銀行でリスケジュール中の融資を返済正常化するにはどのような方法があるか

銀行でリスケジュールを行った後は返済再開を目指して経営改善に取り組みます。返済できるほどの現金を事業で稼げるようになれば返済再開を考えます。リスケジュール前の元の返済額に戻すことができれば正常化です。なお事業で生み出す現金の金額はキャッシュフローと言い、銀行では簡易的に次の計算式で計算しています。

キャッシュフロー=当期純利益+減価償却費

ただし元の返済額が大きい場合、利益が上がるようになっても元の返済額に戻せるほどのキャッシュフローとなるまでは難しいのが実際です。そこで考えられるのが、融資を、長い返済期間の融資で借り換えて返済を正常化する方法です。

例えば、リスケジュール前の融資残高は1億2000万円、月の返済額が350万円であったとします。リスケジュールを行った後、経営改善に取り組み、事業で月130万円の現金を稼げるまでとなったとします。

しかし月130万円のキャッシュフローでは、元の返済額である月350万円までは返済できません。そこで1億2000万円の融資を借り換え、10年返済の融資とします。10年返済であれば1億2000万円÷10年=1200万円を年間で返済することとなり、月返済額は100万円となります。事業で月130万円の現金を稼ぐ中で、月350万円の返済は無理でも月100万円の返済ならできそうです。

銀行でリスケジュール中の融資を返済正常化するにはどう動くべきか

借り換えにより返済を正常化するには銀行による審査が必要です。特に、借り換えした後の返済が問題なくできるかどうかを銀行は見てきます。将来、新たな融資を受けることを前提にせず、正常化した後の返済が現在のキャッシュフローでできるかどうかを見られます。審査にあたっては返済正常化後の経営改善計画書や資金繰り表などの書類を銀行から要求されます。

借り換えで返済を正常化する場合、複数の銀行で融資を受けていれば、それぞれの銀行で借り換えを行うのがよいです。メインバンクや新規の銀行などが「全部、うちで借り換えて引き受けます。」と言ってくれる場合もありますが、それぞれの銀行で借り換えられるなら、今後も複数の銀行から融資を受けられる体制を維持するために、そうした方がよいでしょう。

借り換えによる融資の返済期間の目安は、プロパー融資(信用保証協会の保証が付かない融資)で10年、信用保証協会保証付融資で15年です。ただ、銀行は長い返済期間の融資は将来の貸し倒れリスクが高く敬遠する傾向にありますので、もっと短い返済期間としたいと言ってくることもあります。

ただし、短い返済期間とすると毎月の返済額は大きくなって資金繰りに無理が生じます。自社がどれだけ返済できる能力があるのか見ながら、長い返済期間とできるよう銀行と交渉するべきです。

なお、銀行の審査しだいですが融資を上乗せして借り換えして返済を正常化することも可能です。例えば1億2000万円のリスケジュールしている融資を10年返済で借り換えて正常化する場合、1000万円を上乗せして1億3000万円として借り換えるように、です。そうすれば1000万円の現金が手元に残ります。

返済の正常化を考えたらまずはメインバンクに相談し、方針を決定します。そしてメインバンク以外の銀行と交渉します。他の銀行はメインバンクの方針に合わせることが多いものです。

返済を正常化した場合、リスケジュール状態ではないため、リスケジュール前のように銀行から新たな融資を受けることが可能となります。ただし返済正常化後、銀行は返済が問題なく行えていくかを見たいことから正常化直後に新たな融資を受けることは難しく、返済正常化してから新たな融資を受けるには6カ月程度、返済を行う必要があることが多いです。

おすすめの記事