銀行間で融資競争を起こさせると、次のメリットがあります。
- 信用保証協会保証付融資ではなくプロパー融資を受けやすくなる。
- 低い金利で融資を受けやすくなる。
- 社長が連帯保証人にならず保証人なしで融資を受けやすくなる。
これらのメリットはつまり、融資の条件が良くなることを意味します。銀行間で競争を起こさせれば、自分の銀行で融資を受けてもらおうとそれぞれの銀行で良い条件での提案を行ってくれやすくなります。
プロパー融資を受けるために銀行間でどう競争させるか
あなたの会社が次のように融資を受けていたとします。
- A銀行 1000万円 信用保証協会保証付
- B信用金庫 500万円 信用保証協会保証付
このような状況で、新規のC銀行が融資先の開拓を目的として訪問してきました。この時がプロパー融資を受けるチャンスです。
他の銀行と同じようにC銀行は保証付融資を提案したい、と言ってくるかもしれません。その時あなたはC銀行に
「信用保証協会保証付であればA銀行とB信用金庫で間に合っています。プロパー融資で提案できないのでしょうか。」
と聞くようにします。
新規融資先の開拓はそれぞれの銀行で力を入れていることの一つです。C銀行の担当者はプロパー融資でもよいから行いたいと考えるかもしれません。このような流れでC銀行にプロパー融資を提案させます。
一方、C銀行から当初の提案どおり保証付融資を受けることは、A銀行とB信用金庫から保証付融資を受けている中、意味あるものではありません。新規銀行のC銀行にはプロパー融資で提案させたいものです。
また新規銀行ではなく既に融資を受けている銀行の間でも、銀行間の競争をあおりプロパー融資で提案させるようにしたいです。A銀行、B信用金庫、どちらでも保証付融資のみを行っている中、B信用金庫が新たに保証付融資を提案したいと言ってきた場合。
「A銀行で保証付融資は間に合っています。新たな融資はプロパー融資で受けたいから提案してくれないでしょうか。」
と言うとよいです。
融資の金利を低くするために銀行間でどう競争させるか
次のように融資を受けていたとします。話を単純化するため全てプロパー融資とします。
- D銀行 1500万円 金利1.8%
- E銀行 1000万円 金利2.0%
ここで新規のF銀行が
「今、金利キャンペーンをやっています。D銀行の融資1500万円を借換えし、融資2000万円、金利1.0%で受けてみませんか。」
と提案してきたとします。この場合、F銀行の提案どおり、D銀行からの融資1500万円は全て借り換えてF銀行から受けてもよいものでしょうか
D銀行は金利が多少高くとも、長年その会社に積極的に融資を行ってきてくれたメインバンクです。しかし低金利の魅力からF銀行で2000万円の融資を受けてD銀行からの融資1500万円を全て返済したとします。そうするとD銀行はいい思いをせず、今までの長年の付き合いはなんだったのか、という感情を抱いてしまいます。D銀行と今後取引しなくてよいのではないかぎり、この提案は受けない方がよいです。
しかし、他の銀行からの借り換えはだめというもののF銀行の金利1.0%は魅力です。この場合、良いやり方があります。
F銀行からまず、融資の提案書をもらいます。その提案書には融資金額1500万円、金利1.0%と記載されることでしょう。その提案書をD銀行に見せ、話をしてみます。
F銀行からの提案書を見せながらD銀行に対し、
「F銀行から金利1.0%の融資の提案をもらっています。D銀行からの融資全てを借り換えてはどうかという提案です。しかしD銀行には長年お世話になっているから、F銀行で借り換えるつもりはありません。しかしF銀行の金利1.0%に比べ、今のD銀行の融資金利1.8%はちょっと高いように感じます。なんとかならないものでしょうか。」
こういう話をするとD銀行は危機感を抱き、金利を、1.0%までいかなくともある程度まで引き下げてくれることが期待できます。
この交渉がうまくいきD銀行が融資金利を引き下げてくれたとします。一方、せっかく提案をくれたF銀行をどうするか。
この場合、F銀行からは、他の銀行の融資を借り換えするのではなくても提案通り単独で融資を2000万円、受けておいた方がよいです。F銀行が提案してきた2000万円は、F銀行がその会社に対しこれだけの融資を出せますよ、という評価です。他の銀行の融資を借り換えるのではなくても、単独で2000万円の融資を受けることはできるでしょう。
それだけ借りる必要がなかったとしても、今後F銀行と付き合いしていくことを考え実績作りのため借りておいた方がよいです。融資を受ける銀行の数は多いほど競争が起きやすくなります。低い金利で提案してくれる銀行であれば、なおさら付き合っておきたいです。
連帯保証人なしで融資を受けるために銀行間でどう競争させるか
同様に銀行間で競争を起こさせることにより、社長が連帯保証人とならない、保証人なしの融資をねらえます。
既存の銀行からの融資では社長が連帯保証人となっている中、新規の銀行が融資を提案したいと言ってきたら、
「融資は今つきあいしている銀行で間に合っています。社長が連帯保証人とならない融資の提案であれば考えます。」
と言ってみます。新規の銀行が連帯保証人なしでも融資を行いたいと考えれば、それで提案してくれることでしょう。
銀行間で競争を起こさせることで融資の条件は良くなっていく
以上のように、銀行間で競争を起こさせることでプロパー融資、低い金利の融資、連帯保証人なしの融資など、良い条件の融資を受けやすくなります。新規の銀行が営業に来たら追い返さず話を聞くなど、融資を受ける銀行の数を増やし競争が起きやすくなるよう行動したいです。