リスケジュールとは、銀行の融資の返済を行っていくのが難しいため、銀行に交渉して返済金額を減額もしくは猶予してもらうことです。リスケジュールを行う際、変更契約書を銀行と交わします。

変更契約書ではリスケジュールの期限を6カ月や1年とし、その間は返済を減額もしくは猶予するが、リスケジュールの期限が到来したら返済が元通りになるとしています。しかし、6カ月や1年で返済を完全に再開できるほど短期間で利益を大きくできる会社はなかなかありません。返済を再開できないのであれば、6カ月後や1年後とされたリスケジュール期限の1~2カ月前に企業側から銀行にリスケジュールの更新を依頼します。

融資のリスケジュール更新を交渉するために銀行に提出する書類

返済が難しく始めにリスケジュールを行う時は銀行に経営改善計画書・試算表・資金繰り表などの書類を提出しますが、リスケジュールを更新する時は、経営改善計画の進捗はどうなっているかを報告し、また最新の試算表・資金繰り表などを提出します。経営改善計画の進捗では、損益計画の数値と実績の数値とを突き合わせて計画の利益はどれぐらい達成しているか、行動計画はどこまで実行しているか、などを報告します。

融資のリスケジュール更新の交渉は企業から持ちかけていくべき

リスケジュールの期限が来る前に更新するかどうか、銀行から聞いてくることもありますが、銀行から聞かれなくても企業の方からリスケジュールの更新を銀行に依頼するのが原則です。それをせずリスケジュールが更新されないと返済が再開されます。再開後の返済額が預金口座から引き落とされたのを見てあわてて銀行にリスケジュールの更新を申し込むのは避けたいところです。

融資のリスケジュール更新の交渉では返済額の引き上げを銀行は考える

リスケジュール更新を企業から申し込まれたら銀行は、返済は本当に再開できないものなのか、再開できなくても返済額を上げられないか、考えるものです。経営改善によりどこまで利益を上げられるようになったかを銀行は見た上で、返済額を上げられないか企業と話し合います。例えばリスケジュールにより月の返済額を0円としていた場合、経営改善を進め毎月50万円の現金を事業で生み出せるようになっているから、月40万円なら返済を再開できるのではと考え銀行が交渉してくるようにです。

なお事業で生み出す現金の金額はキャッシュフローと言い、銀行では簡易的に次の計算式で計算しています。

キャッシュフロー=当期純利益+減価償却費

企業としては銀行の言われるままに返済を再開、もしくは返済額を上げたいものですが、急ぎすぎると後で資金繰りに苦労してしまうことがよくあります。リスケジュールを行っている間は原則、新たな融資は受けられません。利益が上がるようになっても返済に回す金額は少なくし会社に現金としてためていき、運転資金で使えるようにしたり、再度赤字となってしまった場合への備えとしたりしたいものです。会社に現金が十分たまるまでは返済額を一気に上げることをせず、リスケジュールの更新の交渉をしたいものです。

なお、返済額をいったん上げたら、後で業績が悪くなったからと再び返済額を下げるのを銀行は嫌がります。例えば月返済額を0円としてリスケジュールを行い、更新時に返済額を50万円まで上げ、その後に月10万円に引き下げるようなことです。早く返済を進めたいからと返済額を安易に上げることはせず、慎重に考えるべきです。

融資のリスケジュール更新で返済額を引き上げる場合の考え方

リスケジュールを始めに行う時と同様、リスケジュール更新でもまずはメインバンクから交渉し、どのようにリスケジュールを更新するか方針が決まったらメインバンク以外の銀行へその方針を伝え、交渉、同意を得ていくようにします。

リスケジュール更新にあたり返済額を増やす場合。複数の銀行で融資があれば、その融資シェア(全銀行を足した融資総額の中の、ある銀行の融資残高の割合)に応じて返済額を割り振っていくのが原則です。ある銀行だけ融資残高に比べて返済額が大きければ、その銀行の返済が早く進み、他の銀行から見たら不公平だからです。

例えば、融資の状況が次のとおりであったとします。

A銀行:融資残高6000万円(融資シェア60%)

B銀行:融資残高3000万円(融資シェア30%)

C信用金庫:融資残高1000万円(融資シェア10%)

融資総額1億円

元の月返済額は200万円、リスケジュールにより月の返済額を0円としていたものを、リスケジュール更新時に月20万円に引き上げる場合、次のように割り振ります。

A銀行の月返済額:0円→12万円(20万円×融資シェア60%)

B銀行の月返済額:0円→6万円(20万円×融資シェア30%)

C信用金庫の月返済額:0円→2万円(20万円×融資シェア10%)

なお同じ銀行の中でもプロパー融資(信用保証協会の保証が付かない融資)と信用保証協会保証付融資とがあれば、その融資残高の割合に応じて返済額を割り振ります。例えばA銀行の融資残高6000万円のうちプロパー融資4000万円、保証付融資2000万円であれば、月返済額12万円のうちプロパー融資の月返済額8万円、保証付融資の月返済額4万円とします。

 

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