リスケジュールは、期限を6カ月や1年で区切られ、期限が来る時に銀行と交渉しなければ、期限後は返済を元通りの金額で再開することになります。ただ6カ月や1年で返済を再開できるほど利益を改善できる企業はなかなかありません。その場合、リスケジュールの期限ごとに、リスケジュールの更新を銀行と交渉する必要があります。
新たな融資を受けられない企業が、一方で既存の融資の返済の負担が大きい場合。そのままでは返済ごとに現金が減少していきやがて資金不足となるので、返済を減額・猶予するリスケジュールを行ってもらうよう銀行と交渉します。しかしリスケジュールの同意を銀行から得たことで、経営者は安心してはいけません。
リスケジュールはあくまで一時的に返済を減額・猶予することで、永遠に行うことではありません。返済を早く再開してもらうよう、銀行はリスケジュールの期限を6カ月や1年で区切ります。そしてリスケジュール期限が来る前に、それまで、どれだけ経営改善して利益を上げられるようになったか企業から報告させて、リスケジュール期限後の返済額をどのようにするか銀行と企業は話し合います。利益向上の度合いによって、返済を元通り再開するか、一部再開するか、それとも現状通り返済を減額・猶予された状態を続けるか、銀行と話し合います。
リスケジュールを行った企業は、6カ月や1年で利益を大きく上げられるようになるのは現実的に難しいため、リスケジュール期限後もできれば、現状の返済の減額・猶予の状態のままリスケジュールを更新してほしいものです。銀行は返済額を上げていきたい、企業は現状の返済額としたい、その中で企業は銀行と交渉します。銀行の方は、借入金変更契約書でリスケジュール期限を6カ月や1年に定めることにより、リスケジュール期限が来たらその後のリスケジュールは認めず元通りに返済を再開してもらう選択肢を持っています。
リスケジュールの期限が来た時、リスケジュールの更新を銀行に認めてもらうために、企業が行うべき対策は次の3つです。
- 損益の実績値は、経営改善計画書の売上・当期純利益の計画ベースで最低でも8割以上を確保する。
- リスケジュール更新時に少しずつでも返済を再開する。
- 銀行には定期的に経営改善の進捗状況を報告する。
1.損益の実績値は、経営改善計画書の売上・当期純利益の計画ベースで最低でも8割以上を確保する。
リスケジュール交渉をはじめ行う時に銀行に提出する経営改善計画書。これを作成する目的は、経営改善計画を実行して計画通りに利益を向上させていくことです。リスケジュール中、業績が経営改善計画書どおりに改善しているか、銀行は見てきます。経営改善計画が問題なく進んでいると銀行が認めてくれる目安は、売上・当期純利益で、最低でも経営改善計画書に記載の計画値の8割以上の達成です。例えば経営改善計画書において、その期の売上高が1億5000万円の計画、当期純利益が1000万円の計画であれば、その8割、売上高1億2000万円以上、当期純利益800万円以上、最低でも達成できていなければなりません。
2.リスケジュール更新時に少しずつでも返済を再開する。
経営改善計画を実行していくことにより利益は上がっていきます。利益が上がっていけば、返済に回せる資金が増えていきます。
リスケジュールの期限が来て、リスケジュール前の返済額に完全に戻すことは難しくても、少しずつでも返済を再開していきます。例えば元の返済額が月300万円で、リスケジュールで返済額を月0円、つまり返済猶予にした場合。6カ月のリスケジュール期間中、経営改善が進んで事業で利益を上げられるようになり、月50万円の現金を稼ぐことができるようになっていれば、月30万円の返済に増やす、というように返済を少しずつ再開していきます。その後もリスケジュール更新ごとに返済額を上げていきます。銀行はそれを見て、経営改善が順調に進んでいることを感じます。
3.銀行には定期的に経営改善の進捗状況を報告する。
銀行はリスケジュールを行っている企業に対し、経営改善計画による経営改善の進捗状況の報告を求めます。もし経営改善がうまくいっていなくても定期的に状況を報告し、どうしたらよいか銀行に相談することで、銀行は企業のことをよく理解でき、支援を続けやすくなります。
初めてリスケジュールする時の交渉や、リスケジュール期限が来た時の更新の交渉だけ経営者が銀行に顔を出す場合。リスケジュール中、経営改善がどれだけ進んでいるか銀行は把握できません。また銀行から「この経営者は都合の良い時だけ来るのか。」という目で見られることもあります。
銀行には、できれば毎月、最低でも3カ月に1回は経営改善の進捗状況を自主的に報告したいものです。その時は最新の試算表、資金繰り表、経営改善計画書での計画値と実績値を比較した資料を提出して報告します。
リスケジュールを銀行に更新してもらうために、企業が心がけるべきことまとめ
リスケジュールは当初の交渉だけでなく、リスケジュールの期限が来るごとに更新の交渉を行う必要があります。銀行にリスケジュールの更新を行ってもらうために、下記の3つを企業が行うことが大事です。
- 損益の実績値は、経営改善計画書の売上・当期純利益の計画ベースで最低でも8割以上を確保する。
- リスケジュール更新時に少しずつでも返済を再開する。
- 銀行には定期的に経営改善の進捗状況を報告する。