融資審査の返事が来ない。その時に銀行内では何が起きているのか

銀行に融資を申し込んだものの、銀行からなかなか返事が来ず、やきもきした経験はないでしょうか。資金を必要とする日が迫っているのに、銀行から返事が来ないと、不安になります。返事が来ない状況で、あなたは銀行に対し、どう行動すべきでしょうか。

どう行動するか考えるにあたり、まず把握しておくべきことは、銀行内で融資の審査はどのように行われているかです。

銀行は、融資の審査を稟議の方法で行います。企業から申込みを受けた担当者が稟議書を作成し、それが銀行内で回覧され、最終決裁者で、融資を行うかどうか決裁されます。稟議書は、銀行内で以下の順番で回覧されます。

申込みを受けた担当者(支店内の得意先係であることが多い)が稟議書を作成→得意先係長→融資係→融資係長→副支店長→支店長

銀行内部で決められている権限のルールにより、支店長ではなく本部(審査部・融資部などの名称の部署)が最終決裁者となる場合もあります。この場合、支店長の後、本部に稟議書が回覧されます。

このような稟議の方法での問題は、審査のための稟議書が何人にも回覧されるため、審査の最終決裁まで時間がかかる、ということです。さらに、途中で回覧が滞れば、もっと時間がかかります。

私が銀行に勤めていて、得意先係であった時。自分の担当企業から融資の申込みがあって稟議書を書いて回覧すると、私の上司であった得意先係長はすぐに次の人へ回覧してくれました。融資係の平社員も、私と同じぐらい若手であったこともあり気を使ってくれて、すぐに回覧してくれました。

問題は、融資係長です。稟議書が滞るのは、融資係長のところであることが多いです。

融資係長は、支店の中で最も念入りに審査を行わなければならない役職です。そのため、融資係長のところで稟議書の内容をじっくり見られて審査されることが多く、ここで滞りがちです。さらに、融資の申込みが多い繁忙期に稟議書が回覧されると、融資係長のところで稟議書の渋滞が起こってしまいます。私も銀行員時代、融資係長の机の上に稟議書が山積みにされているのをよく見たものです。

しかし、このようなことは融資を申し込んだ企業には関係ありません。返事が来ず「まだか、まだか」と、やきもきしてしまいます。

融資審査の返事が来ない時、あなたは銀行に対しどう行動すべきか

銀行から審査の返事が来ない時、どうしたらよいでしょうか。最も良い方法はシンプルです。あなたが融資を申込んだ担当者をせきたてることです。「先日申し込んだ融資、返事をなかなかいただけないですが、その後どうなりましたか?」とせきたてます。そして、いつまでに審査の返事がほしいと、期限を決めます。

こうすると、せきたてられた担当者に、返事を早くしなければならない、と焦りの気持ちが芽生えます。担当者は稟議書が今、どこまで回覧されているか支店内で探します。どこかで滞っていれば担当者はその人に、すぐに稟議書を回覧してくれるよう頼むことでしょう。しかし、担当者はいやなものです。滞っている人に逆にいやな顔をされるかもしれません。「オレは忙しいんだ。」というような顔をされるかもしれません。そのようなことがありながらも、稟議書はスピードを上げて回覧されていくことでしょう。

あなたから「その後どうなりましたか?」とせきたてられた担当者は、稟議書の行方が気になって仕方なくなります。その担当者は「さっさと支店長(もしくは本部)まで稟議書が回覧されて、早く融資の結論を出してほしい。」と祈るような気持ちになります。

銀行から融資審査の返事が来ない時にやってはならないこと

担当者をせきたてたとしても、あなたは決して、返事が来ないことで担当者にきつく怒ってはいけません。担当者は一日でも早く審査の結果が出てほしい、そしてなるべくなら審査が通ってほしい、と動いてくれているからです。

そのような状況で、あなたからきつく怒られてしまうと、担当者はあなたの会社に対しての気持ちが冷めてしまうことにもなりかねません。審査を通そうという気持ちが薄れてしまうかもしれません。その後も、担当者はあなたの会社に近づこうとしなくなるかもしれません。

銀行から審査の返事がなかなか来ない時は、怒ることを避けながらも、担当者をせきたてて、また審査の返事の期限を決めるようにしてください。