あなたの会社は試算表を銀行に定期的に提出しているでしょうか。

試算表とは、前期の決算の後、今期ここまでの損益と資産負債状況を表したものです。試算表では今期の途中経過の損益計算書・貸借対照表が表されます。毎月、仕訳入力していれば、試算表を会計ソフトからすぐに取り出すことができます。

1年に1回作られる決算書では、前期の業績や財務内容が分かります。一方、今期ここまでの業績や財務内容は試算表でしか分かりません。前期の決算から3カ月経過していれば、銀行は融資審査にあたり試算表を要求してくるものです。例えば決算期が3月で、現在が同じ年の7月であれば、銀行は試算表を要求してくることでしょう。

試算表を作っていない会社について、銀行としては今期の業績が分からず、それが見えない状態では新たな融資を出しづらいです。試算表を出すことができないと融資審査で不利になってしまいます。そもそも試算表の提出を銀行から要求されているのに提出しないのであれば、審査はその時点で止まってしまいます。

毎月の損益を把握していない経営者を見て、銀行員はあきれてしまうかもしれません。この経営者は現在の業績も把握しないで、どのように経営しているのか。これが、試算表を作っていない会社に対し銀行員が抱く思いです。そういう点でも融資審査は厳しくならざるをえません。

銀行が試算表を要求してきた場合、そこから顧問税理士に試算表の作成を依頼する経営者がいます。しかし試算表は本来、経営者が今期ここまでの損益、前月単月での損益を把握し、経営を振り返り、今後どのように経営していくか考えるためのものです。試算表は銀行の融資審査を第一の目的として作られるものではありません。

銀行から要求された時に税理士に頼んで試算表を出してもらえばよい、このような意識の経営者は問題です。試算表を毎月作成し、経営者が経営を振り返る、そしていつでも銀行に試算表を提出できるよう、毎月、仕訳入力を行うようにしてください。

融資の時ではなくふだんから自主的に試算表を銀行に提出すると信頼が高まる

試算表は融資を申し込んだあとに銀行に言われたらから提出するのではなく、企業の方から自主的に銀行に提出している。このような会社であれば、銀行はその会社の最新の業績が分かり、理解が進み、信頼が高くなります。試算表の提出は3カ月に1度は行った方がよいですし、できれば毎月、試算表を提出した方がよいです。

そもそも銀行は、なぜ中小企業への融資に慎重になるのでしょうか。理由の一つは、企業の情報開示不足にあります。業績や財務状況がリアルタイムでどうなっているのか、利益が出ているのかどうか分からない会社。このような会社に銀行は融資をなかなか出せないでしょう。試算表の提出がなく、1年に1回、決算のときにしか損益が分からない会社は、銀行としては融資を出すのはこわいでしょう。銀行は企業から試算表を提出してもらうことで、リアルタイムでの業績、財務状況を知ることができます。

試算表を作っていない会社はどうするか

今までずっと試算表を作ってこなかった会社があります。そのような会社は、すぐに毎月試算表を作成する体制を作るべきです。

そもそも試算表を作っていない会社は、1年に1回の決算書ができなければ、1年たってみなければその間、黒字か赤字かも分からないのです。その間、赤字であれば黒字にする対策をすぐに講じなければならないものを、1年に1回しか業績が分からなければ対策を講じるきっかけができないです。

試算表を毎月作っていない会社はすぐ、試算表が毎月できてくる体制を構築してください。社内に経理担当者がいなければ顧問税理士に相談してください。そして試算表を3カ月に1回、できれば毎月、銀行に提出するようにしてください。郵送でもかまいませんが、手渡しすると、定期的に銀行員と会う口実となり、銀行とコミュニケーションを深めることができます。銀行員は試算表を見て新たな融資提案ができないか考えてくれます。

また、現在融資を受けている銀行だけでなく新規の銀行に対しても、知り合うことがあったら決算書を渡すとともに試算表を渡し、その後も定期的に試算表を渡すことで銀行から融資を提案してくれるかもしれません。銀行はたえず新規融資先を探しています。

このように試算表を提出し情報開示していくことで、融資を受けられるチャンスが増えていきます。