銀行から新たな融資が受けられない。一方で、既存の融資の毎月返済額が大きく、このままでは資金繰りは破綻してしまう。このような会社は、既存の融資の返済を減額・猶予すべきです。これをリスケジュールと言います。

銀行とリスケジュール交渉を行う手順

銀行とリスケジュール交渉を行う場合、次の流れです。

  1. 融資の返済をリスケジュールしたい意向を経営者が銀行に訪問して伝える。
  2. リスケジュールにあたり銀行から要求された資料を作成して提出する。
  3. リスケジュールの同意を得たら借入金変更契約書を銀行と交わし、返済は減額、猶予される。

それぞれ、具体的に方法を見ていきます。

リスケジュール交渉の手順1 融資の返済をリスケジュールしたい意向を経営者が銀行に訪問して伝える。

リスケジュール交渉でまず行うことは、融資を受けている各銀行に経営者が訪問して、リスケジュールをしたい意向を伝えることです。

リスケジュール交渉は、銀行が同意して借入金変更契約書を交わし実際に返済が減額・猶予されるまで、早ければ1カ月、長ければ2~3カ月かかります。しかしリスケジュール交渉を行っている間にも毎月の返済は進み、現金は減少していきます。資金繰りが厳しい時に現金の減少はつらいものです。リスケジュール交渉している間に現金が減少してしまうのを防ぐには、次の2つの方法があります。

  1. リスケジュール同意前でも銀行に口頭で依頼し、預金口座から通常返済の引落しをされないようにしてもらう。
  2. 延滞状況を作って預金口座から引落しされないようにする。

1.リスケジュール同意前でも銀行に口頭で依頼し、預金口座から通常返済の引落しをされないようにしてもらう。

リスケジュールを銀行が同意するまでは、銀行は今までどおり、返済日に預金口座から通常の返済額を引き落とします。銀行に口頭でお願いし、引落しを止めてもらうようにします。しかし銀行が応じてくれなければ、この方法はできません。銀行は少しでも回収を進めたいものです。引落しを止めるよう銀行に依頼しても、リスケジュールに同意するまでは通常どおり返済してもらいたいと銀行は考え、応じてくれなかったらそれまでです。

またこの場合よくあるのが、銀行の得意先係や融資係などの一担当者に対し、引落ししないようお願いしても、自分の権限ではできないと断られてしまうことです。銀行の一担当者としては、企業から依頼を受けた後、通常返済額を引落しされないよう上司や支店長に話しても「いちいち経営者からそういう話を聞くな。言われた段階で断れ。」と叱られてしまいかねません。このようにリスケジュールを銀行が同意する前に預金口座から通常返済額の引落しを止めるのは、なかなか大変です。

対策として、通常返済の引落しを早く止めてほしい理由を書面で説明し、経営者の本気度を銀行に示す方法があります。「返済の引落しが続いてしまうと、給与の支払いができなくなり、会社は継続できない。」「返済の引落しが続いてしまうと、振り出している手形を決済できず、不渡りとなってしまう。」などの理由を付けて、銀行の一担当者が上司や支店長に報告しやすいよう書面の形にして提出すると良いです。

また支店長と面識がある経営者であれば、通常返済の引落しを止めることを支店長に直談判するのも良い方法です。

2.延滞状況を作って預金口座から引落しされないようにする。

リスケジュールを銀行が同意するまで、銀行は通常返済額の引落しを行いますが、預金口座に返済額を満たす預金が入っていなければ、引落しはできません。リスケジュールを銀行が同意するまでに通常の返済額を預金口座から引落しされたら企業の資金繰りが苦しくなる場合、預金口座からお金を抜いて延滞状況にした上でリスケジュール交渉を行う方法が考えられます。

しかし預金口座からお金を抜いても、売掛金の入金がその口座にあり返済額を上回ってしまえば、返済日の後の日でも自動で引落しされてしまいます。そうならないよう売掛先に依頼して、売掛金を別の口座に振り込んでもらう必要があります。またその預金口座から電気料金など自動で口座振替になるものがあればそれも引落しされなくなるため、その支払先に対しては一時的に他の預金口座から振込するなどで対応し、また今後、口座振替を行う預金口座の変更を支払先に依頼しなければなりません。このように延滞状況を作るのは手間がかかるため、早いうちから売掛金入金口座の変更、口座振替の口座変更など、手を付けることが必要です。

リスケジュールの手順2 リスケジュールにあたり銀行から要求された資料を作成して提出する。

リスケジュールの意向を銀行に伝えると、銀行はリスケジュールに応じるかどうか、銀行内で稟議書を作成し審査します。各銀行はそれぞれ、リスケジュールの審査にあたり必要な資料を要求してきます。その中で次の3つはほとんどのケースで要求してきます。

  • 試算表
  • 経営改善計画書
  • 資金繰り表

通常の経営計画書に、会社がどのように経営改善していくのか詳しく書けば経営改善計画書となります。経営改善計画書では、将来10年、毎期の損益はどのように推移していくのか、数字と行動計画を作って見せるよう銀行から要求されます。経営改善計画書では、今は業績が厳しくても今後どのように経営改善し利益が上がるようにしていくのか、年次計画で示します。返済を再開するには事業で生み出す利益から得られる現金、つまりキャッシュフローを増加させていかねばなりません。将来、返済を早く再開できるよう、どのように利益を上げていくか銀行から見られます。

またリスケジュールを行う会社は、利益を上げ、返済を少しずつでも再開して借入金を減らしていくこと、そして債務超過、つまり貸借対照表の純資産がマイナスの会社であれば利益を上げたりスポンサーに出資してもらったりして債務超過を解消していくことを求められます。借入金額の減少や債務超過の解消への道筋を示すため、貸借対照表が今後どのように推移していくようにするか、貸借対照表の計画も要求されることがあります。

資金繰りが厳しい会社では、今まで銀行から融資を受けるため粉飾決算をやってしまっている会社も多いですが、実態の財務状況はどうなのか、粉飾を開示するため実態の貸借対照表を付けることもあります。銀行にリスケジュールの協力をしてもらうため、経営者は銀行に全ての情報を開示する覚悟が必要です。

リスケジュールを行う場合、資金繰りが厳しいからと返済を減額、猶予するだけで良いわけではありません。銀行は第一に、融資をどうやったら最後まで回収できるか考えるものです。今は経営が苦しいから返済を減額、猶予して資金繰りを回るようにするが、将来は利益を上げられるようにして返済を再開する。これがリスケジュール交渉にあたって銀行が考えることです。将来の返済再開の道筋を付けなければ銀行はリスケジュールに応じません。返済再開の道筋を示すために必要なのが、経営改善計画書です。

なお資金繰り表では、リスケジュールを行うことで、資金繰りが回ることを示します。

リスケジュールの手順3 リスケジュールの同意を得たら、借入金変更契約書を銀行と交わし、返済は減額、猶予される。

銀行からリスケジュールの同意を得たら、銀行と借入金変更契約書を交わします。その契約書には連帯保証人も署名・捺印を行うため、経営者以外の連帯保証人がいる場合は、その人にあらかじめ経緯を説明しておかねばなりません。

リスケジュールは融資を受けている全ての銀行で平等に行う

リスケジュールは、融資を受けている全ての銀行で平等に行うのが原則です。複数の銀行が融資を行っていて、その中で今までどおり返済を続ける銀行、返済を減額・猶予する銀行が分かれれば、返済を減額・猶予する銀行は不公平に感じます。一部の銀行で返済が進むと、返済を減額・猶予する銀行は、融資を回収できなくなるリスクが相対的に高まります。またリスケジュールを行う企業としても、一部の銀行のみリスケジュールを行うのでは返済額が中途半端にしか減らず、資金繰りは苦しいままです。

リスケジュールを行う場合、返済額を0にするなら全ての銀行で0にします。また返済額を減額する形のリスケジュールであれば、全ての銀行を合計した返済額を決めて、融資のシェアで割るやり方が多いです。

例えばある会社が1億円融資を受けていて、A銀行の融資残高が6000万円(融資シェア60%)、B銀行が3000万円(融資シェア30%)、C銀行が1000万円(融資シェア10%)である場合。通常の毎月返済額が全銀行で200万円であったものをリスケジュールにより20万円に減額するのであれば、融資のシェアにより、リスケジュール後の月々返済額はA銀行12万円、B銀行6万円、C銀行2万円にします。