質問
弊社は設備工事業です。
ある地方銀行と25年つきあいがあります。その銀行に対し、土地建物(時価6,000万円)を担保に出した上で、長期借入2口残高8000万円、当座貸越3000万円を受けています。また定期預金1000万円があります。取引銀行は7つありますが、その地方銀行はメインバンクではありません。金利は長期借入で平均1%、当座貸越で1.25%です。
あるお客様をその銀行から1年前に紹介されました。そのお客様は4000万円の設備の構築を希望され、当方で設備工事を行いました。ただそのお客様とは初めての取引であり、信用状態も不明であったため、工事の契約書は取り交わさず、全て弊社名義で設備工事を進め、竣工後、その設備をお客様に譲渡することにしていました。
しかしその地方銀行が、そのお客様への融資をNGとしてしまいました。そのため商談はなくなりました。銀行の担当者と支店長代理が言い訳(弊社の見積りが高かったなど)に来ましたが、実際は、銀行から見てそのお客様の信用状態に問題があったからだと思います。
私は銀行に対し「ああ、そうですか。予想の範囲内です。当面は自社の設備として活用します。」と応じましたが、内心、気がおさまりません。膨大な手間・気苦労は最初から自社設備とするのとは全然違いますし、社員に任さず私が担当していましたので、社内でもみっともない話になりました。 そこで今後、銀行への報復として次のようなことを考えています 。
まず1000万円の定期預金を解約。当座貸越を他行からの借入(金利1%で受けられます)で返済。普通預金も常に残高を0円にしておく。ほとんど使っていないインターネットバンキングを解約。経理担当の妻は憤慨し、個人の投資信託(600万円)を解約すると言っています。しかしこの程度では私の腹の虫は収まりません。銀行に報復するために、どうすればよいでしょうか。一気に取引解消するのはその銀行の金利が低いのでもったいなく思います。
(H様)
回答
その地方銀行も、そのお客様へ融資を出せるのかどうか、しっかり確認してから、紹介してほしいものですね。
ただ、元銀行員の私の経験からすると、銀行の担当者レベルではそのお客様への融資は十分可能と思ってあなたの会社へ紹介したものの、支店長や本部レベルでそのお客様への融資審査が通らなかった状況が想像されます。担当者や支店長代理レベルでは、その商談は進んでほしかった、融資審査も通ってほしかったと思っていたと考えられます。このように、銀行の担当者レベルの話では融資審査が通る前提であったのが、支店長や本部で融資審査が通らず、担当者の話を信用していた企業が損失をこうむった、というケースはよくあるものです。
あなたの会社では、銀行が自ら紹介したお客様に対しての融資審査が同じ銀行で通らなかったことで、損失をこうむってしまっています。ただあなたも、銀行が紹介したお客様だからといって安心せず、通常の取引と同じぐらいの慎重さで商談を進めるべきでした。そもそも銀行は、すでに竣工している、もしくは着手している工事に対しての設備資金の融資は行わないものです。融資審査が通って融資が出ることが決まってから工事を着手するのが普通です。融資が決まっていない段階で工事に着手したのは早かったと思われます。
それでも銀行に対し報復をしたいなら、その銀行との取引を全て解消するのが、銀行としては最もダメージが大きいです。他の銀行へ融資・担保・預金・投資信託など全て移してはどうでしょうか。融資金利についても、今は低い金利で融資を受けられやすい時代です。他の銀行から低い金利で融資を受けられるよう交渉していきたいものです。