信用保証協会保証付融資とプロパー融資(信用保証協会保証付でない融資)、どちらの方法でも受けられるのなら、プロパーの方を受けてください。その理由は下記のページを見てください。

信用保証協会保証付融資とプロパー融資どう使い分けたら良い?

では現在、銀行から信用保証協会保証付融資のみ受けている会社が、プロパー融資を受けられるようになるには、どうしたら良いでしょうか。プロパー融資の受け方には次の3つの方法があります。

  1. 銀行間で競争させる。
  2. 銀行にとって行いやすい資金使途とする。
  3. 信用保証協会保証付と抱き合わせる。

それぞれの方法を説明します。

プロパー融資の受け方1 銀行間で競争させる。

あなたの会社が、A銀行から3000万円を全て信用保証協会保証付で、またB信用金庫から1500万円を全て信用保証協会保証付で、融資を受けていたとします。このような状況で、新規のC銀行が融資先の開拓を目的として訪問してきました。この時がプロパー融資を受けるチャンスです。

他の銀行と同じようにC銀行は、信用保証協会保証付を提案したい、と言ってくるかもしれません。その時あなたはC銀行に「信用保証協会保証付であれば、A銀行とB信用金庫で間に合っている。プロパー融資で提案できないのか。」と聞くようにします。

新規融資先の開拓は、銀行で力を入れていることの一つです。C銀行の担当者は、プロパー融資でも良いから行いたい、と考えるかもしれません。このようにしてC銀行にプロパー融資を提案させます。一方、C銀行からの当初の提案どおり信用保証協会保証付融資を受けることは、A銀行とB信用金庫から信用保証協会保証付で受けている中、意味あるものではありません。新規銀行のC銀行にはプロパー融資で提案させたいものです。

また新規銀行ではなく既に融資を受けている銀行でも、銀行間の競争をあおり、プロパー融資で提案させるようにします。A銀行、B信用金庫、どちらでも信用保証協会保証付のみを行っている中、B信用金庫が新たに信用保証協会保証付融資を提案したいと言ってきた場合。「A銀行で信用保証協会保証付は間に合っている。新たな融資はプロパー融資で受けたいから提案してくれないか。」と言うと良いです。

プロパー融資の受け方2 銀行にとって行いやすい資金使途とする。

融資の中でも、銀行にとって行いやすい資金使途があります。ポイントは1.融資金額、2.返済期間、3.資金使途、です。融資金額は小さいほど、返済期間は短いほど、そして資金使途、つまり借りた資金は何に使うのか分かりやすいほど、銀行は融資を行いやすいです。

信用保証協会保証付のみで融資を受けている銀行に対し、銀行にとって行いやすい資金使途でプロパー融資を受けたいと伝え、きっかけを作ります。銀行にとって行いやすい資金使途の例には、つなぎ資金、季節資金、賞与納税資金があります。

つなぎ資金

例えば建設業の場合、外注費や材料費の支払いが先に来て工事代金の回収が後となることが多いです。このように支払いが先行する取引である場合、融資を受けて確保した資金で外注先や仕入先などに支払い、売掛金の回収時に一括で返済する融資のことをつなぎ資金と言います。大きな金額の支払いが先行し回収が後になる取引があれば、どの業種でもつなぎ資金の融資を銀行に検討してもらうことができます。

季節資金

例えばアパレル製造業の場合。在庫を備蓄する時期と販売する時期がはっきりと分かれ、在庫を備蓄する時期は資金不足になりがちです。このように1年の中で資金繰りの波が激しい事業の場合、資金不足となる時期に融資を受けて、売掛金が多く回収される時期に返済する、その間をつなぐ融資を季節資金と言います。

賞与納税資金

賞与や納税は一時的に大きな支払いになります。その支払いのための融資です。次の賞与や納税の時期までの短期間での返済が基本です。


このような資金使途の融資は、銀行にとって行いやすいです。金額が少額であること、返済期間が短いこと、そして資金使途が分かりやすいこと、が理由です。

信用保証協会保証付融資しか受けていない企業が、プロパー融資を受けようと、銀行に対し金額3000万円、返済期間5年の希望で運転資金の融資を申し込んでも、審査が通ることは財務内容が優良な会社でないかぎり、難しいです。一方、例えば金額500万円、返済期間6カ月の希望で賞与を支払う理由でプロパー融資を申し込めば、銀行は審査を通しやすいです。

審査が通ってプロパー融資を受け、返済が進んでいけば、それがプロパー融資の返済実績になります。そして銀行はプロパー融資の返済実績がある企業に、もっと踏み込んだプロパー融資を行いやすくなります。次は金額を大きく、返済期間が長いプロパー融資を提案してくれるかもしれません。

例えば銀行に金額3000万円、返済期間5年でプロパー融資を申し込み、銀行からまずは500万円、6カ月返済から始めたいと言われた場合。その条件しかだめであればプロパー融資を受ける意味がないと、断ってしまう経営者がいます。しかし銀行は、プロパー融資の実績がない企業に対し、いきなり大きい金額、長い返済期間の融資を行いにくいものです。

銀行はまず様子見として金額が小さい、返済期間が短いプロパー融資を行い、その会社がきちんと返済できるかどうか見てきます。希望の金額や返済期間に満たなくてもプロパー融資を受けて、返済実績を作っていくことが重要です。

プロパー融資の受け方3 信用保証協会保証付と抱き合わせる。

信用保証協会保証付融資を銀行が勧めてきた時、プロパー融資と抱き合わせで提案してくれないか、話をします。抱き合わせとは、例えば信用保証協会保証付融資1500万円、プロパー融資1000万円を同時、もしくは近い時期に実行してもらうことを言います。

銀行に対し、プロパー融資を行ってくれれば同時に信用保証協会保証付融資も受ける、というメリットを与えてプロパー融資を提案するよう促します。

銀行の内情としては、プロパー融資だけより、信用保証協会保証付と抱き合わせで融資を行う方が、銀行の本部から支店に課せられている融資量増加の目標により近づきます。また支店には融資量増加の目標の他、信用保証協会保証付融資の量の増加の目標も本部から与えられています。その目標にも近づくことができます。銀行には、信用保証協会保証付融資を合わせて受けますよという「おみやげ」を持たせて、プロパー融資を提案してもらうようにします。

なお信用保証協会の方では、信用保証協会保証付融資を単独で行うより、プロパー融資と抱き合わせとする方が、保証金額を増やしやすいです。銀行がプロパー融資を同時に行うことは、銀行もその会社に積極的に融資しようとしていることを意味します。銀行がそのように前向きに評価する企業であれば、信用保証協会も保証金額を増やしやすいです。

プロパー融資を受けられる会社になれば融資量を増やしやすくなる

以上、プロパー融資を受けられる会社になる方法を3つお伝えしました。信用保証協会には決められた保証枠がありますが、プロパー融資にはありません。信用保証協会保証付のみで融資を受けていたのでは、融資を増やしていこうとしてもいずれ限界が来ます。一方、プロパー融資にはそのような限界がありません。会社を成長させるには、多くの融資を受けられるようになっていくことが重要です。信用保証協会保証付融資しか受けられない会社から早く卒業し、プロパー融資を受けられるようになってください。