資金使途一つで銀行からの融資が成功すれば失敗もする

資金使途とは、融資で得られた資金を何に使うのか、使い道のことです。銀行は企業から融資を申し込まれた時、資金使途は何か、必ず確認します。資金使途が銀行の納得するものでないと銀行は融資を行ってくれません。

決算書の内容が問題ない企業でも、社長個人の趣味でクルーザーを買うための資金など、会社の事業に関係ないことを資金使途として融資を申し込んだら審査は通りません。一方、貸借対照表の純資産がマイナスつまり債務超過であったり経常利益が赤字であったりと決算書の内容が悪い企業でも、資金使途が銀行の納得のいくものであったら融資審査が通ることも多いです。

銀行は、融資を受けた企業が、得た資金を本業の維持・成長のために使ってくれるものとして融資を行います。資金使途の具体的な内容はどうなのか、銀行にしっかり説明できるようにしたいです。口頭だけでなく、書面も用意して資金使途を説明すれば、銀行としては分かりやすいものです。

資金使途には、大きく分けて2つ、運転資金、設備資金があります。運転資金とは、日常の事業活動の中で必要になる資金のことです。設備資金とは、建物や機械など設備投資のための資金のことです。設備資金を申し込む時は、設備の見積書を用意し、その設備導入により企業はどのような効果があるのか銀行に示せるとよいです。

多くのパターンがある運転資金。資金使途を銀行にどのように説明するかの例

運転資金は多岐に渡ります。商品や材料の仕入、外注費の支払い、人件費や諸経費の支払いのための資金は運転資金ですし、賞与や納税のための資金も運転資金です。銀行への、運転資金が必要な理由の説明方法の例は次のとおりです。

  • 賞与資金や納税資金は、いくら必要となるか概算が出たら銀行に示す。
  • 季節資金(例えば毎年3月~4月に多く仕入れるため資金を必要とし、6~7月に多く販売することで得た資金を返済にあてるなど、毎年一定の季節に発生する資金)は、仕入・販売計画を数値計画で銀行に示すとともに、過去2~3年も同じような数値の動きをしていることを見せる。
  • つなぎ資金(建設業の工事や、システム開発業のシステム開発など、一つの案件で仕入や外注費が先に発生し、売掛金が後に回収となる場合、その間の資金不足をつなぐ資金)は、発注先との契約書・発注書、支払い・入金予定を銀行に示す。
  • 売上が増加することで運転資金が必要となる場合(増加運転資金と言います)、売上が増加することで売掛金や在庫の増加がどれだけ見込まれ、資金需要が発生するのか銀行に説明する。
  • これら以外で、資金繰りの中で資金が不足する時期の穴埋めが必要となる場合、もしくは既存融資が事業による利益での返済ができず預金が減少していく中で資金が必要となる場合。月次の資金繰り予定表を作成し、資金不足となる時期と金額を銀行に示し、事前に融資で資金を確保したいと伝える。
  • 資金不足となる見込みはないが預金を多めに保有し安全な資金繰りにするために運転資金の融資を受けたい場合。月次資金繰り予定表で将来の資金繰りを銀行に示すとともに「経営の安全性を高めておきたく、預金を豊富に持っておきたいから融資を受けたい。」と伝える。

銀行から融資を受けることが上手な会社は、資金使途の説明がしっかりしており、銀行を納得させることができています。資金使途の説明を慣れてください。