銀行が企業に融資を行うにあたり、最も重要とすることは、融資をした資金が完済となるまで返されるか、です。最後まで返される可能性を高めるために、銀行は融資審査において、返済方法と返済期間をどうするかも、しっかりと考えます。

銀行は融資の返済方法をどのように考えるか

まず、銀行は融資の返済方法をどのように考えるかについてです。返済方法は大きく、分割返済と一括返済とに分かれます。分割返済の中で代表的なやり方は、毎月の分割ですが、3カ月ごとや6カ月ごとの分割というやり方もあります。また、据置期間、つまり第1回の返済まで返済せず据え置く期間も、返済方法の要素の一つです。

分割返済と一括返済を比較すると、一括返済の方が、銀行にとってリスクが高いです。ここで言うリスクとは、完済となるまで融資が返されないリスク、つまり貸倒れリスクです。

融資を受ける企業からすると、分割返済より一括返済の方が資金繰りは楽になります。最終完済日まで返さなくてよいからです。逆に銀行からすると、分割返済より一括返済の方が貸倒れリスクは高くなります。分割返済であれば融資残高の減りが早く、それだけ貸倒れリスクが低くなるからです。

このように、一括返済の方が分割返済より貸倒れリスクは高くなるため、返済方法を一括返済とすることを、銀行は受け入れにくいです。

ただし例外があります。例えば建設業で、一つの工事で、材料費や外注費の支払いが先に来て後で売上代金の回収がある場合。売上の回収金額・回収日が取引先との契約書などで確認可能であり、売上の回収を元手に融資を一括返済することが確実にできるのであれば、材料費や外注費の支払い資金として一括返済の融資を銀行は行います。この例のように、まとまったお金が後日入ってくる予定がありそれで融資の返済が確実であれば、銀行は一括返済の融資を出すことがあります。

銀行は融資の返済期間をどのように考えるか

次に、銀行は融資の返済期間をどのように考えているかについてです。返済期間とは、どれだけの期間で融資を完済するか、です。

返済期間が長い融資、短い融資を比較すると、長い融資の方が、銀行にとって貸倒れリスクは高くなります。長い返済期間ですと、その間に企業の業績が悪化する確率が高くなるなど、途中で返済できなくなる可能性が高くなるからです。しかし企業からすると、返済期間が長い方が、ゆっくりと返していけばよいので資金繰りは楽になります。

このような理由から銀行は、企業の業績や財務内容が悪いなど貸倒れの可能性が高い企業への融資では、長い返済期間にはしづらく、短い返済期間を求めくることが多いです。

銀行は新規先への融資は、短い返済期間で分割返済にしたいと考える

銀行が考える、貸倒れの可能性が高い企業とは、業績や財務内容が悪い企業ですが、実は新規先、つまり銀行が初めて融資する企業も、貸倒れの可能性が高い企業と見ます。なぜなら新規先企業は、その銀行で返済実績がなく未知の企業であるからです。実際に新規先企業は統計的にも貸倒れの可能性は高いです。そこから銀行は新規先企業に対し、初めての融資を、様子見の融資とする傾向にあります。

様子見の融資とは、貸倒れのリスクが低い融資のことを言います。新規の銀行から、初めての融資では信用保証協会の保証を付けさせてほしいと言われることが多い理由は、もし貸倒れとなったら大部分を信用保証協会が代わりに返してくれるため銀行はリスクが低いからです。また新規の銀行が初めての融資でプロパー融資(信用保証協会保証付でない融資)を行うとしたら、金額が小さく、返済期間が短い、分割返済の融資を提案しがちです。例えば、500万円、5カ月分割返済というように、です。

500万円、5カ月分割返済の融資は、提案された企業にとっては「金額が小さく、返済期間が短い」と文句を言いたくなるところです。しかし、その融資を受け入れ、着実に返していくことにより、その銀行で返済実績ができます。実績がついてこれば、融資を重ねるに連れて、金額は大きく、返済期間が長い融資も受けられるようになってきます。初めに不本意な融資を提案されたとしても、実績作りを目的として受けておいた方が良いです。