ノンバンク借入は銀行・日本政策金融公庫の融資審査でマイナスの影響
ノンバンクとは、銀行や信用金庫、政府系金融機関以外で融資をする金融会社のことです。
経営者の中には、安易にノンバンクから借りてしまう人もいます。銀行や日本政策金融公庫へ融資を申し込んでも審査期間が長く時間がかかるからとか、敷居が高そうなどの理由でです。しかしノンバンクから借りている会社を、銀行や日本政策金融公庫は融資審査でマイナス評価します。
ノンバンク借入の銀行や日本政策金融公庫と比べてのメリット・デメリット
ノンバンクは銀行や日本政策金融公庫と比べて、以下のメリット・デメリットがあります。
ノンバンクのメリット
- 審査が通りやすい。
- 申し込んでから融資審査、実行までのスピードが速い。
ノンバンクのデメリット
- 金利が高い(無担保であれば年利10%以上)。
- 融資金額を伸ばせない(無担保であれば総額300~500万円までが限界)。
- 証書貸付であれば返済がきつい時でもリスケジュール(返済を減額・猶予すること)できない。
ノンバンク借入は銀行・信用保証協会・日本政策金融公庫でどう知られるか
ノンバンクから借りていることは、会社だけでなく、経営者個人がノンバンクのカードローンや消費者金融で借りていることも含みます。
銀行・信用保証協会・日本政策金融公庫は、融資を申し込んできた会社がノンバンクで借りているかどうか、次の方法により知ります。
- 決算書の勘定科目内訳書に、ノンバンクからの借入残高が記載されている。
- 経営者の個人信用情報を見る。
- 会社や経営者個人所有の不動産登記簿を閲覧してノンバンクから抵当権を設定されていないか見る。
- 会社や経営者個人の預金通帳を見てノンバンクとのやりとりがないかを見る(日本政策金融公庫は面談時に会社や経営者個人の預金口座を持ってくるように求めることが多いです)。
ノンバンクから会社が借りていても、経営者が連帯保証人となっていれば、経営者個人の信用情報に借入の情報が掲載されます。なお、日本政策金融公庫は経営者の個人信用情報を必ず見ます。一部の信用保証協会も見ます。銀行のプロパー融資の場合は見ることは少ないです。
ノンバンク借入で銀行・日本政策金融公庫の融資審査に影響が出ると痛手
ノンバンクからの借入は金利が高いため、銀行などから見れば、ノンバンクから借入している会社は、金利が高い借入を行ってまで資金を必要とするほど切羽詰まっている会社と見ます。そして銀行などの融資審査ではマイナスの影響が出てしまいます。
銀行などの方がノンバンクより金利は低く、また融資を重ねていくことで融資総額を大きく伸ばしていけます。ノンバンクで数百万円の借入があるばかりに、銀行などからの融資の道が閉ざされてしまうのは会社にとって大きな痛手です。
なお、財務内容や業績が悪く銀行や日本政策金融公庫から新規融資の道が閉ざされている会社の場合。リスケジュールして既存融資の返済を減額・猶予するとともに、資金が全くなければ会社を立て直すための運転資金がないため、ノンバンクを使う手はありです。しかし銀行や日本政策金融公庫から融資を受けられるのに、安易にノンバンクに手を出すのはやめてください。
ノンバンク借入での銀行・日本政策金融公庫の融資審査の影響を回避する対策
すでにノンバンクから借りている会社は、以下の対策をしたいです。
- 知人などから借りて決算の前にノンバンクに返済して決算書の勘定科目内訳書にノンバンクからの借入が掲載されないようにする。
- 銀行や日本政策金融公庫へ融資を申し込む前に知人などから借りてノンバンクの借入をゼロにする。
- 前期決算書にノンバンクからの借入が掲載されていても、融資を申し込む時に全て返済しているのであれば、銀行などに伝えることで今は借りていないことをアピールする。
ある会社は、経営者個人がノンバンクからカードローンを借りていて、しかも経営者がノンバンクと交渉し返済を毎月1万円ずつにしてもらっていたため、個人信用情報を見るとノンバンクからの借入情報だけでなく、異動情報(金融事故の情報)も付いていました。
この情報を消すために、知人から300万円を借り、ノンバンクの借入を0にしました。その上で日本政策金融公庫に融資を申し込んで、800万円の融資を受けることができました。ノンバンクから借りていて、しかも異動情報まで付いていたので、そのままでは日本政策金融公庫から融資を受けられた可能性は低かったと思われます。
銀行や日本政策金融公庫から融資を受けて運転資金や設備資金に使い、会社を成長させていくのがまともな考え方です。安易にノンバンクは使わないようにしてください。