銀行に決算書を提出すると、それを見て経営者はいろいろ質問されます。貸借対照表についてよく聞かれる質問41個を、想定問答集としてまとめました。自分の会社の貸借対照表を見て、聞かれそうなことがあったらしっかり答えられるように準備しておきたいです。
銀行が貸借対照表を見る観点は、資産がそれぞれ計上されているだけの資産価値があるのか、計上されていない負債(簿外債務)がないか、です。また、大きい金額の資産や負債、前期に比べ当期に金額の大きな変化がある資産や負債について銀行は質問してきます。銀行が質問しそうなことを把握し、答えられるようにしたいです。
現金についての質問
回答のポイント
貸借対照表の現金勘定が大きく計上されている会社があります。会社の金庫の中にある現金が貸借対照表で計上されるものですが、現金勘定の金額が大きい会社は、銀行から見れば金庫の中に多額の現金があると思えず不自然です。現金出納帳を付け、金庫の現金残高と毎日合わせていれば合わないことにはならないですが、それをやっていない会社で貸借対照表の現金が大きくなってしまっている会社があります。現金管理ができていないことが問題であり、銀行にごまかしたりせず、これから管理をしっかり行っていくことを伝えたいです。
銀行「現金勘定が800万円ありますが、本当にそれだけあったのですか。」
回答例
「実際にそれだけの現金はなかったと思います。自分(社長)がキャッシュカードで会社の預金口座から現金を日頃から出し入れしていて、気がついたら現金勘定がこれだけ大きくなってしまいました。現金出納帳も運用していなかったので、今後は自分はキャッシュカードを持たず会社の現金を全て金庫で管理し、これ以上、現金勘定が大きくならないようにします。」
NG回答例
「それだけあったかどうか分かりません。税理士に任せていますので分かりません。」
→あったかどうか分からないという回答であれば意図的に粉飾したと疑われる。また税理士や社内の経理担当者に任せっぱなしであれば決算書や試算表の内容を把握していない経営者と見られ銀行としては不安である。
普通預金・当座預金についての質問
回答のポイント
決算日に数十万円しかないなど、預金が少なければ資金繰りが厳しい会社と見られます。どう改善して預金に余裕をもたせるか対策を考えておきます。
また、銀行は自分の銀行と他の銀行とを比べて預金が適正に配分されているかも気になるものです。例えば自分の銀行がメインバンクなのに、自分の銀行への預金が少なく、融資を行っていない別の銀行で多額の預金があれば、銀行はその理由を探り、自分の銀行に多く移せないか言ってきます。理由があるのであれば答えられるようにします。
銀行「(預金残高が合計数万円しかないのを見て)預金が少なすぎないですか?」
回答例
「なるべく借入を増やさないでやってきたら、ギリギリの預金となってしまいました。これからは運転資金を積極的に借入して、余裕を持った資金繰りを行いたいのでご協力ください。」
NG回答例
「そのとおり、資金繰りが厳しいです。どこの銀行も貸してくれないから。」
→資金繰りが厳しいのは分かるが、経営改善の努力をせず、資金繰りが厳しいのを銀行のせいにするだけの経営者の会社に対し、銀行は融資を行う気にならない。
銀行「うちはメインバンクなのに、他の○○銀行の預金がうちよりとても多いのですがなぜですか。」
回答例1
「売上の多くは○○銀行に入金され、支払いもそこから行っています。一気にはできないですが、メインバンクである貴行への売上入金を増やしていくようにします。」
回答例2
「たまたま決算日直前に大きな入金が○○銀行にされました。ふだんは○○銀行でこれだけの預金残高となることはなく、たまたまです。」
NG回答例
「借入する銀行と預金を置いておく銀行は分けているので。」
→融資を行っている銀行、特にメインバンクは自分の銀行で預金残高を多くしてほしく、また売上入金や振込などの取引を多くしてほしいものである。自分の銀行は融資先企業から融資だけしてくれればよいと思われているのであれば、銀行としてはその会社に今後も融資していくメリットは少ないと感じる。
定期預金についての質問
回答のポイント
融資を出している銀行は、他の銀行との預金のバランスを気にします。特に定期預金をどこにいくら預けているか気にします。定期預金は普通預金・当座預金と違い簡単に出し入れできるものではないので、既存の融資が返済できなくなった時に銀行は相殺し返済にあてるものとして考えやすいです。
自分の銀行に定期預金がない、もしくは金額が少ないのに、自分の銀行よりも融資が少ない、もしくは融資がない銀行に多くの定期預金があれば、銀行としては不公平に感じます。また、前の期にはなかった定期預金が新しい決算書で突然現れたら、他の銀行は定期預金を企業に作らせ将来、融資が返済できなくなった時に備えているようにも見えてしまいます。
企業であればそもそも定期預金は作らない方がよいですし、作ったのならその理由を答えられるようにし、今後どうしていきたいか答えられるようにしたいです。
銀行「○○銀行で定期預金を作ったようですがなぜですか。」
回答例
「○○銀行で○月に借入した時に、定期預金を作ってくれと言われ作りました。ただ、よく考えると安易だったと思うので、返済が進んでいったら解約をしようと思います。」
NG回答例
「○○銀行で○月に借入した時に、定期預金を作ってくれと言われ作りました。」
→融資を行った時に銀行から言われるままに定期預金を作るのであったら、それを聞いた銀行は、自分のところでも作ってほしいと考え要望してくる可能性が高い。銀行から言われるままに定期預金を作ったら普通預金・当座預金の金額が少なくなり資金繰りに支障を来たすことにもなりかねない。もし他の銀行で定期預金を作ってしまったのなら、それは安易だったと反省し、今後どうしていくかを述べる。
銀行「なぜうちの銀行には定期預金がないのに、他の銀行では定期預金があるのですか」
回答例1
「普通預金が多くなったから5年前、定期預金を作りました。定期預金を作った銀行を○○銀行にした理由は特にありませんでした。ただ、定期預金だと運転資金として使いづらいので、解約を進め普通預金の残高を増やすようにします。」
回答例2
「その定期預金はずっと前から、○○銀行の融資の担保として入れているものです。利息がもったいないので、担保となっている定期預金を解約し融資と相殺するようこれから○○銀行と交渉します。」
NG回答例
「先代の時からある定期預金ですね。なぜ作ったかは分かりませんが。」
→先代の社長の時からある定期預金であれば先代にそれを作った理由を聞いておくとよい。理由を聞けず分からないなら仕方がないが、経営者としてはその定期預金の存在に疑問を思い、今後どうしていきたいか方針を述べると良い。
定期積金についての質問
回答のポイント
定期預金とともに定期積金も、他の銀行でどれだけあるのか銀行は気にします。定期預金と同様、定期積金も普通預金・当座預金と違い簡単に出し入れできるものではないので、既存の融資が返済できなくなった時に銀行は相殺し返済にあてるものとして考えやすいです。
自分の銀行に定期積金がないのに、自分の銀行よりも融資が少ない、もしくは融資がない銀行に多くの定期預金があれば、銀行としては不公平に感じます。作ったのならその理由を答えられるようにし、今後どうしていきたいか答えられるようにしたいです。定期積金は満期となったら解約し資金繰りに使う方針であれば、銀行が感じる不公平感は和らぐことでしょう。
銀行「○○信用金庫で定期積金を始めたようですがなぜですか。」
回答例
「○○信用金庫で○月に融資を受けた時、定期積金を作るように言われました。ただ解約は自由で、満期になったら解約し、税金の支払いにあてる予定です。」
NG回答例
「○○銀行で○月に融資を受けた時、定期積金を作るように言われました。満期が来たらそのまま定期預金に振り替える予定です。」
→定期積金の満期が来たら定期預金に振り替えるのであれば、その銀行では定期預金が作られるため、それを聞いた銀行は不公平に感じ、自分の銀行でも同じことを行うよう要請してくる可能性が高い。多くの銀行で定期積金を行い、かつ満期に定期預金に振り替えるのであれば資金繰りに支障が出てしまう。
売掛金についての質問
回答のポイント
実体のない売掛金、回収見込みのない売掛金がないか銀行は気にします。会社の標準の入金サイトに比べて売掛金が多くないか、売掛金の勘定科目内訳書を見て怪しい売掛金がないか、銀行は質問してきます。
売掛金が多いのであれば、その理由を確認し答えられるようにします。また売掛金の勘定科目内訳書を見てしばらく回収されていない、もしくは倒産しているなど、問題のある売掛金があれば理由を確認するとともに今後どうしていくか答えられるようにします。
銀行「御社の入金サイトは1カ月なのに、売掛金が月商の2カ月分近くあるのですがなぜですか。」
回答例1
「決算月の売上高が多くなり、売掛金が多くなりました。」
回答例2
「決算日は日曜日であり、半分以上の売掛先が月を超えた月曜日に入金してきたので多くなりました。」
回答例3
「売掛先の○○社からの入金がされませんでした。○○社には多くの売掛金があったこともあり全体の売掛金は多くなりました。○○社からはすぐに振り込んでもらいました。遅れた理由を聞いたところ単なる事務ミスとのことで、資金繰りなどの問題ではないとのことでした。」
NG回答例
「何ででしょうね。税理士に任せているので。」
→売掛金が多くなっても税理士や社内の経理担当者に任せっぱなしの経営者であれば危機感がない経営者と見られ、銀行はその経営者の経営能力に疑問を持ってしまう。
銀行「売掛金の勘定科目内訳書を見ると、前期と当期で、○○社の売掛金が同じ4,560,000円と動いていないのですがなぜですか。」
回答例
「○○社から売掛金が1年以上入金されていません。○○社との取引はもうやめており、回収に向けて交渉しているところです。先方は資金繰りが厳しいようであり、月30万円で分割で支払ってもらうよう交渉中です。」
NG回答例
「回収できていないですね。先方はお金がないみたいなので。」
→回収できない売掛金を仕方がないと放置してしまう経営者であると銀行から見られてしまう。今後も、多くの売掛金を回収できなくても放置してしまい、資金繰りに問題が出てくるのではないかと見られてしまう。
銀行「売掛金の勘定科目内訳書を見ると、「その他」のところに多くの売掛金が計上されていますが、本当にそれだけの売掛金がそこにあるのですか。」
回答例
「実際にそれだけの売掛金があります。「その他」で計上されている売掛金の内訳について、明細を作り提出します。」
NG回答例
「実際はほとんどないですね。」
→実体がないのに「その他」に売掛金を多く計上しているのであれば、意図的に粉飾しているのではないかと銀行に見られ、今後の融資が行われなくなる可能性が出てくる。実体がほとんどないのであれば、なぜそれだけの「その他」の売掛金が計上されたのか原因を調べて説明し、次の決算で貸し倒れにするなど今後の方針を説明する。
銀行「売掛金の勘定科目内訳書の○○社、倒産していませんか。」
回答例
「はい、倒産しています。次の決算で貸し倒れにする予定です。○○社はうちの売上の2割を占めていたので売上への影響が大きく、新規開拓を積極的に行い減った売上をカバーしていきます。」
NG回答例
「倒産しています。不景気だから取引先で倒産が増えていますね。」
→取引先が倒産していても貸し倒れにしないのであれば意図的に売掛金の金額を多くし粉飾しようとしていると見られる可能性がある。また取引先が倒産しても何の対策もしないのであれば経営者としての能力を銀行は疑問に思ってしまう。
受取手形についての質問
回答のポイント
不渡りになっている受取手形がないか、銀行は気にします。また手形割引して資金繰りに使うために、商取引がないのに知人の会社に手形を振り出してもらった受取手形(融通手形と言います)がないか、銀行は気にします。
不渡り手形があれば次の決算で貸し倒れなどの処理を行うことを説明します。また融通手形はお互いの会社が手形割引して資金繰りに使えるよう互いに手形を振り出し合うケースが多く、その場合は受取手形・支払手形、両方の勘定科目内訳書に同じ取引先名が出ます。受取手形・支払手形、両方に同じ取引先名が出ても、商取引に基づく正当な手形であれば説明すれば問題ないです。
銀行「勘定科目内訳書を見ると、受取手形・支払手形、それぞれ同じ○○社の名前があるのですがなぜですか。」
回答例
「○○社は製品の卸先ですが、一方で○○社から材料を買っています。そのため受取手形・支払手形、両方のやりとりをしています。」
NG回答例
「お互い手形割引を行うために手形を振り出し合いました。」
→融通手形を行った会社に対し、銀行は今後、新たな融資は行わなくなる。
商品・製品についての質問
回答のポイント
在庫の中に売れない不良在庫はないか、実体のない架空在庫はないか、銀行は気にします。銀行は業界平均の在庫量を棚卸資産回転期間(棚卸資産÷月商)などの指標で把握していて、それに比べて多ければ、不良在庫・架空在庫の存在を疑います。また前の期に比べ多くなっていても、その理由を探ろうとします。
在庫が多いのであればその理由を把握し、答えられるようにします。
銀行「在庫が前期よりとても多くなっていますが、なぜですか。」
回答例1
「仕入れて(製造して)から販売までの期間が長くなっています。この1年は商品(製品)の売れ行きが芳しくなかったからです。ただし1年以内には必ず売れているので、売れ残りの在庫は発生しないと考えています。」
回答例2
「今回は決算月に仕入れが(製造が)多くなりました。販売先の○○社から多くの注文があったために多く仕入れ(製造し)ました。」
NG回答例
「必要だからたくさん仕入れています。」
→在庫が多くなっても気にしない経営者と銀行から見られ、経営能力に疑問を持たれてしまう。在庫が増え続けていけば現金が在庫に変わっていくため資金繰りは厳しくなり、将来の資金繰りに懸念を抱かれてしまう。
銀行「在庫が年々増えてきているようですが、なぜですか。」
回答例
「売れ残り商品(製品)が毎年のように発生し、売れ残りの在庫が増えてきているのが正直なところです。売れ残りの在庫が2000万円ほどあり、在庫をまとめて買ってくれる業者に買い取ってもらう予定です。1500万円で買い取ってもらえそうで損失は出ますが、それでも在庫をスリムにしたいです。」
NG回答例
「売れ残りの在庫が増えていってますからね。」
→売れ残りの在庫が発生してしまうのは仕方がないにしても、その対策も合わせて伝えられなければ、この会社は在庫が増え続けていく一方の会社として銀行から懸念を抱かれてしまう。売れ残りの在庫はどう処分するか、今後は売れ残りの発生を抑えるためにどうするか、対策を述べたい。
原材料についての質問
回答のポイント
商品・製品の在庫と同様、原材料の在庫も、今後の使い道がない不良在庫はないか、実体のない架空在庫はないか、銀行は気にします。業界平均の在庫量(売上高と比較して)に比べて多ければ、不良在庫・架空在庫の存在を疑います。また前の期に比べ多くなっていても、その理由を探ろうとします。
在庫が多いのであれば理由を把握し、答えられるようにします。
銀行「原材料の在庫が多いように思うのですが。」
回答例
「弊社の原材料は長い間劣化することなく、必ず製品で使えるものです。ご指摘のように原材料は仕入計画なく行き当たりばったりで仕入れてきましたので、今後しばらくは原材料の仕入を少なくし、原材料の在庫を減らしていきます。」
NG回答例
「使えない材料が倉庫に積みあがっていますよ。」
→原材料を倉庫に放置しておくのではなく、安価でもまとめて売却し処分する方法を探すなど、在庫を減らす対策を考え銀行に説明したい。また今後の不良在庫を増やさない対策を考え銀行に説明したい。
仕掛品についての質問
回答のポイント
商品・製品や原材料と同様、仕掛品も在庫の一つとして、途中で製造が止まってしまった仕掛品はないか、実体のない架空の仕掛品はがないか、銀行は気にします。業界平均の仕掛品(売上高と比較して)に比べて多ければ、不良在庫や架空在庫の存在を疑います。また前の期に比べ多くなっていても、その理由を探ろうとします。
仕掛品が多いのであれば理由を把握し、答えられるようにします。
銀行「仕掛品が前期に比べ3倍になっていますがなぜですか。」
回答例
「決算月にたまたま製品○○の注文が一気に入り量産したので、その数字となりました。」
NG回答例
「忙しかったからですね。」
→理由があいまいで銀行としてはよく分からない回答となってしまっている。仕掛品が多くなっているのであればその内容を把握し答えられるようにしたい。
前渡金・前払金・前払費用についての質問
回答のポイント
商品を仕入れたりサービスを受けたりする際に、相手先に代金を、仕入れの前に支払った場合に前渡金もしくは前払金で計上されます。また、家賃・保険料など継続的なサービスの代金をサービスを受ける前に支払ったものを前払費用と言います。
勘定科目内訳書を見れば前渡金・前払金・前払費用の相手先が分かります。金額が大きい前渡金・前払金・前払費用があれば、なぜそれが発生したか理由を把握し答えらられるようにします。
銀行「○○さんへの前渡金(前払金)が800万円ありますが、なぜですか。」
回答例
「○○さんは仕入先です。○○さんへの注文を2000万円行い、前払いで支払ってほしいと言われ支払いました。」
NG回答例
「社内の営業担当が先に支払ったのではと思います。」
→大きい金額の前払いを経営者の了解をえず従業員の一存で行うことができるのであれば、銀行はその会社の管理体制に不安を抱いてしまう。
立替金についての質問
回答のポイント
立替金は、役員や従業員、取引先などが負担すべき支払いを会社が一時的に立て替えた時に計上されるものです。
一時的な立て替えなので、後日、本来負担すべきであった役員や従業員、取引先などから回収されなければなりません。そうすれば立替金はなくなります。貸借対照表で立替金が多く計上されているということは、その回収がされていないことになり、銀行としては疑問に思います。大きい金額の立替金があれば、なぜ発生したのか、本来負担すべき人や会社からどのように回収するか答えられるようにします。
銀行「社長への立替金が200万円と多いのですがなぜですか。」
回答例
「個人で車を購入し、会社から支払うのが手っ取り早かったので何も考えずに会社から支払ってしまいました。個人から会社に200万円を返さなければならないのですが、そのまま放置していました。すぐに会社に返し、今後は会社と個人の支払いはしっかり分けるようにします。」
NG回答例
「昔からそれは残っていますね。」
→銀行としては立替金が発生した理由が分からない。また立替金の回収を図らず放置している会社は管理体制がずさんと見えてしまう。
仮払金についての質問
回答のポイント
仮払金とは、役員や従業員が外出したり出張したりする時など、予想される経費に使われる金銭を前もって渡しておくものです。
外出や出張が終わったら使用しなかった金銭は会社に返金し、使用した分は仮払金から旅費交通費や交際費など実際に使った経費として振り替えなければなりません。大きな仮払金がいつまでも残っていたら銀行は疑問に思います。大きい金額の仮払金があれば、なぜ発生したのか、役員や従業員からどのように回収するか、答えられるようにします。
銀行「社長への仮払金が150万円と多いのですがなぜですか」
回答例
「出張ごとに旅費を会社の金庫から仮払いを行っていたのですが、出張から帰る都度精算していなかったため金額が膨らんでしまいました。すぐに会社に返すとともに、これからの出張の時は仮払いを行わず自分(社長)個人のお金で立て替えて旅費を支払い後で精算するようにします。」
NG回答例
「ずっと精算していないので金額が大きくなったようです。」
→仮払金を精算せず放置しているのであれば会社の管理体制がずさんに見えてしまう。また、社長から仮払金の金額が本当に返金されるのか見えてこず、会社にとって回収されない不良資産となっているのではないかと銀行は考える。
未収入金・未収収益についての質問
回答のポイント
未収入金とは商品やサービス以外のもの、例えば会社が所有している車両や機械を売却した場合、代金が後から入金される時に使う勘定科目です。
未収収益とは継続してサービスを提供した場合、代金が後から入金される時に使う勘定科目です。
大きい金額の未収入金や未収収益があれば、なぜ発生したのか、いつ回収される予定か銀行は知ろうとしますので答えられるようにします。
銀行「○○さんへの未収入金が300万円あるのですがこれは何ですか。」
回答例
「うちで使っていなかった機械を○○さんへ500万円で売却し、200万円は支払ってもらったもののあと300万円を支払ってもらっていません。○○さんの資金繰りがきついとのことなので、分割で支払ってもらうよう交渉中です。」
NG回答例
「○○さんは取引なのですが、なぜ未収入金が上がっているのか分かりませんね。」
→大きい金額が計上されているのに理由が分からないのであれば銀行としては会社の管理体制に問題があると見えてしまう。また売却先から将来、回収されるのか疑問に思ってしまう。
短期貸付金・長期貸付金についての質問
回答のポイント
貸付金があったり、前の期に比べ多くなっていたりすれば、融資している銀行としては、融資した資金が会社の運転資金に使われず外部に流れたという見方をします。貸付金が多い会社は、簡単に資金を流出させる会社として銀行は新たな融資を行うのにちゅうちょします。
貸付金が多かったり、前の期に比べ増えていたりするのであれば、相手先ごとになぜ貸したかの理由、本来、貸し付けてはならなかったことへの反省、今後どう回収していくかを答えられるようにします。
銀行「社長への貸付金が前期に比べ増えているのですがなぜですか。」
回答例
「自分(社長)がキャッシュカードで会社の預金から会社経費を引き出していたのですが、引き出した現金の中には生活費で使ったものもありそれが貸付金に計上され増えていきました。これではいけないので、キャッシュカードを今後は持ち歩かないようにし、生活費は報酬の手取りの中で収めてこれ以上貸付金が増えないようにします。また会社と自分とで借用書を交わし、月10万円ずつ自分から会社へ返済していきます。」
NG回答例
「自分は会社から借りた覚えはないのですが。」
→社長への貸付金が増えているのに借りた覚えがないと言われるのであれば銀行としてはとても問題があると考える。社長が給与の手取りを受け取る以外で会社の預金を社長へ振り込むことがあったり、会社のキャッシュカードを社長が持ち歩き現金で引き出すことがあったりするのであれば、その金額を全て会社の経費の支払いで社長が使わないかぎり、社長への貸付金となる。今までそうしていたのであれば反省し、今後は会社の預金を社長個人へ移さない、会社の経費を社長個人が支払う場合は社長個人でいったん立て替え後日に経費精算するなどの対策をとることを銀行に伝える。また貸付金として計上されている金額を会社へ返済することを約束し返済計画を伝える。
銀行「社長への貸付金が1000万円あるのですがなぜですか。」
回答例
「子どもの学費でどうしても支払わなければならないものがあり、つい会社から借りてしまいました。ただこれはやってはいけないことで、反省しております。会社と自分(社長)で借用書を交わし、毎月20万円ずつを会社へ返していきます。」
NG回答例
「子どもの学費を支払わなければならなかったので会社から借りました。」
→社長が個人で必要な支払いがあった場合、足りない金額を会社から借りるのはあってはならないことである。それを行う社長は会社のお金と個人のお金の区別をしない人であり、銀行としては今後、新たな融資を行うのをちゅうちょする。
銀行「○○社へ貸付金が2000万円あるのですがなぜですか。」
回答例
「○○社は子会社です。○○社の運転資金が足りず弊社から資金を出しました。しかし本来は○○社が独自で金融機関から借りるべきものだと思いますので弊社からの貸付をこれ以上増やさないようにします。また借用書を交わし、月30万円を返済してもらいます。」
NG回答例
「○○社は子会社ですが、資金が足りなくなったので当社から資金を融通しました。」
→関係会社と言えどもお金は分けるべきであり、関係会社の資金が足りなければその会社自身で銀行などから資金を調達すべきである。関係会社に資金を貸し付けてしまう会社は、融資をしても自社の運転資金として使わず関係会社に資金を流出させる会社として、銀行は今後の新たな融資をちゅうちょする。
銀行「○○さんへ貸付金が300万円ありますがなぜですか。」
回答例
「○○さんは取引先で、3カ月後に返済する約束で300万円貸し、すでに返済してもらっています。しかし本来は貸すべきものではないと思いますので、今後はこのような、知人や取引先への貸付は行いません。○○さんにも今後は一切貸さないと伝えております。」
NG回答例
「泣きつかれたのでつい貸してしまいました。」
→銀行が融資している会社であれば、取引先へ貸し付けた資金は元は銀行から融資で出されたものであり、それを取引先に貸し付けてしまう会社に対し銀行は今後の新たな融資をちゅうちょする。
土地についての質問
回答のポイント
それぞれの土地は何に使っているのか、銀行は知ろうとします。また、不要な土地があれば売却し預金を増やしたり借入金の返済にあてたりするなど財務改善に使えないか、銀行は考えます。経営者としてはふだんから自社が所有している土地を把握した上、有効に活用できないか考えたいものです。
銀行「土地の勘定科目内訳書を見ると○○市の土地が増えていますがこれは何の土地ですか。」
回答例
「弊社は○○市で工場を建設予定で購入しました。購入のために○○銀行から3000万円の融資を受けました。」
NG回答例
「不動産会社から勧められて購入しました。何に使うかはまだ考えていません。」
→使い道もなく、勧められるままに土地を購入してしまう経営者は、銀行から無駄使いする経営者、計画性のない経営者と見られてしまう。
銀行「○○市の土地がなくなっているのですがどうしたのですか。」
回答例
「使っていない土地だったので800万円で売却しました。売却損が300万円出ましたが、維持費や固定資産税が出続けていたので、その経費削減をしたいという目的もありました。」
NG回答例
「部下に任せているので分かりませんね。」
→土地の売却という大きい取引の内容も把握していない経営者に対し、銀行は不安に思う。
建物・建物附属設備・機械装置・工具器具備品・車両運搬具についての質問
回答のポイント
前の期に比べ大きく金額が増えた勘定科目について、銀行は理由を知ろうとします。また減価償却の不足がないかを銀行は気にします。減価償却を行わない、もしくは少なく行うことにより、損益計算書で利益を多く見せようとしているのではないか、警戒するからです。
固定資産台帳でどのような固定資産を所有しているかを把握し、また減価償却の不足があるかどうか把握し、あればその理由を答えられるようにします。
銀行「減価償却不足額があるようですがなぜですか。」
回答例
「○○の機械は耐用年数8年ですが15年使用予定であり、その期間で減価償却を行っています。そのためこの機械の減価償却費は少なく、減価償却の限度額までの金額が減価償却不足額として出てしまっています。」
NG回答例
「税理士に任せているので分かりません。」
→税理士に任せていると言っても、実は経営者が利益を上げるために税理士に減価償却を少なく行うよう頼んでいるのではないか銀行は疑う。そう見られれば粉飾を行う経営者という見方を銀行からされてしまう。
銀行「車両運搬具が1000万円増えていますがなぜですか。」
回答例
「新車で○○という車種の車を自己資金で買いました。自分(社長)が営業に行くときに使うためですが、金額が高すぎたと反省しています。今度車を買う時はぜいたくな車を買わないようにします。また、資金繰り面を考えたら設備資金として融資を受けて買うべきだったと思います。」
NG回答例
「前からこの車がほしかったので買いました。」
→会社のお金を私利私欲で使ってしまう経営者と銀行から見られてしまう。費用対効果を考えず、計画性なく資金を使う経営者に対し、銀行は経営能力を疑問に思う。
ソフトウェアについての質問
回答のポイント
ソフトウェア勘定には自社で利用するソフトウェア、販売するために開発したソフトウェアがあります。大きい金額が計上されていたり、前の期から大きく増えていたりすれば、ソフトウェアの内容はどうなのか、会社の業務のどういうところに活用されているかを銀行は知ろうとします。また建物などと同様、減価償却を行っているかを銀行は気にします。
固定資産台帳を見てソフトウェア勘定で計上されているソフトウェアには何があるか、どのように活用されているかを把握しておきます。また減価償却の不足があるか、あればその理由を答えられるようにします。
銀行「ソフトウェアで2000万円上がっていますがこれは何ですか。」
回答例
「社内の顧客管理システムを半年かけて構築しました。今まで弊社は顧客データをExcelを使って各従業員で保有していたのですが、全社、このシステムにまとめました。これで1万件もの顧客データを1つのシステムで管理できるようになったので、顧客へ最適な提案をしやすくなり、売上拡大に寄与していくものと考えています。なお5年間で減価償却します。」
NG回答例
「何でしょうね。分かりません。」
→大きい金額で計上されているソフトウェアの内容を把握していない経営者であれば、銀行は不安に思う。
差入保証金についての質問
回答のポイント
賃借している事務所や店舗などの保証金、取引のための保証金など、それぞれの内容を把握しておきます。また取引保証金であれば、信用不安から取引先から警戒され保証金を入れるよう要請されるケースも多く、保証金を入れた前向きな理由があれば銀行に答えられるようにします。
銀行「○○さんへの保証金が1000万円計上されていますが何ですか。」
回答例
「○○さんはメインの仕入先です。弊社の売上拡大に伴い仕入が多くなっていたところ、保証金を入れるよう要請されました。保証金を入れることにより先方での与信枠が拡大したようなので、弊社でも売上拡大に弾みがつきます。」
NG回答例
「○○さんはメインの仕入先です。半年前、保証金を入れるよういきなり要請されました。」
→今まで取引保証金を入れないくても取引できていた取引先からいきなり保証金を入れるよう要請されたのであれば、信用不安があるのではないかと見えてしまう。前向きな理由があれば答え、銀行を不安にさせないようにしたい。
保険積立金についての質問
回答のポイント
支払った保険料のうち満期返戻金に相当する部分は保険積立金で計上されます。保険積立金で計上されている金額の内容を把握しておきます。また、なぜその保険を掛けているのかも答えられるようにします。
銀行が警戒する会社に対しては特に、不要な保険は解約し借入金を内入返済するよう要請してきます。不要な保険であれば解約することを検討し、方針を銀行に伝えられるようにします。
銀行「○○生命への保険積立金が2000万円となっていますが何ですか。」
回答例
「自分(社長)に万が一のことがあったら従業員・取引先・金融機関に迷惑をかけてしまいます。もし万が一のことがあったら保険金2億円が入ることになっています。それが入れば自分に万が一のことがあっても会社は倒れません。」
NG回答例
「保険営業をやっている知人から勧められ、付き合いで入りました。」
→保険を掛ける理由がなく知人から勧められるままに掛けるのであれば、無駄使いする経営者、計画性のない経営者であると銀行から見られてしまう。
創立費・開業費についての質問
回答のポイント
創立費とは会社設立前の準備開始から会社設立までにかかった費用、開業費とは会社を設立してから営業が開始されるまでにかかった費用のことです。これらは繰延資産として資産計上でき、その後、償却していきます。
償却は任意でできますので、利益が少なかったり赤字であったりが続けば、償却により利益を減らさないよう、償却することなく資産計上し続けている会社が多くあります。しかし創立費・開業費は資産計上していても後にお金に換えられる資産ではないので、毎期償却していない会社であれば、銀行が貸借対照表で実質純資産を計算する時、差し引いて見ることは多いです。
償却していないのであれば、なぜ償却しないのか銀行から聞かれることがあります。今後、どう償却していくか答えられるようにします。
銀行「創立費(開業費)が500万円あり、ずっと減っていないですがなぜですか。」
回答例
「顧問税理士から、いつ償却してもよいと言われ、ついほったらかしにしてここまで来てしまいました。いつでも計上しておく資産ではないと思いますので、これから5年かけて償却していきます。」
NG回答例
「償却すると赤字になりかねなかったため、今まで償却してきませんでした。」
→経営者が損益計算書で利益を黒字に見せるため意図的に利益操作していたと見られてしまう。意図的に利益操作を行おうとする経営者を銀行は警戒する。
買掛金についての質問
回答のポイント
資産の部にある勘定科目とは逆に、負債の部にある勘定科目は、少なく計上することが貸借対照表の純資産を大きくし、貸借対照表の見栄えをよくすることになります。負債の部にある勘定科目は、粉飾のため少なく計上しているのではないか、銀行はチェックします。
銀行は企業からのヒアリングであったり、決算書に付いている法人事業概況説明書などで、会社の標準の支払サイトを把握しています。支払サイトに比べ買掛金が少なければ銀行は気になります。逆に多く計上されているのも、買掛金が支払えず取引先へ未払いが発生しているのではないか銀行は考えます。買掛金を適正に計上し、未払いもない場合。買掛金が支払サイトに比べ少なく、もしくは多く計上されているのであれば、その原因を把握し答えられるようにします。
銀行「御社の標準の支払サイトは1カ月であることから計算すると、買掛金が少ないと思うのですが。」
回答例
「決算月の仕入れが少なかったため、買掛金が少なくなりました。」
NG回答例
「仕入の計上を翌期に回したものもありますね。」
→当期に仕入れたのに翌期に計上したのであれば損益計算書の利益は大きくなり、また貸借対照表の純資産を大きくし見栄えをよくすることとなるため、粉飾である。
銀行「御社の支払サイトは1カ月であることから計算すると、買掛金が月仕入高の2カ月分以上あるのですが。」
回答例1
「決算月の仕入が通常月の2倍になり、買掛金が多くなりました。」
回答例2
「決算日が日曜日で、月を超えて月曜日に支払いを行ったため買掛金が多くなりました。」
回答例3
「正直言うと、資金繰りの問題から支払いを待ってもらっているところが何社かあります。運転資金を銀行から借入すべきところ怠っていたことが原因であり、各銀行に協力いただき借入を増やしていこうと思っています。」
NG回答例
「銀行がお金を貸してくれなかったため、未払いが多くあります。」
→資金不足が発生したのは、資金繰り管理ができていなかった、もしくは赤字経営を続けていた、経営者の責任である。買掛金が支払えないのを銀行のせいにするのは言語道断である。銀行からはその会社ともう付き合いたくないと思われかねない。
支払手形についての質問
回答のポイント
支払手形が多い会社に対し銀行は、手形をたくさん振り出すことで資金繰りを回している会社と見て警戒します。手形の不渡りが発生すればそれをきっかけに破産などに移行するケースが多く、支払手形が多い会社はリスクが高い会社であると銀行は見ています。
支払手形が多いのであれば今後どうしていくか、方針を話せるようにしたいです。
銀行「支払手形が多くないですか。手形に頼りすぎてないですか。」
回答例
「確かに多いです。ただ手形が多いと不渡りを起こすリスクが高くなるため、取引銀行のみなさんに協力いただき、借入金を増やすことで手形を半分に減らしたいです。」
NG回答例
「資金繰りが厳しいため手形をたくさん振り出しています。」
→資金繰りが厳しいのであれば融資は受けられないか、経営改善をどう進めるか、などを経営者は考えるべきで、手形に頼るのは危険である。そのような会社を銀行は警戒する。
未払金・未払費用・未払法人税等・未払消費税等・預り金についての質問
回答のポイント
給与や社会保険料など翌月に支払う費用があれば、未払金や未払費用に計上されていないと、貸借対照表の純資産を多く見せるため意図的に計上していないのではないか銀行は気にします。逆に未払金や未払費用が多いと、支払日が過ぎているのに取引先などに支払えていないものがあるのではないか銀行は気にします。
未払金や未払費用を適正に計上し、未払いもなければ、適正に計上していることを答えればよいです。一方、支払日が過ぎたのに未払いのものがあるのであれば、なぜそれが発生したのか。今後は発生しないようどう対策をとっていくのか答えられるようにします。
銀行「税金(社会保険料)の未払いが多くあるように見えるのですが。」
回答例
「正直、決算時点で税金(社会保険料)の未払いが500万円ありました。しかしこれは、自分(社長)の預金を入れて今は解消しています。資金繰り管理ができていなかったことが税金(社会保険料)の支払いが遅れてしまった原因であると反省しております。今後は未払いを出さないようにします。」
NG回答例
「滞納しています。」
→滞納しているのであれば、その理由とともに、今後は滞納を発生させないようどう対策をとっていくか答えるべき。ただ滞納しているだけであれば銀行はその会社を警戒し、新たな融資が難しくなる。
前受金についての質問
回答のポイント
前受金とは、商品やサービスの代金の一部もしくは全部を前もって受け取った時に計上される勘定科目です。大きく計上されている前受金があれば、その内容と、なぜそれが発生したのか答えられるようにします。
銀行「○○さんからの前受金が500万円ありますがこれは何ですか。」
回答例
「○○さんはリフォーム工事の施主で、1500万円の受注をもらい、うち500万円を先に支払ってもらいました。」
NG回答例
「うちは資金繰りが苦しく、先に払ってもらいました。」
→前もって代金を受けることで資金繰り策の一つとすることは問題ないが、資金繰りが厳しいから、という表現を使うと銀行としては不安になってしまう。
仮受金についての質問
回答のポイント
仮受金とは、金銭を受け入れたが内容が明らかでない場合に一時的に使用する勘定科目です。決算までにはしかるべき勘定科目に振り替えているべきものであり、仮受金が決算書で大きく計上されていたら、その内容を銀行は知ろうとします。その発生理由と、その仮受金を今後どうするか、答えられるようにします。
銀行「○○さんからの仮受金が300万円ありますがこれは何ですか。」
回答例
「○○さんは販売先ですが、300万円の売掛金を間違って2回振り込んできました。それを仮受金にしています。今は返しています。」
NG回答例
「取引先の○○さんから入金があったものですが、なぜ入金があったか理由が分からず、そのままにしています。」
→入金があった理由を分からず放置しているのであれば、管理体制がずさんである会社であると銀行は懸念する。
短期借入金・長期借入金についての質問
回答のポイント
決算書の中の、借入金の勘定科目内訳書で、どこから借入しているか、銀行は把握します。ノンバンクからの借入があれば、高利の金融会社から借りざるをえないほど資金繰りに困っている会社と見られ、銀行は警戒してきます。また大きな金額を社長や役員以外の人や企業から借りているのであれば、なぜそこから借りざるをえなかったのか銀行は知ろうとします。
ノンバンクからは借りないにこしたことはないですが、もし借りているのであれば、早く返済し、今後はノンバンクから借りるつもりはないことを伝えます。また大きな金額を個人や企業から借りているのであれば、借りた経緯と、どう返済していくかを答えます。
銀行「ビジネス○○という会社から300万円借入金がありますが何ですか。」
回答例
「これはノンバンクです。予定していた売掛金が入ってこなかったことがあって急きょ資金が足りなくなり、すぐに審査してくれるビジネス○○で借りてしまいました。今は全て返しています。資金繰り管理ができていなかったのがノンバンクから借りざるをえなかった原因で、今後は資金繰り管理をしっかり行い、二度とノンバンクを使わないようにします。」
NG回答例
「銀行からの借入では足りなかったのでノンバンクから借りました。」
→高金利であるノンバンクから借りざるをえないほど資金繰りが厳しい会社と見られ銀行は警戒する。借りてしまったのなら、早く返済すること、今後は二度とノンバンクから借りないためにどうするかを答える。
銀行「○○さんから1500万円借入金がありますが何ですか。」
回答例
「○○さんは親せきです。3年前、赤字で銀行から融資を受けられなかった時に協力してもらいました。毎月20万円ずつ返済しています。」
NG回答例
「○○さんは親せきです。銀行に融資を頼むと時間がかかるので、○○さんから借りました。」
→融資を申し込んでから実行までに時間がかかるからとすぐに借りられる知人に頼むのは、資金繰り管理ができていない会社であると銀行から見られてしまう。
資本金・純資産についての質問
回答のポイント
特に会社を設立して2~3期までの時期、資本金が100万円未満であると自己資金の準備を十分にせずに創業したのではないかと銀行からは見えてしまいますので、事業の内容から自己資金が少額でも問題ないのであれば、それを答えられると良いです。
また純資産がマイナス、つまり債務超過であれば、銀行は財務内容が悪い会社と見てきます。今後、債務超過をどう解消するかを答えられるようにします。
銀行「御社は資本金1万円なのですね。少なくないですか。」
回答例
「3年前に会社を設立した時は何も考えずその資本金にしたのですが、対外的にも見栄えが悪く、自分(社長)に預金があるので、増資して資本金を300万円にします。」
NG回答例
「お金が全くなく会社を作ったので資本金1万円となってしまいました。」
→自己資金を準備せずに創業したのであれば計画性がない社長と見られてしまい、今後の経営についても銀行は不安に思ってしまう。
銀行「債務超過ですね。」
回答例
「3年前に大きな赤字となり債務超過となってしまいました。その時は○○の取引で大きな赤字を出してしまったのですが、以降は毎期、黒字で来ており、このまま行くとあと3年以内には債務超過が解消される見込みです。」
NG回答例
「債務超過とは何ですか?」
→自社が債務超過になっていることも自覚していないのであれば、自社の財務内容や業績を全く見ていない経営者であると銀行からは見えてしまい、経営能力に疑問を抱いてしまう。