今、返済している途中の融資の延滞は、新たな融資の審査でマイナスの材料となってしまいます。

延滞でも、現在延滞中なのか、過去に延滞があったのかによって異なります。また融資は信用保証協会保証付融資、日本政策金融公庫の融資、銀行のプロパー融資(信用保証協会の保証を付けない融資)とがあり、それぞれの傾向があります。

延滞は信用保証協会の審査にどう響くか

信用保証協会保証付融資では、1日でも返済が遅れると銀行から信用保証協会に情報が伝えられます。延滞が発生すると、解消後、少なくとも3カ月、信用保証協会は新たに保証を行わない傾向にあります。なお現在延滞中であれば、新たな保証はまず行ってくれません。

延滞は日本政策金融公庫の融資審査にどう響くか

日本政策金融公庫は、1日でも延滞すると延滞解消後6カ月は新たに融資を受けることは難しくなります。現在延滞中であれば融資を受けられないのは言うまでもありません。また日本政策金融公庫の審査では、銀行の預金通帳を面談で持参してもらい、通帳の動きを見ることが多いです。その中で、銀行での融資は遅れずに返済しているかチェックしています。日本政策金融公庫の融資は延滞していなくても、銀行の融資で延滞した履歴が分かれば、審査にマイナスとなってしまいます。

延滞は銀行のプロパー融資の審査にどう響くか

銀行のプロパー融資は、各銀行により傾向は異なるものの、延滞すると、延滞解消してもその後の融資審査にマイナスとなってしまいます。ただし、ある銀行の融資を延滞した情報は他の銀行には伝わりません。ある銀行で、現在延滞中や、過去に延滞した履歴があっても、別の銀行で分からなければ、融資審査に影響しません。ただし信用保証協会はどの銀行で保証を申し込んでも共通であるため、ある銀行の信用保証協会保証付融資を延滞した履歴があったら、別の銀行を通じて信用保証協会に保証を申込んでも信用保証協会で審査が通らない可能性が高いです。

延滞が銀行・信用保証協会・日本政策金融公庫の審査に影響するかの図

延滞している融資(現在延滞中もしくは過去延滞あり)と、新たに受けたい融資との関係において、延滞の事実が新たな融資の審査に影響するかを下図に表しました。×は影響する、○は影響しない、です。例えばA銀行で信用保証協会保証付融資を受けている融資が延滞していて、新たに受けたい融資が日本政策金融公庫であれば、日本政策金融公庫が延滞のことを知らなければ融資審査では影響しません。ただし日本政策金融公庫に延滞のことを知られれば、当然、融資審査に影響してきます。

新たに受けたい
融資→

延滞している
融資↓

 

信用保証
協会
(A銀行)

 

信用保証
協会
(B銀行)

 

日本政策
金融公庫

 

プロパー
融資
(A銀行)

 

プロパー
融資
(B銀行)

信用保証協会
(A銀行)
× × ×
信用保証協会
(B銀行)
× × ×
日本政策金融公庫
(B銀行で返済中)
× × ×
プロパー融資
(A銀行)
× ×
プロパー融資
(B銀行)
× ×

経営者の借入の延滞が銀行・信用保証協会・日本政策金融公庫の審査に響くか

延滞は会社での既存融資の他、経営者個人の借入でも延滞あるかどうか、見られることがあります。

新たに融資審査してもらう銀行で、経営者個人の方でも住宅ローンやカードローンなどを借りていて延滞していたら、審査にマイナスとなります。

また日本政策金融公庫や一部の信用保証協会は経営者の個人信用情報を見ますので、それで延滞している情報が分かってしまえば会社で新たな融資を受けることが難しくなります。なお銀行のプロパー融資の審査では経営者の個人信用情報を見ることは少ないため、経営者個人の借入が延滞していても、その情報が知られなければ会社で融資を受けられることもあります。

延滞はうっかりであっても融資審査に響くから気をつけねばならない

いずれにせよ、既存の融資の延滞や経営者個人の借入の延滞は、解消した後でも数カ月は新たな融資審査に不利になるので、延滞しないようにしたいものです。資金繰りが厳しい会社が延滞となりやすいものですが、中には、資金繰りが厳しくなくても、会社の管理がルーズで数日延滞を発生させてしまう会社もあります。返済日の前に返済口座に預金を入れるのを忘れてしまったなどです。資金繰りが厳しい会社ではなくても、返済にルーズな会社は、銀行としては新たに融資を行って滞りなく返済してもらえるか、心配になってしまいます。うっかりしての延滞も発生させないようにしなければなりません。