銀行に決算書を提出すると、それを見て経営者はいろいろ質問されます。貸借対照表についてよく聞かれる質問42個を、想定問答集としてまとめました。自分の会社の貸借対照表を見て、聞かれそうなことがあったらしっかり答えられるように準備しておきたいです。

銀行が貸借対照表を見る観点は、資産がそれぞれ計上されているだけの資産価値があるのか、計上されていない負債(簿外債務)がないか、です。また、大きい金額の資産や負債、前期に比べ当期に金額の大きな変化がある資産や負債について銀行は質問してきます。銀行が質問しそうなことを把握し、答えられるようにしたいです。

資産の部で聞かれること

現金

銀行「現金勘定が800万円ありますが、本当にそれだけあったのですか。」

回答例「実際にそれだけの現金はなかったと思います。自分(社長)がキャッシュカードで預金から現金を日頃から出し入れしていて、気がついたら現金勘定がこれだけ大きくなってしまいました。現金出納帳も運用されていなかったので、今後は自分はキャッシュカードを持たず会社の現金を全て金庫で管理し、これ以上、現金勘定が大きくならないようにします。」

普通預金・当座預金

銀行「(預金残高が合計数万円しかないのを見て)預金が少なすぎないですか?」

回答例「なるべく借入を増やさないでやってきたら、ギリギリの預金となってしまいました。これからは運転資金を積極的に借入して、余裕を持った資金繰りを行いたいのでご協力ください。」

銀行「うちはメインバンクなのに、他の○○銀行の預金がうちよりとても多いのですがなぜですか。」

回答例1「売上の多くは○○銀行に入金され、支払いもそこから行っています。一気にはできないですが、メインバンクである貴行への売上入金を増やしていきます。」

回答例2「たまたま決算日直前に大きな入金が○○銀行にされました。ふだんは○○銀行でこれだけの預金残高となることはなく、たまたまです。」

定期預金

銀行「○○銀行で定期預金を作ったようですがなぜですか。」

回答例「○○銀行で○月に借入した時に、定期預金を作ってくれと言われ作りました。ただ、よく考えると安易すぎたと思うので、返済が進んでいったら解約をしようと思います。」

銀行「なぜうちの銀行には定期預金がないのに、他行では定期預金があるのですか」

回答例1「普通預金が多くなったから5年前、定期預金を作りました。○○銀行で定期預金を作った目的は特にありませんでした。ただ、定期預金だと運転資金として使いづらいので、解約を進めて普通預金の残高を増やすようにします。」

回答例2「その定期預金はずっと前から、○○銀行の融資の担保として入れているものです。利息がもったいないので、担保となっている定期預金を解約し融資と相殺するようこれから○○銀行と交渉します。」

定期積金

銀行「○○信用金庫で定期積金を始めたようですがなぜですか。」

回答例「○○信用金庫で○月に融資を受けた時、定期積金を作るように言われました。ただ解約は自由で、満期になったら解約し、税金の支払いにあてるつもりです。」

売掛金

銀行「御社の入金サイトは1カ月なのに、売掛金が月商の2カ月分近くあるのですがなぜですか。」

回答例1「決算月の売上高が多くなり、売掛金が多くなりました。」

回答例2「決算日は日曜日であり、半分以上の売掛先が月を超えた月曜日に入ってきたので多くなりました。」

回答例3「売掛先の○○社からの入金がされませんでした。○○社には多くの売掛金があったこともあり全体の売掛金は多くなりました。○○社からはすぐに振り込んでもらいました。遅れた理由を聞いたところ、単なる事務ミスとのことで、資金繰りなどの問題ではないとのことでした。」

銀行「売掛金の勘定科目内訳書を見ると、前期と当期で、○○社の売掛金が同じ4,560,000円と動いていないのですがなぜですか。」

回答例「○○社から売掛金が1年以上回収されていません。○○社との取引はもうやめており、回収に向けて交渉しているところです。先方は資金繰りが厳しいようであり、月30万円で分割で支払ってもらうよう交渉中です。」

銀行「売掛金の勘定科目内訳書を見ると、「その他」のところに多くの売掛金が計上されていますが、本当にそれだけの売掛金がそこにあるのですか。」

回答例「実際にそれだけの売掛金があります。「その他」で計上されている売掛金の内訳について、明細を作り提出します。」

銀行「売掛金の勘定科目内訳書の○○社、倒産していませんか。」

回答例「はい、倒産しています。次の決算で貸倒れにする予定です。○○社はうちの売上の2割を占めていたので売上への影響が大きく、新規開拓を積極的に行い売上をカバーしていきます。」

受取手形

銀行「勘定科目内訳書を見ると、受取手形・支払手形、それぞれ同じ○○社の名前があるのですがなぜですか。」

回答例「○○社は製品の卸先ですが、一方で○○社から材料を買っています。そのため受取手形・支払手形、両方のやりとりをしています。

商品・製品

銀行「在庫が前期よりとても多くなっていますが、なぜですか。」

回答例1「仕入れて(製造して)から販売までの期間が長くなっています。この1年は商品(製品)の売れ行きが芳しくなかったからです。ただし1年以内には必ず売れているので、売れ残りの在庫は発生しないと思います。」

回答例2「今回は決算月に仕入れが(製造が)多くなりました。販売先の○○社から多くの注文があったために多く仕入れ(製造し)ました。」

銀行「在庫が年々増えてきているようですが、なぜですか。」

回答例「売れ残り商品(製品)が毎年のように発生し、売れ残りの在庫が増えてきているのが正直なところです。売れ残りの在庫が2000万円ほどあり、在庫をまとめて買ってくれる業者に買い取ってもらう予定です。1500万円で買い取ってもらえそうで損失は出ますが、それでも在庫をスリムにしたいです。」

原材料

銀行「原材料の在庫が多いように思うのですが。」

回答例「弊社の原材料は長い間劣化することなく、必ず製品で使えるものです。ご指摘のように原材料は仕入計画なく行き当たりばったりで仕入れてきましたので、今後しばらくは原材料の仕入を少なくし、原材料の在庫を減らしていきます。」

仕掛品

銀行「仕掛品が前期に比べ3倍になっていますがなぜですか。」

回答例「決算月にたまたま製品○○の注文が一気に入り量産したので、その数字となりました。」

前渡金・前払金

銀行「○○さんへの前渡金(前払金)が800万円ありますが、なぜですか。」

回答例「○○さんは仕入先で、○○さんへの注文を2000万円行い、前払いで支払ってほしいと言われ支払いました。」

前払費用

銀行「○○さんへの前払費用が200万円あるのですがなぜですか。」

回答例「○○さんはホームページ制作会社で、ホームページは○月ごろ完成予定でこれから制作します。完成したら広告宣伝費に計上します。○○さんには先に支払ってほしいと言われたので前払いしました。」

立替金

銀行「社長への立替金が200万円と多いのですがなぜですか。」

回答例「個人で車を購入し、会社から支払うのが手っ取り早かったので何も考えずに会社から支払いました。個人から会社に200万円を返さなければならないのですが、そのまま放置していました。すぐに会社に返し、今後は会社と個人の支払いはしっかり分けるようにします。」

仮払金

銀行「社長への立替金が150万円と多いのですがなぜですか」

回答例「出張ごとに旅費を会社の金庫から仮払いで受けていたのですが、出張から帰る都度精算していなかったため金額が膨らんでしまいました。すぐに会社に返すとともに、これからの出張の時は仮払いを受けず自分個人のお金で立て替えて旅費を支払い後で精算するようにします。

未収入金・未収収益

銀行「○○さんへの未収入金が300万円あるのですがこれは何ですか。」

回答例「うちで使っていなかった機械を○○さんへ500万円で売却し、200万円は支払ってもらったもののあと300万円を支払ってもらっていません。○○さんの資金繰りがきついとのことなので、分割で支払ってもらうよう交渉中です。」

短期貸付金・長期貸付金

銀行「社長への貸付金が前期に比べ増えているのですがなぜですか。」

回答例「自分(社長)がキャッシュカードで会社の預金から会社経費を引き出していたのですが、引き出した現金の中には生活費で使ったものもありそれが貸付金に計上されて増えていきました。これではいけないので、キャッシュカードを今後は持ち歩かないようにし、生活費は報酬の手取りの中で収めてこれ以上貸付金が増えないようにします。また会社と自分とで借用書を交わし、月10万円ずつ自分から会社へ返済していきます。」

銀行「社長への貸付金が1000万円あるのですがなぜですか。」

回答例「子どもの学費でどうしても支払わなければならないのがあり、つい会社から借りてしまいました。ただこれはやってはいけないことで、反省しております。会社と自分(社長)で借用書を交わし、毎月20万円ずつを会社へ返していきます。」

銀行「○○社へ貸付金が2000万円あるのですがなぜですか。」

回答例「○○社は子会社です。○○社の運転資金が足りず弊社から資金を出しました。しかし本来は○○社が独自で金融機関から借りるべきものだと思いますので弊社からの貸付をこれ以上増やさないようにします。また借用書を交わし、月30万円の返済してもらいます。」

銀行「○○さんへ貸付金が300万円ありますがなぜですか。」

回答例「○○さんは取引先で、3カ月後に返済する約束で300万円貸し、すでに返済してもらっています。しかし本来は貸すべきものではないと思いますので、今後はこのような、知人や取引先への貸付は行いません。○○さんにも今後は一切貸さないと伝えております。」

土地

銀行「土地の勘定科目内訳書を見ると○○市の土地が増えていますがこれは何の土地ですか。」

回答例「弊社は○○市で工場を建設予定で購入しました。○○銀行から3000万円の融資を受けました。」

銀行「○○市の土地がなくなっているのですがどうしたのですか。」

回答例「使っていない土地だったので800万円で売却しました。売却損が300万円出ましたが、維持費や固定資産税が出続けていたので、その経費削減をしたいという目的もありました。」

建物・建物附属設備・機械装置・工具器具備品・車両運搬具

銀行「減価償却不足額があるようですがなぜですか。」

回答例「○○の機械は耐用年数8年ですが15年使用予定であり、その期間で減価償却を行っています。減価償却の限度額までの金額が減価償却不足額として出てしまっています。」

銀行「車両運搬具が1000万円増えていますがなぜですか。」

回答例「新車で○○という車種の車を自己資金で買いました。自分(社長)が営業に行くときに使うためですが、高い車すぎたと反省しています。今度車を買う時はぜいたくな車を買わないようにします。また資金繰りを考えたら設備資金で融資を受けて買うべきだったと思います。」

ソフトウェア

銀行「ソフトウェアで2000万円上がっていますがこれは何ですか。」

回答例「社内の顧客管理システムを半年かけて構築しました。今まで弊社は顧客データはExcelで各従業員で保有していたのですが、このシステムにまとめました。これで1万件もの顧客データを1つのシステムで管理できるようになったので、顧客への最適な提案がしやすくなり、売上拡大に寄与していくものと考えています。なお5年で減価償却していきます。」

差入保証金

銀行「○○さんへの保証金が1000万円計上されていますが何ですか。」

回答例「○○さんはメインの仕入先です。弊社の売上拡大に伴い仕入が多くなっていたところ、保証金を入れるよう要請されました。保証金を入れることにより先方からの与信枠が拡大したようなので、弊社でも売上拡大に弾みがつきます。」

保険積立金

銀行「○○生命への保険積立金が2000万円となっていますが何ですか。」

回答例「自分(社長)に万が一のことがあったら従業員・取引先・金融機関に迷惑をかけてしまいます。もし万が一のことがあったら保険金2億円が入ることになっています。それが入れば自分に万が一のことがあっても会社は倒れません。」

創立費・開業費

銀行「創立費(開業費)が500万円あり、ずっと減っていないですがなぜですか。」

回答例「顧問税理士から、いつ償却してもよいと言われ、ついほったらかしにしてここまで来てしまいました。いつでも計上しておく資産ではないと思いますので、これから5年かけて償却していきます。

負債の部で聞かれること

買掛金

銀行「御社の支払サイトは1カ月であることから計算すると、買掛金が少ないと思うのですが。」

回答例「決算月の仕入れが少なかったため、買掛金が少なくなりました。」

銀行「御社の支払サイトは1カ月であることから計算すると、買掛金が月仕入高の2カ月分以上あるのですが。」

回答例1「決算月の仕入が通常月の2倍になり、買掛金が多くなりました。」

回答例2「決算日が日曜日で、月を超えて月曜日に支払いを行ったため買掛金が多くなりました。」

回答例3「正直言うと、資金繰りの問題から支払いを待ってもらっているところが何社かあります。運転資金を銀行から借入すべきところ怠っていたことが原因であり、取引銀行各行に協力いただき借入を増やしていこうと思っています。」

支払手形

銀行「支払手形が多くないですか。手形に頼りすぎでないですか。」

回答例「確かに多いです。ただ手形が多いと不渡りを起こすリスクが高くなるため、取引銀行のみなさんに協力いただき、借入金を増やすことで手形を半分に減らしたいです。」

未払金・未払費用・未払法人税等・未払消費税等・預り金

銀行「税金(社会保険料)の未払いが多くあるように見えるのですが。」

回答例「正直、決算時点で税金(社会保険料)の未払いが500万円ありました。しかしこれは、自分(社長)の預金を入れて今は解消しています。資金繰り管理ができていなかったことが税金(社会保険料)の支払いが遅れてしまった原因であると反省しております。今後は未払いを出さないようにします。」

前受金

銀行「○○さんからの前受金が500万円ありますがこれは何ですか。」

回答例「○○さんはリフォーム工事の施主で、1500万円の受注をもらい、うち500万円を先に支払ってもらいました。」

仮受金

銀行「○○さんからの仮受金が300万円ありますがこれは何ですか。」

回答例「○○さんは販売先ですが、300万円の売掛金を間違って2回振り込んできました。それを仮受金にしています。今は返しています。」

短期借入金・長期借入金

銀行「ビジネス○○という会社から300万円借入金がありますが何ですか。」

回答例「これはノンバンクです。予定していた売掛金が入ってこなかったことがあり急きょ資金が足りなくなり、すぐに審査してくれるビジネス○○で借りてしまいました。今は全て返しています。資金繰り管理ができていなかったのがノンバンクから借りざるをえなかった原因で、今後は資金繰り管理をしっかり行い、二度とノンバンクを使わないようにします。」

銀行「○○さんから1500万円借入金がありますが何ですか。」

回答例「○○さんは親せきです。3年前、赤字で銀行から融資を受けられなかった時に協力してもらいました。毎月20万円ずつ返済しています。」

純資産の部で聞かれること

銀行「御社は資本金1万円なのですね。少なくないですか。

回答例「3年前に会社を設立した時は何も考えずその資本金にしたのですが、対外的にも見栄えが悪く、自分(社長)に預金があるので、増資して資本金を300万円にします。」

銀行「債務超過(純資産がマイナス)ですね。」

回答例「3年前に大きな赤字となり債務超過となってしまいました。その時は○○の取引で大きな赤字を出してしまったのですが、以降は毎期、黒字で来ており、このまま行くとあと3年以内には債務超過が解消される見込みです。」

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