融資をスムーズに受けるには、融資の申し込み方にも気をつけたいものです。

銀行は企業に融資していかなければ利息収入を得ることができません。銀行は積極的に融資を行っていきたいものです。一方、銀行は出した融資が返済されなければ貸し倒れとなり損失となってしまうため、最後まで返済できる会社かどうか審査を行わなければなりません。融資を積極的に行いたい、しかし将来、貸し倒れとならないように審査をしっかり行わなければならない。融資には二面性があります。

理想的な銀行融資の申し込み方はどのような方法か

銀行は企業に融資を積極的に行っていくために、日々の営業活動の中、企業に対し融資の提案を行います。企業側から見ると、銀行から提案が行われたことに乗じ融資を申し込むと、その後の融資審査がスムーズに行われやすいです。企業が銀行に融資を申し込むところからのスタートではなく、銀行からまず提案があって融資を申し込んだ方が、融資審査がスムーズに行われやすいです。では、銀行から融資の提案をされるにはどうしたらよいのでしょうか。

銀行から融資の提案をしてもらうには、日頃から銀行との信頼関係を築いておくことが重要です。そのためには銀行とコミュニケーションをとりますが、銀行が企業を訪問する場合と、企業が銀行を訪問する場合とがあります。ここでは既に取引がある銀行とのコミュニケーションの取り方を述べます。

銀行が企業を訪問する

銀行の支店の中で、外回りをして営業活動を行う係は得意先係と呼ばれます。あなたの会社を担当する得意先係の担当者が、1カ月に1回、あなたの会社を訪問してくる流れを作りたいです。

銀行の得意先係は、多くの企業を訪問し、多くの融資案件を獲得してこなければなりません。得意先係があなたの会社に訪問してくる時が、銀行から融資の提案が行われる時です。その提案に乗じ融資を申し込んだ方が、その後の融資審査がスムーズです。

しかし現状、あなたの会社に銀行の得意先係が訪問してこない場合、どうしたらよいのでしょうか。

銀行員の立場になって考えてみます。銀行員としては、あなたの会社を訪問する名目がほしいです。なんの名目もなしに企業に訪問すると「何しに来たの?」という顔をされることが怖いからです。

銀行の得意先係が訪問しやすいように名目を作ります。名目は「1カ月に1回、試算表を取りに来てほしい。」これでよいです。

銀行の得意先が訪問してくるようになったら、試算表を渡して終わりではなく、毎回、30分ぐらい応接で会話をしたいです。やる気がある得意先係であれば、訪問の都度、企業へ提案を持ってくるものです。そうでない得意先係でも、訪問の都度、提案を持ってきてくれるように話をしておきたいです。重要なのは、銀行の得意先係があなたの会社に訪問してくる都度、何か提案を持ってくるよう習慣を付けさせることです。その中で融資の提案が行われるようにしたいです。

企業が銀行を訪問する

銀行にあなたの会社を担当する得意先係がいて、1カ月に1回訪問してくる。その場合でも3カ月に1回程度はあなたの会社から銀行に訪問したいです。訪問先は融資係です。

なぜ融資係に3カ月に1回訪問するべきなのか。融資係にあなたの会社のことを知ってもらい、好印象を持ってもらうためです。

銀行の支店の中には3つの係があります。預金係、融資係、得意先係、です。この中で融資係は、融資の審査をする係です。融資係は支店の中にいて、多くの融資案件の審査を行っていますので、なかなか外出できません。そのため融資係は融資審査において、融資を申込んだ企業のことを、書類に書いてあることだけで判断しがちです。書類に書いてあることだけでは、融資係はあなたの会社のことで良い印象を持つだけでなく悪い印象を持つこともあります。また融資係は、融資を申し込んでくる会社が多くある中、あなたの会社のことを「たくさんある会社のうちの一社」としか見ることができません。そこであなたの会社が、銀行の融資係に3カ月に1回、訪問するようにします。

融資係への訪問の名目は、試算表や資金繰り表を渡す、でよいです。名目があれば、融資係に訪問しやすいことでしょう。融資係に訪問した時、30分ぐらい会話をします。そうするとあなたの会社は融資係にとって「たくさんある会社のうちの一社」から「顔を知っている一社」に変わります。また会話の中で、経営計画書を作成・提出し、会社の将来のビジョンを語れば、融資係の銀行員はあなたの会社のことに良い印象を持ってくれるようになります。

銀行の融資審査を行う稟議書に否定的な意見を書くのは融資係であることが大半です。融資係は融資の貸し倒れを発生させないことで人事部から評価されるからです。融資係の銀行員があなたの会社に良い印象を持ち、融資審査で回覧される稟議書に前向きな意見を書いてくれれば、融資審査が通る可能性は高くなります。

理想的な銀行融資の申し込み方をするために銀行と信頼関係を

以上のように、1カ月に1回は銀行の得意先係があなたの会社を訪問してくれる、3カ月に1回はあなたの会社が銀行の融資係を訪問する、この体制ができると、銀行との信頼関係を築きやすく、銀行から融資の提案をされやすい会社になります。

銀行員も人間です。何も知らない会社より、信頼関係を築けている会社の方が、融資審査はスムーズになりやすくなります。融資を申込む直前にこのような関係を銀行と築こうとしても遅いです。あなたの会社が日頃、銀行とどう信頼関係を築くかが重要です。