融資では、返済期間とともに、返済方法も重要な要素です。返済方法では次のことが決められます。

  • 一括返済か分割返済か。
  • 分割返済の場合、どのようなスケジュールで返済するか。
  • 分割返済の場合、第一回返済までの据置期間を設けるかどうか。据置期間を設ける場合、何カ月とするか。
  • 分割返済の場合、元金均等返済か、元利均等返済か。

銀行融資の返済方法を知るためにまずは元金と利息を知る

融資を受けた後、銀行に支払っていくのは、元金と利息です。元金とは、実際に融資を受けているお金のことです。元金を返済していくと融資残高は減っていきます。利息とは、融資の対価として支払われるお金のことです。銀行から融資を受ける利用料として、企業は銀行に利息を支払っていきます。銀行としては融資先企業からもらう利息で銀行の経費や預金者などへ支払う利息をまかない、また銀行の利益の元となります。

銀行融資の返済方法で、一括返済・分割返済とは

一括返済とは、元金を、期日に一括で返済する方法です。例えば、2020年9月30日に融資500万円が実行され、2020年11月15日を返済期日としたら、500万円をその日に一括して返済します。一括返済の場合、利息は、融資実行日に返済期日までの分をまとめて支払う方法と、毎月や3カ月ごとなど、定期的に支払う方法があります。

一括返済の方法がとられるケースとしては、売上代金の入金が将来のある日に確定していて、その前に支払う必要がある仕入、外注費、経費などの資金を確保するための「つなぎ資金」の融資が代表的です。売上代金の入金予定日を一括返済の期日として、融資が行われます。

分割返済とは、元金を分割して返済する方法です。毎月や3カ月ごとなど定期的に分割返済していくのが通常ですが、融資実行3カ月後、6カ月後、1年後というように、不定期に分割返済する方法がとられることもあります。

定期的な分割返済の例

2020年9月30日3000万円融資実行。毎月末日に50万円ずつ60回、5年返済。分割返済の融資はこの返済方法が通常。

不定期な分割返済の例

2020年9月30日1000万円融資実行。1月31日300万円、3月31日300万円、6月30日400万円返済。返済の元手となる売上代金などの入金スケジュールがあらかじめ予測できる場合にこの返済方法がとられる。

銀行融資の返済方法で、元金均等返済・元利均等返済とは

定期的な分割返済の場合、元金均等返済、元利均等返済、の方法があります。元金均等返済とは、毎月など一定期間ごとに返済する「元金」が毎回同じ金額となる返済方法です。元利均等返済とは、一定期間ごとに返済する「元金+利息」が毎回同じ金額となる返済方法です。

元金均等返済では、毎回「元金」返済額は同じ、そして「利息」は返済開始当初は多く、返済が進むにつれ元金が減っていくので利息は少なくなっていきます。そのため「元金+利息」の合計額は返済が進むにつれ減っていくことになります。

一方、元利均等返済は、「元金+利息」が毎回同じ金額となるよう設定するので、融資残高が多い返済開始当初は、「元金+利息」の合計額のうち利息が占めるウェートが大きくなります。そのため返済開始当初は「元金」がなかなか減っていきません。返済が進むにつれ「元金」のウェートが大きくなっていき、元金の返済が進むスピードが速くなっていきます。

企業が銀行から融資を受ける場合、分割返済では元金均等返済の方法がとられるのが通常です。なお元利均等返済は個人の住宅ローンでよく使われる返済方法です。

銀行融資の返済方法で、据置期間とは

据置期間とは、分割返済の場合、すぐに返済を開始せず、第一回の返済日まで元金の返済はせず利息支払いのみとする期間のことを言います。

例えば、2020年9月30日3000万円融資実行、返済期間5年、毎月末日返済とした場合。据置期間がないと5年=60カ月で、毎月返済額は3000万円÷60カ月=50万円、2020年10月31日を第一回返済日として60回返済されることになります。

融資実行1カ月後から返済開始するのが大変だからと、据置期間を10カ月設け、融資実行日から11カ月後の2020年8月31日から50回返済とすると、毎月返済額は3000万円÷50カ月=60万円となりますが、融資実行後10カ月は返済しないでよくなります。

こう見ると据置期間を設けたくなるものですが、一方、その間は返済が進まないため、新たな融資が受けにくくなるというデメリットもあります。しばらくの間、新たな融資を申込む予定がないのならよいのですが、会社を経営していく中で、いつ、融資が必要となるか分かりません。安易に据置期間を設定するのも考えものです。