なぜ融資を受ける銀行は1つではだめで、新規銀行を増やすべきなのか

あなたの会社が融資を受けている銀行の数はいくつありますか?どんな規模の会社でも、1つの銀行だけとの取引はやめ、複数から融資を受けておくべきです。その理由は次の2つです。

  1. もしその銀行から融資を受けられなくなったら、他に融資を受ける選択肢がなくなってしまう。
  2. 複数の銀行から融資を受けた方が、金利の競争が起こり、その結果、金利が低くなりやすい。

1.もしその銀行から融資を受けられなくなったら、他に融資を受ける選択肢がなくなってしまう。

もしあなたの会社が、1つの銀行からしか融資を受けてこなかった場合。そこから融資を受けられなくなったら、そこから新たな銀行を探して融資を受けようとしても難しいです。銀行は、今まで融資をした実績がない会社に対し新たな融資を行うのは慎重だからです。早いうちから複数で融資を受けるようにして、返済実績を作っておきたいです。そうすれば、1つの銀行から融資を断られた時も他の選択肢が残ることになります。

2.複数の銀行から融資を受けた方が、金利の競争が起こり、その結果、金利が低くなりやすい。

筆者は銀行員時代、自分が勤めていた銀行からしか融資を受けていなかった会社に対し、新たな融資を行う時、金利を高めに設定していました。そのような会社は他から融資を受けていないため金利の相場を知らず、高めの金利を言ってもすんなりと受け入れてくれたからです。

金利は、制度融資であらかじめ金利が決められているものでなければ、融資を受ける会社と銀行との相対の交渉で決まります。複数から融資を受けていると、金利競争が起きて金利は低くなっていきます。1つの銀行からしか融資を受けていなければ競争は起きず、銀行からの言いなりになりやすいです。

融資を受ける新規銀行を増やすにはどうすればよいか

複数の銀行から融資を受けるのがなぜ良いのか、分かりました。では、融資を受ける新規銀行を増やすにはどうしたらよいのでしょうか。

まず、やらない方がよいこと。それは、預金口座もない銀行にいきなり飛び込み、融資を申し込むことです。

銀行から見た場合、このような一見客は、今までにいくつもの銀行に融資を申し込んで断られ、自分の銀行に飛び込んできた、と見えてしまいます。そう思われると、相手にされない可能性が高いです。
新しい銀行と知り合うにはいくつかの方法があります。最もお勧めの方法は、近隣の銀行の支店で預金口座を開設することです。他の方法には、信用調査会社に自社の情報を掲載する、人に紹介してもらう、があります。

新規銀行を増やす方法1 近隣の銀行の支店で預金口座を開設する。

法人や個人事業主が銀行で預金口座を開設しようと支店の窓口に行って申し込んだ場合。その場ですぐに預金口座を開設できることはなかなかありません。いったん窓口で話を預かり、その後、銀行の担当者から連絡が来て、会社の事務所を訪問してきます。
預金口座を開設する前に銀行は一度、会社の事務所を訪問し、事業の実態があるかどうかを確認するのが普通です。また合わせて、経営者と面談します。経営者が問題ない人であるかどうか見るためです。事業実態のない会社の預金口座が開設されてしまったら、詐欺などの犯罪に使われたり、反社会的勢力の口座として使われたりするなど、銀行は後々、面倒なことに巻き込まれてしまいます。
銀行員が訪問してきて問題なく預金口座が開設できることになった時。その銀行員が営業に積極的な人であれば、その機会に融資の話もしてくるものです。新規の会社が預金口座を開設するのは、銀行にとっても新規融資先獲得のチャンスです。
多くの銀行では、外を回る得意先係の銀行員に、新規融資先の獲得というノルマを課しています。事務所に訪問してくる銀行員は得意先係であることが多く、新規に融資できる会社を探しています。
企業が新規の銀行に飛び込み、融資を申し込む場合は相手にされないと言いました。しかしこの場合は、銀行員の方から融資の話をしてくる流れになります。銀行から融資をしたいという話が出れば、融資の話は進みやすいです。
なお銀行で預金口座を開設しようと申し込んだ時、銀行から
「なぜうちの銀行で預金口座を開設しようと考えたのですか。」
と聞いてきます。その理由をあらかじめ考えておくとよいです。
「近所だから。」
「おたくの銀行と取引している弊社の取引先から(振込手数料を安く済ますために)この銀行で預金口座を作るよう指定があったから。」
などの理由であると銀行は納得しやすいでしょう。

新規銀行を増やす方法2 信用調査会社に自分の会社の情報を掲載する。

帝国データバンクなどの信用調査会社に自社の情報が掲載され、そして信用調査会社から付けられる評点が高くなると(帝国データバンクのCOSMOSデータの場合50点以上が目安)、それを見た銀行員から、電話や訪問で営業してくれやすくなります。
銀行は新規の融資先を探す時、信用調査会社の情報から探すものです。信用調査会社に自社の情報が掲載されていれば、銀行員が自社を見つけやすくなります。自社の情報がまだ信用調査会社の情報に掲載されていない場合、その信用調査会社と取引している知り合いの経営者などに、自社のことを信用調査会社を使って調べてくれるよう頼むとよいでしょう。自ら信用調査会社に自社の情報を載せてくれと依頼しても載せてくれません。一方、他の会社から依頼があったら信用調査会社は自社のことを調査し、情報が掲載されます。調査することが信用調査会社の仕事だからです。
また信用調査会社の評点を高くするには、信用調査会社が自社のことを調査する時に決算書を開示し自社の情報を丁寧に説明すること、調査員に聞かれたことを経営者がしっかり語ること、が重要です。

新規銀行を増やす方法3 人に紹介してもらう。

知り合いの経営者や顧問税理士などから、新規の銀行を紹介してもらうのも新規の銀行と知り合う方法の一つです。銀行員は、自分の銀行と取引がある経営者や税理士からの紹介であれば安心するものです。
なお、自社の事務所から近い銀行の支店を紹介してもらうことが望ましいです。遠方の支店の場合、紹介により1回は融資を受けても、その後の取引が続かなくなりがちです。銀行の支店にはテリトリーがあり、テリトリー内にある会社に融資していくものです。銀行員は車で1時間かかるような遠方の会社に訪問していると1日の半分がそれで終わってしまい、効率よく営業活動できません。銀行員は遠方の会社へはなかなか訪問しません。

融資を受ける新規銀行を増やすことでメリットを享受しよう

以上、1つの銀行から融資を受けるより、複数から融資を受ける方がメリットがあること、そのメリットとは融資の選択肢が広がることと、金利競争が起こり金利が低下していくこと、というお話をしました。

そして、新規の銀行と知り合うための3つの方法を説明しました。この中でお勧めは、1.近隣の銀行の支店で預金口座を開設する、です。3つの方法の中で最も行いやすいですし、近隣の銀行の支店を選ぶことができます。もちろん、他の方法を使っても問題ありません。これらの方法で、融資を受ける新規銀行を増やす行動をしていってください。