただし、借入金一覧表を提出するなどでA信用金庫で今年2月に借入をした事実がその金融機関に分かった場合。なぜ2カ月前にA信用金庫で借入をしたばかりなのにすぐに資金がなくなったのか、問われる可能性が高いです。その理由を十分に説明する必要があります。

理由としては「売上の伸びが思ったよりも大きく、運転資金が急きょ必要となった。」が理想です。「2月に200万円借りられれば資金は回ると思って借入したが、足りなかった。」とう理由では、金融機関から「この経営者は資金繰りが無計画で、大丈夫か」とマイナスの評価をされてしまいます。

少額を回数多く、という借入の仕方を金融機関は嫌う

あなたの会社は、むこう半年~1年程度の、資金繰り予定表を作成して資金繰り計画を立てているでしょうか。2、3カ月前に金融機関から借入をしたばかりなのにまた資金が足りなくなった、という企業は、資金繰り計画もなく、行き当たりばったりで借入をしているケースが多いです。そのような企業は「○○○万円あれば今月はしのげる。」と目先の資金繰りしか考えず、金融機関から借入をしてもすぐに資金が足りなくなります。

金融機関は短い間隔で融資を行うことを嫌います。無計画な資金繰りを行う企業と見られ、金融機関からの評価は下がります。

設備資金や、建設業での工事つなぎ資金などの融資は別として、1年を超える返済期間である長期運転資金の融資の場合。金融機関から1回融資を受けたら半年~1年は新たな借入をしなくても資金は回る、という借入の仕方をしなければなりません。そのために金融機関からいくら借入が必要か、資金繰り予定表により計算し、その金額の借入をするべきです。金融機関の審査により希望額を下回る融資しか出なければ仕方ありませんが、始めから少額の借入で良いと思い込んで少額の借入をするべきではありません。