証書貸付とは、銀行から融資を受けるにあたり「金銭消費貸借契約書」を銀行と交わした上で実行される融資方法です。金銭消費貸借契約書に、融資金額、金利、期間、返済方法などを記入の上、企業が署名、実印を捺印し、また連帯保証人も署名、捺印します。

証書貸付の融資で設定される返済期間

証書貸付は、主に長期の返済期間での融資を受けるときに使われる方法です。長期の返済期間とは、 1年を超える返済期間のことを言います。

証書貸付の返済方法は、元金均等返済の方法がよくとられます。毎月、同じ金額ずつを返済する方法です。

例えば、 3000万円、返済期間5 年で借入した場合。

3000万円÷5年(60カ月)=毎月50万円の返済

というように毎月の返済金額が計算されます。その元金に利息が上乗せされ、元金と利息を合計した金額を、毎月一定の日に企業は銀行に支払います。

なお、返済方法は毎月返済ではなく「3カ月ごと返済」「半年ごと返済」「期日に一括返済」というように、取り決めることもあります。1年間など据置期間を設定し、その間は返済開始せず利息のみ支払っていき、据置期間経過後に返済開始する方法もあります。

ただこのような、返済間隔が長い返済、一括返済、据置期間がある返済などの方法は、毎月返済する方法に比べて遅いペースで返済が進むため、銀行にとってはリスクが大きく、なるべく毎月返済としたいのが銀行の本音です。

証書貸付の融資が行われることの多い資金使途

証書貸付として行われる融資の資金使途には、長期運転資金、設備資金などがあります。

長期運転資金とは、返済期間が1年を超える長期間で行われる運転資金の融資のことです。

また設備資金も証書貸付の形で行われます。建物・機械などの設備は、いったん導入すると長期間に渡り使用されます。設備を使って製品を生産したり、商品を販売したりすることにより、企業は利益を上げます。設備資金を1年以内の短期の返済期間で借りた場合。設備は長期間に渡って効果が出てくるのに、1年以内に返済するのでは資金繰りが忙しくなってしまいます。そのため設備資金の融資は、1年を超える長期の返済期間で設定されるのが通常です。長期の返済期間のため、証書貸付として行われます。

証書貸付の融資のメリット・デメリット

証書貸付のメリットは、返済期間を長期で借り入れることができるため、資金繰りが安定しやすいことです。デメリットは、証書貸付の実行ごとに金銭消費貸借契約書に企業・連帯保証人、両者が署名・捺印し、また両者の商業登記簿謄本や印鑑証明書などの必要書類をそろえなければならないように、融資実行の際、手間がかかることです。

証書貸付の融資の際は金銭消費貸借契約書を読み込もう

証書貸付での融資を行う際に交わす金銭消費貸借契約書には、銀行と、融資を受ける企業の間の契約事項である「条項」が細かく書いてあります。金銭消費貸借契約書は企業と連帯保証人による署名・捺印の上、銀行に差し入れる方法が通常で、融資を受けた企業はそのコピーを銀行からもらいます。金銭消費貸借契約書の条項はしっかり読んでおきたいものです。