あなたの会社は、融資を受けている銀行から銀行員が定期的に訪問してきますか?銀行員が1カ月に1回ぐらいのペースで定期的に訪問してくるようになると、あなたの会社が融資を受けるチャンスは増えることでしょう。
なぜ銀行員は企業に融資を受けてもらいたがるのか
銀行内で、外に営業に出るのは得意先係と言います。得意先係とは、融資案件を獲得してきたり、新規の企業に訪問して新規融資先を獲得してきたりするなど、支店の業績、銀行の業績向上のために顧客を訪問し営業する係です。
銀行では半期に1回、本部からそれぞれの支店に対し、支店の業績目標を課します。そして支店の中で、各得意先係に対し業績目標を割り振ります。業績目標には、融資量の増加、信用保証協会保証付融資の融資量の増加、新規融資先の獲得、投資信託、生命保険、クレジットカード、年金振込など、多種多様です。
筆者が銀行員であった時は、そのような業績目標の種類が約40種類もありました。それぞれの業績目標の、数字の目標を本部から支店に課します。例えば、ある支店の融資量が200億円であったら、この半期で5億円増加させるように目標を課します。返済が進むにつれ融資量は減少しますので、5億円の融資を半期で実行するだけでは全く足りず、それ以上の融資を増加させねばなりません。
融資量の増加は、銀行では重点的な業績目標の一つです。得意先係は多くの融資案件を獲得してこなければなりません。普通に銀行から融資を受けられる企業では、銀行からよく「融資を受けませんか?」と声をかけられますが、その背景には、このようなことがあったのです。
融資を申し込む時の形も、その後の審査に影響する
融資の審査を通しやすくするには、融資をどのように申し込むか、ということにもこだわりたいです。融資の申し込みは、企業から銀行に声を掛けてではなく、銀行から企業に先に声を掛けさせてから行いたいものです。
銀行から声が掛かって融資を申し込んだ方が、銀行が融資を行いたいというところからスタートするので、その後の審査はスムーズに進みやすいです。逆に企業から先に銀行に声をかけて融資を申し込んだら、銀行からは「資金繰りが困っているのでは」と見えてしまう可能性があります。ではどのように、銀行から先に融資の話をさせたらよいのでしょうか。
銀行員が1カ月に1回、定期訪問してくるようになる方法
銀行の得意先係が1カ月に1回ぐらいのペースで定期的にあなたの会社に訪問してくるようになると、銀行の方から融資の話をしてくる可能性がとても上がります。しかし現在、あなたの会社に銀行員がなかなか訪問してこない場合、どうしたら良いのでしょうか。
銀行員の立場で考えてみます。銀行員としては、あなたの会社を訪問する名目がほしいです。なんの名目もなしに企業に訪問すると「何しに来たの?」というような顔をされるのが、銀行員にとってはいやだからです。筆者も銀行員時代、融資を売り込もうとなんの名目もなしに企業に訪問すると、何しに来たの、という顔をされることがよくありました。そのため、定期的に訪問することになっている企業を中心に融資の提案をしていました。
もし現在、あなたの会社に銀行員がなかなか訪問してこない場合。銀行員があなたの会社に訪問をする名目を作ります。名目は「1カ月に1回、試算表を取りに来て」でよいです。また信用金庫では定期積金を積極的に行っているところも多く、そのような信用金庫では、1カ月に1回、集金に来てもらう、という名目ができます。
銀行員が訪問してきたら、試算表を渡して終わり、定期積金の集金で終わりではなく、「お茶でも飲んでいってください」などと言って、応接で会話をしたいものです。営業の意識が高い銀行員であれば、訪問の都度、企業へ何かしら提案を持ってくるものです。そうでない銀行員であれば、こちらから「何か一つでいいから良い話を持ってきてよ。」などと言って、訪問の都度、何か提案を持ってくるよう話をしておきます。そのようにして訪問の都度、何か提案を持ってくるような習慣を銀行員に付けさせるようにします。
また試算表とともに毎月、月次資金繰り予定表を作って提出するとなお良いです。月次資金繰り表では今後の資金繰り見込みを見せ、今後、何月に資金が不足するのか話します。資金が不足する月の2、3カ月前には新たな融資に向けて動いていきたいです。月次資金繰り表を銀行員に毎月説明すると、相手は融資が必要な時期を把握でき、融資の提案を早めに行ってくれやすくなります。月次資金繰り表の作り方については「月次資金繰り表の作り方・書き方・予定表編」の記事を読んでください。
銀行から融資をうまく受けられている会社は銀行員と関係を築いている
銀行では、支店の業績を上げる、銀行の業績を上げるために、得意先係という係があります。得意先係は外に出て、融資案件を拾ってくるのが仕事の一つです。そのためいろいろな会社を訪問しています。
あなたの会社が、得意先係が訪問してくる会社の一つになれば良いのです。毎月定期訪問して来るようになれば、銀行から融資の提案をしてもらいやすくなります。銀行から融資をうまく受けられている会社は、銀行とそのような関係を築くことができています。あなたの会社がこれからも銀行から融資を受けていきたいのであれば、毎月、銀行員が訪問してくるようにしてください。