事業者が、銀行から新たな融資を受ける場合。普通に融資を受ける方法の他、既存の融資を借り換えする方法もあります。

普通に新たな融資を受ける例

1000万円、返済期間5年の融資を受ける。

他の融資を借り換えする例

既存の融資で、当初1000万円、返済が進み残高が500万円となっているものを1500万円、返済期間5年の融資を受けて借り換え。1500万円で既存の融資500万円を一括返済するため純増額は1000万円。

銀行から融資を受ける場面では、この借り換えという方法もよく行われます。なぜ、借り換えの方法を行うことがあるのでしょうか。

銀行で、事業融資を既存融資の借り換えで受けることのメリット

銀行から既存融資の借り換えで融資を受ける一番のメリットは、返済負担が大きくなりにくいことです。例えば既存の融資が次の2本あるとします。

  • 融資1 残高2000万円、残り返済回数40回(40カ月)、毎月返済額50万円
  • 融資2 残高1000万円、残り返済回数20回(20カ月)、毎月返済額50万円

ここで、新たに融資を3000万円受けたいものとします。3本目の融資として、普通に3000万円の融資を受け、返済回数60回(60カ月)とすると、3000万円÷60回=50万円と、毎月返済額が50万円増え、既存の2本の融資の毎月返済額100万円と合わせて毎月返済額は150万円に増えます。

一方この2本の融資を借り換えし、純増3000万円を加えて融資を6000万円受けるとします。6000万円で既存の2本の融資2000万円+1000万円=3000万円を一括返済するので純増額は3000万円と、普通に融資を受けた場合と同じです。返済回数60回(60カ月)とすると6000万円÷60回=100万円となり、既存の2本の融資の毎月返済額が100万円だったので、毎月の返済負担は増えないことになります。

既存の融資を借り換えして融資を受ける一番のメリットは、このように返済負担が大きくなりにくい、ということです。

借り換えで融資を受けることのメリットは他に次のことがあります。

  • 融資の本数が多くならないので管理しやすい。
  • 既存の融資の金利が高く借り換え後の融資の金利が低ければ結果として既存の融資の金利を低くしたことと同じとなる。

銀行で、既存融資が借り換えできないケース

なお、どんな融資でも借り換えられるものではなく、既存の融資が次の場合は借り換えられないこともあります。

  • 既存の融資が信用保証協会保証付融資で特定の制度を使った融資であり、制度上、借り換えできない。
  • 既存の融資が途中で繰上返済すると違約金が発生する条件が付いた融資であり、借り換えしようとすると違約金が発生してしまう。
  • 信用保証協会保証付融資でプロパー融資(信用保証協会保証付でない融資)を借り換えられない(逆は可能)。

新たな融資を受ける時は、返済負担を増やさないために、既存の融資を借り換えられないか考えてみたいものです。なお既存の融資で借り換えられないものがあるかもしれないので、まずは銀行に相談したいです。