融資審査では、日頃、銀行とどのようにつきあっているかも影響してきます。融資を申し込む時期ではない日頃、やっておけば審査で有利になる方法を紹介します。
銀行は融資による利息以外でもいろいろな方法で儲けたい
銀行は企業に対し、融資以外にもいろいろな取引を行い、収益を得ています。例えば、振込、手形取立、公共料金などの口座振替、インターネットバンキング、外国為替、投資信託、保険などです。
また銀行本体だけでなく銀行の関係会社との取引もあります。クレジットカード・リース・経営者クラブなどです。企業との取引だけでなく、企業の役員・従業員との個人取引もあります。給料振込、公共料金などの口座振替、インターネットバンキング、投資信託、保険、住宅ローン、車など各種ローン、などです。
融資金利が低くなり、銀行が利息収入を得づらくなっている時代では、これら融資以外の取引による、利息以外の収益が、銀行にとって重要となってきます。
融資審査の稟議書では日頃どのような取引を行っているか書かれる
融資審査の稟議書では、企業の財務内容や業績、資金使途だけでなく、その会社は融資以外にどのような取引を銀行としているのか、そして銀行がその会社から得られる収益は毎月いくらあるのかも書かれます。
融資による利息以外にも収益を多く銀行にもたらしている会社は、決算書の内容が多少悪くても、銀行としては取引を深めていきたいと、審査が通ることがあります。融資審査の当落線上にある会社で最後の一押しとなるのが、これら日常取引です。
融資の稟議書には、決算書の内容や借入状況、資金使途などさまざまな情報が記載されるとともに、最後、稟議書を書いた担当者が意見を書く欄があります。稟議書を書く人は、日常取引で収益を多く得られていることを、融資審査を通すための最後の一押しとして書くことが結構あります。
「当社からの手数料収入は毎月3万円あり、取引を深めていきたく、本件、融資したい。」
というように。
融資を行うか最終決裁する支店長や本部が、この意見を見て、審査を通す決断をすることもよくあります。
なお決算書の内容が良い会社でも、銀行員の中には「この会社とは融資のみの取引であるが、金利も低く、銀行にとって融資を行い続けていく旨味がないなあ。」と考える人もいます。融資の金利が低くても、日常取引で銀行に収益を多くもたらしていれば、融資審査がスムーズに通りやすいものです。
銀行員は、融資案件を審査にかけた時に、本部や支店長、上司から「なぜこの会社に融資を行いたいのか。」を毎回問われるものです。その会社から多くの収益がもたらされる、取引を深めたいから融資を行う、というのは絶好の理由です。
融資審査を有利にするため日頃からやっておきたい方法
日常取引も融資審査に影響してくることが分かったら、現状を見て、変えるべきところは変えていきたいものです。振込や手形取立などメインバンクでしか行っていなければ、他に融資を受けている銀行でも少し取引を移していきます。融資シェアに応じて手数料を落とすのが理想です。融資シェアは、融資総額1億円、うちA銀行で融資を6000万円受けていれば、A銀行の融資シェアは6000万円÷1億円=60%で計算されます。1カ月の振込件数が50件あれば、60%の30件をA銀行で行うというように考えてください。ただし綿密にその割合を守る必要はなく、だいたいでかまいません。
その他の取引も、融資を受けている銀行それぞれに、何の取引をしていくか考えていきたいものです。
融資取引だけでなく、融資以外の取引で銀行に収益を少しでももたらすこと。これが銀行にとって、その会社は利息だけでなく他の取引でも収益を得られ、取引を深めていきたい会社と見られることにつながり、取引を深める手段の一つとして融資を行いやすくなります。