設備資金とは、企業が事業を行っていく中で必要となる設備を購入したり建築したりするために必要な資金のことです。例えば、工場・店舗などを構えるための土地・建物の購入・建築資金、営業訪問のための車両購入資金、製造のための機械購入資金などです。設備を手に入れるには多額の資金が必要です。それを、銀行から融資を受けることで確保できます。

設備資金の融資、返済期間を銀行はどう考えるか

設備資金で融資を受ける場合、返済期間は長期となります。なぜでしょうか。

設備の導入は、事業を維持・成長させるために行われますが、設備導入の効果は長期間にわたります。例えば機械を購入したら、5~10年以上稼働し、会社に利益をもたらしてくれます。そのため5~10年、設備によってはそれ以上の期間で融資の返済を行います。一方、設備資金で融資を受けて返済期間を短期で設定してしまうと、返済負担は重く、資金繰りは苦しくなります。

設備を購入すると、すぐに全額、費用とはできません。設備ごとに決まっている耐用年数の期間をかけて減価償却を行い、減価償却費として計上していきます。減価償却費は費用の一つですが、現金の支払いが発生しない費用です。一方で設備を購入する時、銀行から融資を受けて設備代金をまとめて支払い、その後、長い年月をかけて銀行へ返済していきます。

ここから、設備を購入するとその後は減価償却費が発生するがその費用自体では現金の支払いは発生しない、その分、現金は確保されるため、銀行への返済に充てる、という考え方ができます。そのため設備資金の返済期間は耐用年数内となるのが基本です。もしくは耐用年数がすぎると設備の更新が必要となるから耐用年数内で完済して次の設備更新に備える、という考え方もできます。

銀行に設備資金の融資を申込むには何が必要か

設備資金を申込む場合、銀行に設備の見積書を提出する必要があります。そして、なぜその設備を導入するか、銀行に理由を説明する必要があります。銀行は、設備導入の理由が納得できるものであり、見積書の金額が妥当であれば、融資を前向きに検討します。

なお、企業がその設備を導入することによってどれだけ増収・増益が見込めるのか、もしくは経費削減できるのか、見える資料を作成し銀行に提出すると、なぜ設備を導入すべきなのか銀行に分かりやすくなり、設備資金の融資審査で有利になります。

設備を購入した後では、その設備資金の融資を受けることはできません。設備を購入する前に融資を申し込まなければなりません。設備を購入し支払ったら、設備資金の融資がなくても支払えたのだから、もう資金は必要ないと銀行は見てくるからです。

設備資金の融資を受けた後、設備を購入した相手に設備代金の支払いを行いますが、融資を受けた直後、融資を受けた銀行から相手の預金口座に振込するか、相手から設備代金の領収書をもらって銀行に提出しなければなりません。銀行員が、設備資金の融資で購入した設備を見に行くこともあります。銀行は設備資金として出した融資が、他のことに流用されていないかチェックする必要があるからです。

銀行から設備資金の融資を受けたらやってはいけないこと

なお運転資金として受けた融資で得た資金を設備購入に使うと、資金繰りは苦しくなりやすいです。運転資金の融資は設備資金の融資より短期の返済期間となりやすいので、運転資金で受けた融資で設備を購入すると資金繰りが苦しくなります。

また銀行では運転資金と設備資金の融資、それぞれ別で集計しています。設備資金で融資を受けられるのに運転資金で融資を受けてしまうと、運転資金で借りた金額が大きくなり、新たなに運転資金で融資を受けたい時に支障が出てきます。

設備資金での融資は、銀行から見積書を要求されたり、その設備を導入することによる効果を計画書などで見せるよう銀行から言われたりすることもあるので面倒に感じる経営者も多いのですが、設備を購入するために資金を使うなら資金使途を設備資金として融資を申込むべきです。

手元に預金が多くあるからと、設備資金で融資を受けず、預金を使って設備を購入してしまう経営者もいます。手元に多くの預金があっても、その時たまたま売上入金が多くあっただけかもしれません。設備を購入した後、資金が足りなくなったとしてその設備に対する設備資金の融資を申し込むことはできません。手元に預金が多くあったとしても、設備資金で融資を受けた上で設備を購入したいものです。