決算書の内容が良い会社では経営計画書は銀行に提出しなくても融資審査は通りやすいものです。一方、決算書の内容が悪い会社が融資審査を通すには、経営計画書を提出することが大事です。

融資審査を通したかったら銀行に言われないでも経営計画書を提出しよう

決算書の内容が悪い会社で、融資審査の稟議書を書く銀行員が審査を通す材料を得ようと企業に経営計画書を要求してくることがあります。そうでなくても、このままでは審査が通らないと思ったら、企業が自主的に経営計画書を作成し銀行に提出したいものです。

銀行が融資を行いたい会社とは、完済となるまで返済してくれる会社です。当たり前のことですが、このことを経営者がしっかり意識することが重要です。自社が最後までしっかり返済できる会社であることを銀行に伝えたいです。ただ経営者が口頭で「最後まで返済しますから融資してください。」と言っても、銀行は信じません。最後まで返済することをアピールするために最も有効な書類が、経営計画書です。

赤字であったら経営計画書を銀行に提出して融資審査を少しでも有利に

前期の決算書で損益計算書の営業利益や経常利益が赤字であった場合、今後、どのようにして利益を上げていくかを経営計画書に示します。今後5~10年後まで毎年、損益計算書がどのように推移していくかの数字を書き、また計画を達成するために何をしていくのか行動計画を書きます。

融資の返済の原資は、利益から生み出される現金です。赤字の会社は現金が生み出されないため返済の原資がなく、そのような会社に融資をしても最後まで返済されないことが目に見えています。それであれば融資審査は通りません。前期が赤字であれば、今後、どのようにして利益を上げていくか経営計画書に書いて銀行に説明しなければなりません。

黒字の会社でも融資審査が不利になるケースと挽回するための対策

また、前期の決算書で損益計算書の営業利益や経常利益が黒字であっても、年間返済額を上回る現金が生み出されているほど利益を上げていない場合。その場合も融資審査で不利になることがあります。

多くの中小企業では、事業で生み出される現金(キャッシュフロー)より、銀行への融資返済額が上回っているのが実情です。ちなみにキャッシュフローは銀行で、簡易的に「当期純利益+減価償却費」で計算されます。減価償却費は現金が流出しない費用であり、キャッシュフローに上乗せされます。あなたの会社の前期の決算書の損益計算書を見て、キャッシュフローを計算してみてください。

例えば、前期の当期純利益600万円、減価償却費400万円、年間1000万円のキャッシュフローが生み出される会社。銀行からの融資を、毎月150万円、年間1800万円返済していれば、1000万円-1800万円=△800万円の預金が年間でなくなってしまいます。新たに行おうとしている融資で毎月50万円、年間600万円の返済が追加されれば、1000万円-(1800万円+600万円)=△1400万円の預金が年間でなくなってしまいます。この会社はいずれ預金がなくなり、返済できなくなります。

このような状況の会社は新たな融資の審査で不利となってしまいます。経営計画書で利益を上げていく計画を示し、銀行に説明したいです。

なお銀行融資の実務では、年間1400万円の預金がなくなってしまうのであれば、1400万円を新たに融資することで預金残高を回復しますので、その金額を運転資金で融資することがよく行われます。

この場合の資金使途を融資審査の稟議書では、買掛金支払資金、支払手形決済資金、などと書きますが、実際は返済で少なくなった預金を補てんする資金です。ただ、それを正直に資金使途としてしまうと銀行は融資できません。キャッシュフローの中で融資の返済ができない会社は、融資審査で不利になることがあるので、経営計画書で利益を上げていく計画を示したいものです。